公正証書の作成手順、記載できること、詳しく解説!
離婚後の面会交流と養育費は別々に考えましょう
離婚したら、子どもは父親か母親のどちらかと一緒に住むことになります。子供と一緒に住まない方の親は、子どもと離れて暮らすことになりますが、子どもとの関係は変わりません。離婚しても、一緒に住まない方の親は子どもと会って交流することができます。このことを面会交流と言います。この記事では面会交流に関して詳しく解説していきます。
面会交流とは
面会交流とは、離婚後に子どもと離れて暮らすことになった親(非監護親)が、子どもとの関係を維持するために行うことです。面会交流は、子どもの健やかな成長にとって重要なものであり、特別な事情がない限り、実施するべきだと考えられています。面会交流には、直接会って一緒に過ごすことや、手紙や電話などで連絡を取ることなどが含まれます。面会交流は、民法によって親の権利として認められているものではありませんが、離婚時に協議で定めるべき子どもの監護に関する必要な事項として規定されています。面会交流については、離婚時に取り決めておくことが望ましいですが、法律で決められた時期はありません。しかし、離婚時に取り決めておかないと、後になってトラブルが起こる可能性があります。また、離婚前に子どもに会えない状況にある場合には、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることができます。面会交流を考える際には、子どもの福祉・利益に資するのは何かという視点で、感情的な対立に陥らないように注意することが必要です。
面会交流は絶対必要か?
面会交流は、子どもの権利として保障されているものであり、子どもの心の安定や健全な成長にとって有益なものです。そのため、特別な事情がない限り、面会交流は実施されなければなりません。面会交流に応じる義務があるかどうかという問題は、子どもの利益を最優先に考えるべきです。離婚や別居を決意する状況では、相手に対して悪感情を持っている場合が多いかもしれませんが、それは子どもと親の関係ではありません。子どもは、離婚や別居によって父母の一方と離れて暮らすことになっても、どちらの親からも愛され、大切にされていることを実感して成長するべきです。面会交流を通して、そのことを子どもに伝えることが、親の責任です。もちろん、面会交流を行うことが子どもの利益にかなわない場合もあります。その場合は、面会交流を認めない、もしくは一定の制限を付ける必要があるかもしれません。しかし、その判断は、感情的なものではなく、客観的なものでなければなりません。
面会交流と離婚届
離婚届には面会交流に関して記載する欄があります。
父母が離婚するときは、面会交流や養育費の分担など子の監護に必要な事項に父母の協議で定めることとされています。この場合には、子の利益を最も優先して考えなければならないこととされています。
離婚届には上記のように記載されています。そして、
・面会交流について取り決めをしている
・まだ決めていない
のどちらかにチェックするようになっています。
離婚後の面会交流
親が離婚しても、子どもと親の関係は別です。そのため、親は子どもと会う権利と義務があります。ただし、親が暴力をふるったり、子どもに危害を与えたりしていた場合は、離婚後会うことができません。また、子どもが小さいうちは、親と会うことで精神的に混乱したり、不安になったりすることもあります。そのため、親は子どもの気持ちや状況を考慮して、面会交流をする必要があります。面会交流については、以下のことを離婚協議書や公正証書で決めておくことができます。
どのくらいの回数で会うか
どこで会うか
一緒に泊まることができるか
しかし、親同士が話し合えない状況にある場合は、家庭裁判所に相談して、面会交流の方法を決めてもらうことができます。
子供の気持ちを大切にしましょう
親は離婚しても、まず子どもの気持ちを大切にしなければなりません。子どもは親権者になった親と暮らし寝食をともにするため、その親の考えに影響されやすいものです。そのため、一緒に暮らす親が元配偶者を悪く言ったり、離婚後会わないように導くことは簡単です。しかし、子供にとっては、一緒に暮らしていなくても親であることに変わりはありません。子供が一緒に暮らしていない親に対しての素直な気持ちが言えるような環境作りをすることも大切です。そして、子どもが一緒に暮らしていない親と会いたいかどうかを聞くときは、よく見て判断する必要があります。これはゆくゆく一緒に暮らしている親との関係にも影響してきます。お互いに夫婦としてうまくいかなくとも、「子供の親」として割り切って上手く付き合っていくことも大切です。
