飛騨産業製 セベンヌチェアを完全修理する【前編/分解→研磨→組立】
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飛騨産業製 セベンヌチェア【前編/分解→研磨→組立】
修理作業中④/フレームのウレタン塗装作業
セベンヌチェアのフレーム分解作業→研磨作業→組立・圧着作業ができましたら、続いてウレタン塗装の作業へ移ります。
生地の状態に研磨されたセベンヌチェアを見ますと「本当にきれいな椅子だな・・・。」と思います。
◆ウレタン塗装・最初の作業は、下地着色です。
まずはじめに、セベンヌチェアの主材料のブナ材を用意して、
できるだけオリジナルに近い色合いになるように、ステイン(着色剤)を調合してテスト塗りを繰り返しました。
下地着色作業は、どんなものを塗るにしても『塗りにくい部分』から塗り始めていくよう心がけています。
セベンヌチェアは、内側の刷毛を走らせにくい部分から塗り始めました。
続いて、外側の『塗りやすい部分』へと刷毛を進めていきました。
こうした刷毛塗り作業を繰り返して、セベンヌチェア4脚すべての下地着色作業ができ上がりました。
◆続いて、ウレタンサンディング→ウレタンフラットの吹き付け作業
TOKI家具館メンテナンスで永年愛用(親父の代から)しているウレタン塗料は、大谷塗料さんのセーフティワルツで、もちろん環境配慮型(トルエン・キシレンフリー)です。
1回目のウレタンサンディングの吹き付け作業ができ上がりました。
ウレタン塗装で大切なことは、吹き付け時毎のケバ取り研磨作業です。
この作業を小まめにしないと、滑らかな塗装表面は実現しません。
具体的には、毛布を敷いた作業台にセベンヌチェアを乗せて#600くらいの研磨紙で乾燥した塗装面を軽く撫でていきます。
4脚すべてのセベンヌチェアのケバ取り研磨ができ上がりました。
こうしてウレタンフラットの吹き付け作業までできますと、塗装表面は「すべすべ」の状態です。
修理作業中⑤/座面・背もたれ面の取り付けおよび最終調整作業
生地サンプルからお選びいただいた、シンコールさんのエコミクスというコットンが入った上質な椅子張り生地で張り替えた座面と背もたれ面を用意しました。
近年のTOKI家具館メンテナンスの椅子張り作業は、技能士会の信頼がおける職人さんに張り替えてもらっています。
4脚すべての座面と背もたれ面の取り付けができると、椅子全体の水平バランス調整作業をして完成です。
水平バランス調整作業は、水平盤(ガラスの厚盤)に椅子を乗せて、横切りのこぎりなどで微妙な調整をします。
なお、この作業を重視しているのは、将来的に再びぐらつきが出ないように考えてのことなんです。
修理作業後/愛媛県今治市・Y様へ納品させていただきました。
こうした工程を経て、完全修理できた飛騨産業製セベンヌチェア4脚の納品ができました。
「やっぱりこの椅子じゃないと!こんなにきれいにしてくれてありがとうございました。」
と、Y様からもありがたいお言葉をいただきました。
お使いのダイニングテーブル天板はメラミン化粧板ですが、天板額縁や脚フレームの色合いと似ている色合いで塗装できたことは、ほんとに良かったと思いました。
セベンヌチェア 前面からの写真です。
座面や背もたれ面は、内部のクッション材も交換の上、張り替えていますので座り心地も元通りに気持ちよくお使いいただけると思います。
セベンヌチェア 背面からの写真です。
背面から見ましても、本当にきれいに仕上がりました。
愛媛県今治市・Y様、ご遠方からご来店の上、達成感のある仕事をいただき本当にありがとうございました。土岐泰弘
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家具修理に欠かせない「古いカタログ」を大切に保存しています。
家具修理作業に欠かせないのは、お客様がお使いの家具メーカーや型式、製造年など基本情報ができるだけわかることです。
これは、家具メーカーさん独自の金物など専用部品が必要になることがあるからです。
そのために必要になるのが、家具メーカーさんの古いカタログや円満な人間関係なんです。
Y様のセベンヌチェアも飛騨産業さんの古いパンフレットに残っていました。
今後、紙の家具カタログは今より貴重になってくると想像できますので大切に残していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。土岐泰弘