「一番多い家具修理は、ダイニングチェアの張り替えとぐらつき修理です!」
目次
「このダイニングテーブルは買い替えるつもりがないんです!」
「結婚から40年近く使ったダイニングテーブルの表面が剝げてしまいました。」
「まだまだ使いたいので天板の塗装を直してほしいです。」
愛媛県新居浜市・T様から、LINE公式アカウントを通じてお問い合わせをいただきました。
TOKI家具館メンテナンス LINE公式アカウント
修理作業前/ダイニングテーブルをお預かりしました。
40年近く使われたダイニングテーブル天板は、表面のウレタン塗装がかなり剥げてしまってました。
T様のダイニングテーブルは広葉樹のタモ無垢材です。
天板表面四隅に脚4本の木口が出ているなど、取り付け方に特徴がありました。
このようなダイニングテーブルの塗装修理の場合、修理した天板表面と脚の木口の艶が異なると統一感が出ませんので、脚4本も中塗り・仕上塗りをしていきます。
無垢材天板の長所は、塗装修理が容易なことです。
ダイニングテーブルには、モリタインテリア工業さんのシールが残っていました。
このようにメーカー様のシールが残ってますと、どんな作業を施しているかが分かりやすいため修理作業の参考になるんです。
修理作業中①/天板の研磨作業
まずはじめに、修理作業の効率化のため天板と脚4本を分解していきました。
続いて、動力機械のレベルサンダー定盤に天板をセットしました。
レベルサンダーとは、天板表面の水平をできるだけ保ったまま研磨する機械で、番手#80→#100→#180→#240と進めていきます。
3点式で回転する研磨ロールの勢いに準じて、自家製当て板を押し当てて研磨していきました。特に、角部分の面取りが崩れないよう気を使っての作業を大切にしています。
研磨作業中は、定規を当てて平面精度を確認しながら進めていきました。
塗装作業の仕上がりは、入念な研磨作業で決まるといっても過言ではないため、慎重作業を心がけました。
修理作業中②/下地着色作業
天板すべての研磨作業ができますと、続いて下地着色作業へ入ります。T様のダイニングテーブル天板は、かなりきれいに研磨できたと思います。
家具材料の木材には導管といって、人間でいう血管のような細い管があります。
この導管に入り込んでいる古い下地着色剤は残っています。
「濃色の家具を明るい色にできませんか?」というお問い合わせが時々ありますが、このようなことが理由で濃色の家具を明るくはできないのです。
下地着色には、玄々化学工業様のアクアAPステインのブラウン色とオーク色を、テストを繰り返して適切に調合しました。
下地着色のスタートは、塗りにくい断面部から始めます・・・。
一般的に考えますと、天板上面から着色していくと思いがちですが、どんな作業もそうですが、むつかしそうな部分の作業から始めていくことが大切です。
断面部分の下地着色が一通りできますと、天板上面の下地着色に移ります。
広い天板をできるだけ均一に塗っていくことは大変緊張するため、私は刷毛を走らせるとき息を止めて作業するようにしています。
また下地着色で注意しているのは、刷毛塗りした塗りたて時と乾燥時で仕上がり色が違ってくることも考えて作業しています。
また、木材の硬い部分と柔らかい部分で下地着色剤の浸透が違うことも考えて作業しました。
修理作業中③/ウレタン塗装
下地着色が完全乾燥しますと、塗装室に移動させてウレタン塗装の工程に入ります。
TOKI家具館メンテナンスが使っているウレタン塗装は、大谷塗料様のセーフティーワルツという環境配慮型を親父の代から永年愛用しています。
スプレーガンは、アネスト岩田様のWIDER1の小型吹上式を使っています。
天板・脚4本ともに作業は、サンディングシーラー(ケバ取り研磨含む)×3工程 → 調色工程 → ウレタンフラット(ケバ取り研磨含む)×3工程を基本作業として行っています。
サンディングシーラーを1回吹き付けますと、写真のように落ち着いた濡れ色になってくれます。
ケバ取り研磨をしながら吹付を重ねた状態です。ケバ取り研磨とは、拭き付け作業で表面に付いてしまった “ブツブツ” を#600程度の研磨紙で軽く取り除く作業です。
修理作業中④/最終調整作業
すべての塗装作業が終わりますと、天板に脚を取り付けてバランス調整作業をすれば完成です。
天板表面と脚の色艶などのバランスも程よく仕上がりました。
修理作業後/T様へお届けいたしました。
「結婚時に両親に買ってもらったダイニングテーブルなので、最初から買い替えるつもりはなかったです。」
「土岐さんのフェイスブックで作業の様子を見ていたので楽しみに待ってましたよ。」
TOKI家具館メンテナンス フェイスブックページ
T様からうれしいメッセージをいただきました。
お客様の笑顔やお言葉が私の励みになっています。
T様、大切なダイニングテーブル修理の仕事をご依頼いただきありがとうございました。土岐泰弘
家具の想談館は、TOKI家具館メンテナンスの商標登録です。
「買い物を大まかに分けると、二通りあると思います」
①必要な商品やサービスがわかっていて、相談が不要な買い物
この買い物には、ネット販売店様や大型量販店様が便利で向いていると想います。
私も、使ったことがある商品のリピートなどには、ネット販売店様や大型量販店様を利用させていただいています。
②必要な商品やサービスがわかりにくいため、有資格者や専門家との相談が必要な買い物
TOKI家具館メンテナンスは、家族中心に営んでいる小規模事業者です。
ネット販売店様や大型量販店様のような豊富な品揃えと最安値を追及することなど到底できません。
TOKI家具館メンテナンスは、家具の修理・リノベーション家具製作(二次加工)・特注家具製作などなど、“ めんどくさい系の家具専門店 ” です。
そのため、わかりにくい商品やサービスに関する相談に心を込めて対応したいと、家具の想談館という商標登録をしたのです。
これからも、専門技能の向上や設備投資など力を入れていきます。どうかご指導いただけますようお願いします。ありがとうございました。土岐泰弘