祖父母との面会
離婚した夫婦は、子どもとの会う機会を面会交流の条件によって決めることができますが、祖父母はその条件に関与することができません。つまり、祖父母は法律上、子どもと会う権利を持っていないということです。しかし、祖父母もまた孫に対して愛情を持っており、孫に会いたいという気持ちをもつことは当然のことです。そのため、夫婦や子どもの希望や実情を考慮して、祖父母が孫に会えるように調整することも大切なことです。これは、子どもの福祉の観点から見ても重要なことです。祖父母との面会交流もまた、子どもの成長や人格形成に影響を与えます。祖父母が孫に会えるようにすることは、子どもの幸せのために必要なことだと言えます。
面会交流ができない事情
面会交流は実施されなければならないと上記でお話しましたが、場合によっては、面会交流を行わないという、やむを得ない判断をすることもあります。例えば、次のような場合には面会交流の実施に慎重に対応すべきでしょう。
子どもを虐待する、子どもの心を動揺させるなど悪影響を与える場合
母に対して暴力をふるい、面会交流をスムーズに実施できない場合
非監護親に薬物使用の疑いやアルコール依存等がある場合
非監護親が子どもを連れ去るリスクがある場合
これらの場合は、面会交流を行うことが子どもの利益にかなわないと判断される可能性があります。
子供が面会交流を嫌がる
面会交流を実施する上で、子供が非監護親に会いたがらない場合はどのように考えたらいいのでしょうか?面会交流は子ども自身が面会交流に対してどのような意思を持っているかが、重要な要素となります。子どもが本心から「会いたくない」と言っている場合は、その意思を尊重する必要がありますが、子どもの年齢や同居親の影響なども考慮する必要があります。子どもがある程度の年齢になると、自分の意見を言えるようになりますが、それが必ずしも本心であるとは限りません。例えば、同居親が面会交流に反対していたり、相手親に対して持っている悪い感情を子供に伝えている場合、子どもは同居親の考えに影響を受けて、面会交流に消極的になってしまうことがあります。このような場合、面会交流を制限するのではなく、同居親に面会交流の基本的なルールを守ってもらうなどの対応が必要となります。家庭裁判所の実務では、10歳前後を目安に直接に意思の確認をし、意思を重視する傾向にありますが、その他の事情から、面会交流を実施することが子どもの利益にかなうと判断される場合には、面会交流を認める審判がなされることもあります。子どもが高校生くらいになって、自らの考えとして、「会いたくない」と言っているようであれば、その考えを尊重すべきであり、無理矢理会わせることはできないでしょう。
養育費と面会交流の関係
面会交流と養育費は、離婚した後も子どもと親との関係を決める重要な条件です。面会交流は、非親権者が子どもと会う権利です。養育費は、親権者が子どもの生活費をもらう権利です。面会交流と養育費は、それぞれ別の権利であり、義務でもあります。面会交流をするためには、養育費を払わなければならないということはありません。また、養育費を払うためには、面会交流をしなければならないということもありません。しかし、面会交流と養育費を一緒に考える人がいます。
例えば、養育費を払っているのに、面会交流ができないと不満に思う人や、面会交流ができるのに、養育費が払われないのは困るという人がいます。そのため、面会交流と養育費を条件付きで決めたいと思うかもしれませんが、これは法律的には認められません。離婚協議書や離婚公正証書を作るときには、面会交流や養育費についてしっかりと決めておく必要があります。しかし、それぞれ別々に決めます。面会交流や養育費を相手の行動によって変えたり、止めたりすることはできません。そのような行動は、子どもに対して不安やストレスを与えてしまいます。気を付けましょう。
離婚協議書や公正証書への書き方は?
