ウインザーチェア(ダイニングチェア)の座割れ+ぐらつき修理の代表例のご紹介
あいテレビのNスタえひめ「未来を変えるSDGs」
21世紀はリノベーションの時代~家具に新たな命を~
★あいテレビ・Nスタえひめ「未来を変えるSDGs」
で放送された椅子修理の後編です。
◆椅子の分解作業・圧着作業など前編はコチラです!
修理作業中③/塗装作業
この写真は、椅子全体の圧着組み立て作業ができた状態です。
これまでの作業中・・・
①割れた部分の圧着や研磨による生地出し
②欠けて無くなっている部分への補充的な新しい材の圧着
③新しく作った部材の取り付け
を繰り返してここまでできました。
そのため、塗装されてない部分が、随所にありました。
◆生地出し部分の下地着色作業
ここからは、その塗装されてない部分の下地着色をはじめ、椅子全体の塗装作業へと移っていきます。
写真を見ますと、座面下左横桟木・右前脚下部のくるぶし部分・新規製作した座面取り付け用の桟木などなど塗装を研磨して生地になっている部分が分かると思います。
こんな部分的な下地着色に用いているのが、水性着色剤(玄々化学工業製・アクアAPステイン)です。
もちろん、調合テストをして可能な限り近い発色を目標とします。
刷毛と筆を使い、下地着色作業を進めていきました。
座面下左横桟木・右前脚下部のくるぶし部分・新規製作した座面取り付け用の桟木などなど塗装を研磨して生地になっている部分などが、かなり近い線で、下地着色作業ができました。
「こんな時が、一番 “ホット” します・・・!」
◆サンディングシーラー~ウレタンフラットの拭き付け作業
通常、生地の状態からのウレタン塗装は、下塗りにウレタンシーラー→中塗りにサンディングシーラー→上塗りにウレタンフラットといった工程で作業します。
K様の木製デスクチェアは、補修的な塗装ですので、中塗り(サンディングシーラー)×3回→上塗り(ウレタンフラット)×3回 と作業します。
塗装作業で一番大切なのは、塗りにくい部分から始めて、塗りやすい部分へと吹き付け作業を移動していくことです。
そのため、木製デスクチェアをひっくり返しウラ側やウラ側内側部分から、吹き付け作業を始めました。
1回の拭き付け作業が乾燥しますと、#400~600の研磨紙で軽めに研磨作業をします。特に角面は塗装面が取れてしまいやすいため軽く触る程度が望ましいです。
ウレタン塗装は、吹き付け→乾燥→研磨の繰り返しなんです。
この写真は、サンディングシーラーを拭き付け乾燥後に研磨した状態です。
サンディングシーラーは、塗装面が柔らかめのため、軽く研磨しただけでも白い粉がかなり出てきます。
この研磨作業によって出た粉をウエスやエアーガンで取り除き、次の吹き付け作業へ移ります。
上塗りのウレタンフラットが吹き上がった状態です。
ここまで来ますと、艶がよみがえり手触りが、とっても良くなります。
TOKI家具メンテナンスのウレタン塗料は、
親父の代から大谷塗料さんのセーフティーワルツを使っています。
塗装室の壁には、塗料メーカーさんの技術データや色サンプルを貼り付けています。
ウレタン塗料は、A液(主材)・B液(硬化剤)・ポリウレタンシンナー(希釈材)を混ぜて使います。
季節によって微妙に調合を変えるため参考にしているんです!
修理作業中④/水平バランス調整+検品作業
TOKI家具館メンテナンスでは、最後の検品や水平バランス調整を大切にしています。
どんなに丈夫に作業した椅子でも、水平バランスが取れてない状態で数年使いますと、ぐらつきが出てくる可能性があるためです。
そのため、座面を取り付けた椅子本体を、ガラスの厚盤の上に置き、調整作業をしているんです。
修理作業後/K様へお届けしました。
「まるで新品のようです・・・。」
亡くなった主人からは「捨てなさい」と言われてたけど、どうしても捨てられなくて・・・。
K様から、ありがたいお言葉をいただきました。
K様の椅子座面は既存のものの合板が割れていたため、新しく作りました。
この座面に張っているのは、リバコトレーディングさんのウール素材が混在しているロングセラーのNC(オリーブ色)です。
「とっても肌触りが良い椅子張り生地だと想っています・・・。」
お客様の笑顔やお言葉が、私の元気の源です。
K様、大切な椅子の仕事をご依頼いただきありがとうございました。土岐泰弘
◆椅子の分解作業・圧着作業など前編はコチラです!