「母から譲ってもらった鏡台、大変美しい仕上がりにみとれています。」
「お母さんの結婚の道具だった座卓を見てください・・・。」
「これを、ダイニングテーブルに作り変えたいのです!」
2022年秋、愛媛県松山市・K様からお問い合わせをいただきました。
K様へお届けさせていただいたリノベーション家具が・・・
あいテレビさんのNスタえひめ「未来を変えるSDGs」21世紀はリノベーションの時代~家具に新たな命を~で放送されました。
あいテレビ・Nスタえひめ「未来を変えるSDGs」
K様のご実家の座敷にあったのは、カリン材の座卓です。
高さ35cmの座卓を、天板は現状のままで脚フレームを作り変えて高さ72cmのダイニングテーブルにリノベーション加工するというご依頼です。
和室が少なくなった現在、同様のお問い合わせは、年々多くなりました。
リノベーション作業前/カリン材の座卓をお預かりしました。
K様のご実家を訪問させていただき “お母さんのお母さんの結婚の道具だったカリン材の座卓” をお預かりしました。
脚フレームは、三方留めの本格的な座卓で、お座敷にしっくりと収まっていました。
リノベーション作業中①/脚フレームの撤去作業
座卓をダイニングテーブルにリノベーションする時、まずはじめに既存の脚フレームを撤去していきますが、この撤去作業がなかなか根気がいるいる作業なんです。
K様の脚フレームの撤去作業は、「作業大好きな親父(土岐敏勝・87歳)に担当していただきました。
親父は、叩き上げの家具職人のため、87歳の現在でもとっても元気で助けてもらっているんですよ・・・。
約1時間の作業で、脚フレームと天板を分けることができました。
リノベーション作業中②/ダイニングテーブル脚フレームの製作
愛媛県松山市・K様のお宅は、新築のモダンな一戸建て住宅と聞いていましたので、新しい脚フレームの材料には、ウォールナット材を使うこととしました。
ウォールナット材は、モダンで女性的な木目が特徴の近年とっても人気がある材料です。
ウォールナット材から、動力機械の横切り盤・昇降丸のこ盤・高圧プレス機などを使い、脚フレームとなる脚と幕板 各4本分を木取りしました。
続いて、動力機械の角のみ盤・ほぞ取り盤を使い、仕口(接合部)加工をしていきました。
K様の脚フレームを作るうえでの仕口(接合部)は、ほぞ組みと言います。
続いて、仕口作業を施した脚フレームを圧着していきます。始めに短手方向を圧着していきます。
TOKI家具館メンテナンスで永年愛用しているのは、ソマックス製T型クランプです。
短手方向の圧着は、約12時間で接着剤が完全乾燥しますので、続いて長手方向を圧着していきます。
約12時間後、すべての圧着部が完全乾燥した状態です。
ここから、脚フレームの塗装作業に入っていきます。
リノベーション作業中③/自然系塗料での塗装作業
TOKI家具館メンテナンスの塗装作業で、コロナ渦以来よく使っているのが自然系塗料・玄々化学工業製G-NATUREです。
玄々化学工業製G-NATURE
K様の座卓天板は、かなり黒色に近いカリン色のため、自然系塗料・玄々化学工業製G-NATURE/着色剤 和さ美(墨色)にて下地着色をしました。
塗装作業の基本は、塗りにくい部分からスタートして、塗りやすい部分へと進めていくことです。
K様の脚フレームは、内側 脚の取り付け部の角の部分から塗り始めました。
自然系塗料・玄々化学工業製G-NATURE/着色剤 和さ美(墨色)が塗り上った状態です。
この下地着色は、約12時間で完全乾燥します。
続いて、自然系塗料・玄々化学工業製G-NATURE/リグナF(透明の植物性オイル)を2回塗り重ねていきます。
この植物性オイルは、1回目塗りが約12時間、2回目塗りが約24時間と、大変長い乾燥時間が必要な塗料です。
リノベーション作業中④/天板と脚フレームの取り付け作業など
最後の作業は、既存の座卓天板と新しく作った脚フレームの取り付け作業です。
脚フレーム上部にマスキングテープを貼っているのは、取り付け部に塗料が付かないようにするための工夫です。
既存の座卓天板と新しく作った脚フレームの取り付けは、木ネジと接着剤の併用にて作業しました。
取り付けには、ソマックス製型クランプとジュニアFクランプを使い、ズレが出ないようにして固定していきました。
ここから、約12時間で完全乾燥します。
最後に天板や脚フレームの細かなシミなどを少しでもきれいな状態にするために、玄々化学工業製G-NATURE/みつろう樹脂ワックスを擦りこんでいきました。
これをすることにより、艶も増し、ダイニングテーブル全体に保護効果が生まれていきます。
リノベーション作業後/愛媛県松山市・K様へお届けしました。
こういった作業の末、無事にK様のダイニングスペースにお届けすることができました。
K様からは、
「これがあの座卓・・・?」
「家族が増えて、これまでのダイニングテーブルだと小さかったのでうれしいです・・・。」
K様がセットされているダイニングチェアは、色が剥げかかった籐(ラタン)製のものだったため、お子様を含めご家族にみなさんで、お好きな色に塗られたとのことです。
この写真を見てますと、“いっぱい食べているお子さま” や “家族だんらん” の風景を想像してしまいます。
K様の家族だんらんの様子は、あいテレビ さんのNスタえひめ「未来を変えるSDGs」を・・・。
あいテレビ・Nスタえひめ「未来を変えるSDGs]
既存の座卓天板と新たに製作したウィールナット材脚フレームは、その隙間もほぼ無く、色合いもかなり近づけることができて本当に良かったと思います。
K様、ご依頼いただきありがとうございました。土岐泰弘
「リノベーション家具の製作に力を入れています!」
リノベーション家具とは、私が考えた造語ですが、特許庁に商標登録を済ませるほど力を入れている、TOKI家具館メンテナンスのこれからの仕事の柱でもあります。
私が考えるリノベーション家具とは・・・
永年使ってきて思い出や愛着はあるけど、年齢や生活様式の変化によって不便になってしまった家具に、大小さまざまな加工を施して・・・
①現在、必要な家具に作り変える!
②少しでも便利で安全に暮らせるように作り変える!
③再資源化して一度材料に戻し、まったく違う必要な家具に作り変える!
などなど・・・
「家具で困っている・・・!」
という方がおられましたら、お気軽にお問い合わせください。
こんな長い文章を最後まで見てくださりありがとうございました。土岐泰弘