面会交流は、離婚した後も子どもと親との関係を維持するために大切なことです。離婚協議書や公正証書を作るときに、面会交流についてどのように決めるべきか悩む方も多いと思います。面会交流の頻度や方法を細かく決めておくべきなのでしょうか?それとも、大まかな方針だけでいいのでしょうか?どちらも間違いではありませんが、大まかな方針だけ決めることをお勧めします。なぜなら、面会交流は子どもの年齢や成長、親の状況(再婚など)などによって変わってくるものだからです。はじめからあらゆることを細かく決めてしまうと、実際に面会交流を始めたときに、様々な支障が出て、父母間でトラブルになるかもしれません。例えば、子どもが面会交流に抵抗を示したり、親が仕事や生活の都合で面会交流ができなくなったりすることがあります。また、細かく決めた契約は柔軟性に欠けるため、子どもの気持ちやニーズに応えられないこともあります。子どもは面会交流を通して、親との絆を感じたり、親から愛情や支えを感じます。そのためには、離婚後も父母が協力して、子どもに合わせた面会交流の方法を探していくことが必要です。もちろん、面会交流を実施すること自体は離婚協議書や公正証書に明記しておくべきです。しかし、その実施方法は大まかに月1回程度の面会交流を行うという程度で十分だと思います。その後は、父母間で話し合って、面会交流の実績を積み重ねていきましょう。ゆくゆく、子どもにとって最善の方法が見つかるはずです。
面会交流の条件の変更
面会交流の条件は、必要に応じて見直すことができます。前述したとおり、子どもの成長や生活環境の変化は、離婚時に設定された面会交流のスケジュールに影響を及ぼす可能性があります。もし面会交流の頻度が多すぎたり、相手方の要望を優先しすぎた結果、子どもが生活上の問題やストレスを抱えるようになった場合は、条件の見直しを提案することもできます。面会交流の条件を見直す際は、まず夫婦間での話し合いから始めましょう。円滑な協議を進めるためには、自分の要望を明確に伝え、同時に相手の要望にも耳を傾けることが肝心ですが、もし両親間で合意に至らない場合は、家庭裁判所に申し立てを行い、面会交流の条件の変更を求めることができます。直接の対話や調停、審判の申し立てに不安を感じる場合は、弁護士に相談することも選択肢の一つです。
公正証書の変更について夫婦間で合意できる場合は、新たに公正証書を作成します。そして、新しく作った公正証書で、前の公正証書の内容を変更します。変更の手続きは全国どこの公証役場でも可能です(以前作った公証役場以外の公証役場でも可能です)。変更の手順は以前公正証書を作ったときと同じです。公証人との面談時には、前の公正証書(の正本)をもっていきましょう。その他、必要なものはあらかじめ公証役場に問い合わせて確認しておくと安心です。
公正証書の変更について夫婦間で合意できる場合は、新たに公正証
養育費とは?
