依頼者の理想をかなえるとともに、美しく、機能的な建築物を目指す（2/3）

唯一無二の実現を目指し、依頼主の希望や趣味嗜好への理解を深める

　杉本さんは「どこにでもある画一的なものではなく、お客さまのためだけの独自性を目指したい」と強調。唯一無二の実現に向けて、依頼主が気付かぬところまで要件を掘り下げていきます。

　「オファーをいただくと、まずご希望などを大まかに書いていただきます。住まいに関する項目に限定せず、『お気に入りの場所』や『安心する時間』『好きな建物』というように、お客さまの趣味嗜好が分かる幅広い質問をさせていただきます」

　例えば「京都の北野天満宮の落ち着いた雰囲気が良かった」と記されていれば、現地に足を運んで依頼主が味わった感覚を五感で捉え、図面に落とし込みます。
　「何もないところから築く、非常にクリエーティブな作業です。私は一級建築士ですが、芸術的な思考で一から生み出す作家でありたいと思っています」

　ホームページには、これまで手掛けた案件を多数掲載。県内の優れた建築作品に贈られる「第7回ふくい建築賞2020」で、奨励賞を受けた住宅もあります。

　「奥さまは、掃除が簡単で見た目がスタイリッシュなオールステンレスのキッチンをリクエストされました。また親戚や友人が集まる機会が多く、旦那さまはベランダでバーベキューをしたいとのことで、レンガの焼き台と小さいシンクを設けました。玄関は吹き抜けで、L字型で変化をつける“かね折れ階段”も設置。お二人から『自慢できる家です』と言っていただきました」

　受賞もあいまって、うれしさと達成感が倍増したと杉本さんは笑顔を見せます。

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