連載第5回前半 褒め方
経営者のためのビジネスマナー第6回では、「恰好いいお金の使い方」についてお伝えします。
お金の使い方に格が出る
お金の使い方には、個人の価値観が反映されます。
個人的な生活におけるお金の使い方については、それぞれの価値観を以て使えばよいのですが、
経営者にとって仕事上のお金の使い方については、十分注意する必要があります。
言うまでもなく、経営者はさまざまな場面での振舞いによって、
敵味方に関わらず周囲の人に、その「人物を測ろうとする視線」にさらされています。
だからこそ、格のあるお金の使い方をしなければいけません。
お金はその使い方ひとつで、振る舞いをいとも簡単に上品にも下品にもしてしまいます。
人はお金を使ってくれる人のいう事を聞くものです。
人を使っていくには、まずはお金を使うことも大事です。
逆に自分の役に立ってくれている社員に対し、ことあるごとにお金を惜しむ、
つまりケチな振る舞いをしていると、遅かれ早かれその社員は離れていくでしょう。
必要な場面では「惜しまずきれいにお金を使う」ことが、
経営者にとって格のあるお金の使い方です。
では具体的に、どのような場面で注意すべきなのでしょう。
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社員のために使う
まず何よりも第一に挙げたいのは、社員のために使うお金は惜しまないという事です。
【社員教育】
今の社会情勢のなか、ひとつの会社経営を継続することは大変なことです。
しかしながら、そこで働く社員に対し全責任を負っているのが経営者です。
社員は貴重な人的財産であるという認識の下、その教育には会社としてお金をかけることが重要です。
新人研修、営業マン研修、幹部研修、接遇研修・・・等々、その時々に必要な研修。
さらに個人の能力を上げる資格取得の援助。
その教育がいずれ会社の為になることを信じ、必要なお金を惜しまないようにしましょう。
【冠婚葬祭】
社員の冠婚葬祭時には、相手への心をお金で表す気持ちが大事です。
くれぐれもケチらないようにしましょう。
「大事なのは気持、金額は関係ない」と言う方もいらっしゃいますが、経営者はそれでは通りません。
社会的な常識に照らし合わせ、ご自分の社会的ポジションを鑑みた御祝儀・不祝儀を用意してください。
【ご褒美】
コミュニケーションをもじって、飲みニケーションという言葉がありました。
社員との良好な人間関係作りには、飲み会や食事会も有効です。
たまには社員を誘っての食事やお酒の席を設けましょう。
例えば良い仕事をした時、競合に勝って受注した時など、
褒めるに値する働きがあったタイミングで、
「今日は私のおごりで、みんなで飲みに行こう」と声をかけてはいかがでしょうか。
社員のモチベーションを上げるには大変効果的な方法ですし、
経営者にとっても、生きたお金の使い方です。
【小さな心配り】
さらに日常生活でのちょっとした心配りとしてもお金を使いましょう。
例えば出張に行った際のお土産、有名店のお菓子など、
たまには女性社員が喜びそうなちょっとしたスイーツを持ち帰ると、
経営者の株が上がること間違いなしです。
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対外的な贈答のマナー
ビジネスの相手に対して、感謝の気持ちを伝えるのに最適なのは、贈答品です。
いつもお世話になり、これからもお付き合い願いたい相手、特別にお世話になった方には、
きれいにお金を使いましょう。
幸い日本には、さまざまな贈答の習慣があります。
それらを上手く利用することで、自然な形で感謝をお伝えすることができます。
■お年賀(新年のあいさつ時にお持ちする)
■お中元(関西は7月中旬、関東は8月に入ってからと、時期が違うので注意)
■お歳暮(お中元を贈ったらお歳暮も必須。関西は11月中旬、関東は12月に入ってから。)
■開店&開業祝い(オフィスで使うものを贈る。唯一、目上の人に現金を贈っても可)
■昇進祝い(オフィスで使うものや相手の好物を贈る。)
■転勤(お世話になった担当者に贈る際は、表書きに“御餞別“として贈る)
■退職(お世話になった担当者に贈る際は、表書きに“御礼”又は“感謝を込めて”として贈る)
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新札のススメ
さて、ここで恰好よくお金を使うための裏ワザをお伝えします。
それは「新札を常備する」ことです。
気の利いたレストランやヘアーサロン、一流ホテルでは必ず新札でお釣りをくれます。
ピンとした皺のない紙幣は、とても気持ちのいいものです。
日本では古くから、目上の方へのお支払、個人のお稽古事のお月謝には新札を用意する他、
ご祝儀やお年玉には新札を使います。
日常生活にも是非、この新札を取り入れてください。
又、懇親会や会合の会費を支払う時などには、金額がわかっています。
受付では、あらかじめ準備した新札で支払うようにしましょう。
受付で、ポケットや財布からごそごそと会費を取り出す、しかも取り出したお札がくしゃくしゃ
ということはありませんか?
それでは恰好いい経営者とは言えません。
受付でさっと新札を差し出す姿は、他の人と差が付くスマートな印象を与えます。
常に千円、五千円、一万円の3種類の新札を何枚かずつ手元に置いておくようにすると
便利です。大した手間ではないので、銀行に行ったついでに新札に両替することをお勧めします。
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お金が下品なのではない
日本では昔から、お金に関して口にすることは下品であるかのような文化があります。
しかしそれは、お金そのものが下品なのではなく、使い方を誤る事が下品なのです。
経営者が身に付けるべきマナーとしてのお金の使い方は、
下品になることなく使うべき場所にしっかりとお金を使うことです。
お金は、使う側が「使った使った」とアピールすると下品です。
あるいはお金があることをひけらかすことも下品です。
お金はまさに取扱い注意のデリケートなもの。
ちょっとした力加減を間違えることなく、恰好よくお金を使っていただきたいと思います。
さて連載第7回の次回コラムは、「威張らない」です。
お楽しみに!
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最後までコラムをお読み下さいまして、ありがとうございました。
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(社)ジャパン・パーソナル・ブランディング協会認定イメージコンサルタント、ビジネスマナー講師
ミューズ・ブランディング・アカデミー(株)千葉校 校長