養育費とは、子供を育てるのに必要な費用のことです。具体的には、子供の生活費・教育費・医療費・小遣い・交通費などがあります。これは離婚して子供と離れて暮らす親が、子供をひきとって暮らす親側に支払う費用です。養育費の金額は、夫婦が話し合いで決めることができます。どちらの親と暮らすかによって子供の生活レベルが変わらないように、収入が多い親と同レベルの生活が送れることを目処にした金額で取り決めをします。支払い方法は、毎月一定額を振り込む方法が一般的ですが、一括払いという方法もあります。夫婦の話し合いでは養育費が決まらない場合は、家庭裁判所の調停や審判で金額を取り決めます。そのため、夫婦が離婚したからとどちらかが養育費を支払わないということはありえないのです。まずは夫婦間の話し合い、話し合いが成立しなければ家庭裁判所の手続きを使うことにより、養育費は、しっかりとした請求さえすれば、100%貰えることを約束された権利になります。
養育費の現実
では、実際に養育費を貰っている家庭はどのくらいいるのでしょうか?養育費は100%貰えることが約束された権利なわけですから、ほとんどの家庭が養育費を貰っていると考えられがちですが、養育費を実際に受給している家庭は少なく、厚生労働省の調べ(令和3年)では「現在も養育費を受けている」のはたった28.1%です。残りの70%の家庭では養育費を貰っておらず、一人親の収入で生活をしているということになります。
厚生労働省の調べによると、「協議離婚」はその他の離婚と比べて養育費の取り決めをしている割合が低く、その最も大きな理由としては、「相手と関わりたくない」、次いで「相手に支払う意思がないと思った」となっています。しかし、たとえ「相手と関わりたくない」としても養育費は子供の権利です。子供を一人で育てるということは、想像以上に大変でお金がかかります。離婚直後は気持ちに勢いがあり、「一人でも大丈夫!」と思っていても、子供が成人するまでその気持ちを変わりなく続けていくことは簡単なことではありません。「相手と関わりたくない」方にお勧めの方法は、離婚協議は「弁護士に依頼すること」。養育費の回収は「養育費保証会社に依頼すること」。相手と一切関らずとも、養育費を請求して回収する方法があることを念頭において、必ず請求するようにしましょう。
養育費の相場
では、養育費は一体いくらが相場なのでしょうか?
養育費は、夫婦が話し合って決めることができます。つまり、養育費の金額は、夫婦によって違います。月に1万円から20万円まで、いろいろな金額があります。 養育費を決めるときは、夫婦の収入や子どもの必要な費用を考えます。しかし、結婚していたときの生活水準も影響します。 養育費の金額の目安として、家庭裁判所で使われる「算定表」というものがあります。 算定表は、夫婦の収入や子どもの年齢などによって、養育費の金額を計算する表です。この表はよく参考にされますが、結婚していたときの生活状況も考慮して、養育費を調整します。
算定表を利用する時
養育費の協議では、算定表を参考にすることが多いですが、それが必ずしも正しい金額を示すとは限りません。 算定表は、子どもが公立学校に通うという仮定で作られているので、私立高校に通う子どもの場合は、算定表の金額では足りないことがあります。 また、収入が同じでも、家庭によって生活費は違います。 算定表だけで養育費を決めると、生活水準が下がってしまう可能性があります。 離婚後の生活はどうしても厳しくなりますが、算定表の養育費で子どもの必要な費用をまかなえるかどうかは、家庭の状況によって変わります。よくよく話し合って養育費の金額を決めるようにしましょう。
養育費は増額減額はできるのか
子供が成人するまで、両親の経済状況が変わることは十分に想定できます。取り決めた養育費では扶養できなくなった場合、養育費の増額を相手側に交渉できます。話し合いで合意できれば、その内容を公正証書などの文章にしますが、合意できなければ、養育費の額の変更を求める調停を申し立てることもできます。例えば、子供が私立高校へ進学する場合、必要となる費用は文部科学省の調査によると、初年度の入学金、授業料などを合計すると、約97万円です。私立大学の初年度の入学金、授業料の合計は約135万円です。(令和3年度調査)離婚時にこれらの想定もしたうえで養育費等の話し合いをするべきです。逆に養育費は減額することもできます。支払う側の失業、病気やケガ、などが減額できる理由です。
増減の可能性がある場合
- 子供の進学により教育費が増えた
- 受け取る側の親が、失業・転職により収入減った
- 子供が病気・入院などをして医療費が増えた
