少子化を促進する学習塾業界
(1)塾ビジネスの変化
学習塾のビジネス化
どんな業界にも、「市場」というものが存在します。その規模に応じて、ビジネス形態を思案するのが基本ですし、場合によっては、「市場」を拡大する策を練ることも、ビジネスにおいて大切なことです。
ビジネスにおいて、常にニーズとシーズの関係をとらえる必要があります。
学習塾においても、例外ではありません。
学習塾業界において、シーズとは、「子供」とその子供たちを育てている「保護者」である。この方々のニーズをいかに取り込むかが、ビジネスの根幹となります。
学習塾の変化
私たちが子どもの頃、1980年代の学習塾は、学校で学ぶことができない内容を勉強し、私立中学や私立高校を受験する生徒ばかりだったように思います。
私が学生の時、「偏差値」をめぐる議論が、国中で飛び交っていたように覚えています。さらに、「モンスターペアレンツ」という言葉も、この時期から言われるようになったと覚えています。90年代です。
これは、あくまで私の調査の範囲でしかないのですが、このころから、「少子高齢化問題」という言葉も出てきました。そこで、それまでいわゆる「進学」を目的とした子供たちという「ニーズ」だけでよかったものが、将来を見据えて、一般の小学生、中学生にまで、危機感をあおり、入塾されようという動きが過熱し、同時にこれらの新たなシーズを奪い取るように、同業他社が乱立したように思います。
そして、現在を迎えているということです。当然、子どもの数は、90年代に比べても減少していますし、今後も減少の一途をたどります。1人当たりの収入も減っていくことから、さらに高度な教育と称して、実績数を偽り、高額な授業料をとる大手塾も現れている状況で