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海外からの特殊詐欺「国際ロマンス詐欺」の被害者心理

2023年2月3日 公開 / 2023年4月1日更新

テーマ:国際ロマンス詐欺

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

国際ロマンス詐欺とは?


ここ最近、毎日のようにニュースを賑わしているフィリピンの「ルフィ」の特殊詐欺組織の話は私もとても興味深く見ています。

なぜなら、私がカウンセラーとして専門にしている「国際ロマンス詐欺」も海外からの特殊詐欺だからです。

「国際ロマンス詐欺」とは?

SNSを使った、海外からの恋愛・結婚詐欺のことを言います。
インターネットで見知らぬ外国人から友達申請が来る。
安易に承認すると、相手が恋愛モードで近づいてきます。
早いと2週間後、遅いと3カ月くらいかけて金銭要求の絡むハプニングが起こります。

彼を助けようとして送金したら最後、その後次々に起きるハプニングに、最初の送金が無駄にならないようにという心理が働き、気がついたら大金を失ってしまったという恐ろしい詐欺です。

そもそも、「見知らぬ外国人となぜ繋がるの?」
と思う人も多いかもしれませんが、日本人の気質でしょうか?
友達申請やメッセージを貰うと、無視ができない人が多いような気がします。
うっかり返事を返してしまって、詐欺師とのやり取りが始まったという人が沢山います。

「こんにちは」と言われて、「配信先を間違えてないですか?」と返事を返したことから詐欺師とやりとりが始まってしまったという被害者の方もいました。

詐欺師はどんなプロフィールを使うのか?



SNSに掲載された詐欺師のプロフィールは高学歴、高収入です。
職業は実業家・医者・軍人・軍医・戦場ジャーナリストなどです。
最近は投資家を名乗るアカウントも多いです。

ちょっと考えたら、そんな男性がネットで恋人探しをするわけがないと思うのですが、日本人って騙されることに慣れていないので、人を信じやすい特徴があるような気がします。

そして彼らのプロフィールにある年齢、住んでいる国、家族についてなどすべて嘘のストーリです。
プロフィールに使う写真はインターネット上から盗んできて使います。
イケメン・筋肉質・清潔感があり優しそうといった良いイメージのプロフィール写真を使います。
時に花や動物の写真を使っていることもありますが、メッセンジャーでやり取りが始まると自分の写真だといって、そういった盗んだ写真を送ってきます。

写真を見て好印象だったから友達になりたいと思いました。
好みのタイプでした。
と感じる人も多いようです。

この詐欺の特徴は「なりすまし」です。
プロフィールにあるような人物は存在しないし、架空のプロフィールです。
写真を盗用されている本人は存在しますが、全くの別人だし、写真を盗まれて勝手に使われている被害者です。

詐欺師が使うマインドコントロール



「なぜそんな詐欺に騙されるのか?」
誰もが思うことですが、騙された本人じゃないとわからないマインドコントロールがあります。

詐欺師は心理学を学んでいるプロなんじゃないかと思うくらい、様々な心理テクニックを使って被害者をマインドコントロールしてきます。

まず、出会った初期の頃に、過剰なくらいの自己開示を使って信頼関係を築いてきます。自己開示によって被害者は自分も自己開示するようになり、親密な話ができる関係になっていきます。

次にLineやWhatsup、ハングアウトなど頻繁にやり取りができるメッセンジャーツールに誘導されて、一日に何回もやりとりが続くようになります。
するとスマホ依存症にさせられて、四六時中相手とともにいるような感覚にさせられていきます。

親密になったころに何らかのハプニングが起きます。
仕事のトラブルに巻き込まれた、子どもが病気やけがをした、戦地で撃たれたなどです。
ハラハラどきどきさせることによって「吊り橋効果」が生まれ、より深くマインドコントロールされていきます。

「お金を立て替えて欲しい」
「すぐに返すから」
などと言われて、最初の送金をしてしまったら最後、最初の送金がトリガーになってマインドコントロールが深まります。
そのあとに起きる度々の送金にさらに応えてしまうのは、マインドコントロールの「損失回避バイアス」という心理状態によるものです。

詐欺だと認めたら自分の損失が確定してしまう。
信じていれば希望が残るから信じたいという心理が働きます。

また詐欺師は困難を一緒に乗り越えようと2人の世界を強く築いてさらにマインドコントロールを深めてきます。

被害者は送金ができなくなるまで追い詰められて、それでも騙されたと思いたくない心理が残るのはこの度重なるマインドコントロールがあるからです。

被害のあとの心理的外傷



さらに怖いのは、被害にあってしまったと気が付いたあとにも心理的な外傷が残ります。
スマホ依存になり、次の出会いを求めて、また詐欺にあうという人も少なくありません。1度詐欺に遭うとカモリストに登録されると言われているので、第二の詐欺被害に遭う可能性が高くなります。

「損失回避バイアス」により、失ったお金を取り戻せると信じて、高額な手付金を支払って弁護士や探偵に振込口座の凍結や調査を依頼して、さらにお金を失うという2次被害にあっている人も沢山います。

「メサイアコンプレックス」に陥る
「救世主症候群」「救世主妄想」「キリストコンプレックス」と呼ばれることもあり、。「自分は人を助けるために生まれてきた」「人を救済することが自分の使命だ」と思い込んで、被害者の救済に力を費やす人がいます。

自分の劣等感を埋めるために人を救っている場合が多く、心の底から人のことを思いやっているとは言い難い状態でしょう。

このような背景心理があると、自己犠牲的な関わりや過剰に尽くしすぎてしまう傾向になってしまいます。本人は良いことをしているつもりであっても、周囲にとってはありがた迷惑で困ってしまう場合が多いため、人間関係がうまくいかないと感じる人もいるでしょう。
メサイアコンプレックスを抱える人は、実は自分自身が生きづらさを感じているということになかなか気づけない特徴があります。

また、国際ロマンス詐欺の被害からなかなか立ち直れないのは、どこの誰に騙されたのか見当もつかずに気持ち悪さが残るため、いつまでもその傷を引きづることになります。

どうでしょうか?
実はこの詐欺の被害は人間心理を大きな外傷を与えるとても怖いものなのです。

被害にあったら、専門家を頼ってしっかりと心理ケアをすることをおすすめします。
カウンセリングでは下がってしまった自己肯定力をあげるためのトレーニングを継続的に行います。

ひとりで悩みを抱えないで相談してください。


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