- 物価が上昇した
- 支払う側の親の収入が増えた
減額できる可能性がある場合
- 子供の進路変更により教育費減った
- 支払う側の親が失業・転職により収入が減った
- 支払う側の親が再婚して、その相手との間に子供が生まれた
- 受け取る側の親が再婚して、再婚相手と子供が養子縁組をした
- 受け取る側の親の収入が増えた
養育費が支払われない時
では万が一養育費の支払いが止まったらどのように対処していったらいいのでしょう。
- まずは元元配偶者に直接催促する
- 内容証明郵便を送る
- 法的な手続きをとる
まずは、元配偶者に直接催促する
支払いがない場合、最初に行うべきことは、本人に連絡を取って支払いがないことを伝えることです。その際には、支払い期限や金額、支払い方法などを明確に伝え、できるだけ早く支払ってくれるよう催促しましょう。もし、今まできちんと支払われていた相手であれば、単に支払いを忘れていただけの可能性があります。その場合は、連絡を取ることで支払いがなされることが多いでしょう。この方法で支払いが解決できれば、最も簡単で早い方法と言えます。
内容証明郵便を送る
口頭で催促しても支払われない場合は、次のステップとして内容証明郵便を送りましょう。内容証明郵便とは、郵便局が提供する特別なサービスで、いつどんな内容の文章が誰から誰に差し出されたのかを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明するものです。内容証明郵便を送ることには、以下のようなメリットがあります。
こちらが本気で支払いを求めていることが相手に伝わり、相手の支払い意欲を高めることができます。
内容証明郵便には法的な効力があり、裁判になった場合に証拠として使うことができます。
養育費請求権の消滅時効の完成を6か月猶予する効果があります。
消滅時効とは、一定期間請求しないと権利が失われることをいいます。養育費の場合、支払いがない月から2年間請求しないと消滅時効が完成してしまいますが、内容証明郵便を送ることでその期間を6か月延ばすことができます。
法的な手続きをとる
どんなに催促しても、相手から支払いがされない時は、法的な手続きを取ることを検討しましょう。法的な手続きには、家庭裁判所での養育費の調停や審判の申し立てがあります。これらの手続きは、相手に支払いを強制することができる効果がありますが、時間や費用がかかることもありますので、注意が必要です。 具体的には、まずは、家庭裁判所に養育費の調停の申し立てを行います。調停とは、裁判官と調停委員と呼ばれる専門家が双方から話を聞き、解決のための話し合いを進める手続きです。調停では、双方の収入や生活状況に関する資料を提出してもらい、養育費の金額や支払い方法などについて合意できるように努めます。調停委員会が双方から話を聞き、解決案を提示したり、助言し、解決のための話し合いを進めます。話し合いが合意に至ると、調停は終了します。(調停成立)調停調書が作成され、調停で合意した、養育費について、当事者は支払い義務を負います。調停調書には法的な効力があり、裁判所の判決と同じように扱われます。しかし、支払いがない場合、家庭裁判所による支払い勧告の申出をすることができます。支払い勧告とは、裁判所が相手に支払いを勧めることです。支払い勧告を受けた相手は、支払いをしないと、地方裁判所において強制執行が可能になります。強制執行とは、裁判所が相手の財産を差し押さえたり、給料から差し引いたりすることです。
離婚協議書、公正証書を作成することの大切さ
離婚協議書
離婚協議書は、夫婦で話し合って作る契約書です。財産分与や養育費、面会交流など決めたことをまとめます。自分たちで離婚時の約束事を決めることができるのがメリットです。たとえば、財産分与では、お金や家や車などの財産や借金の分け方や支払いの仕方などを決めることができます。養育費では、子どものための養育費や払う金額や払う方法や払う期間などを決めることができます。面会交流では、子どもと会う回数や時間や場所や方法などを決めることができます。これらのことを離婚協議書にしっかりと書いておくことで、離婚後トラブルにならないようにすることができるのがいいところです。しかし、離婚協議書は自分たちで作る契約書なので、もしもどちらかが、契約を守らなくても法律でどうすることもできないのがデメリットです。離婚協議書は法律で強制できないので、相手が契約を守らなくても、法的にどうすることもできません。
公正証書
離婚するときには、財産分与や養育費、面会交流などについて、離婚協議書という契約書を作成することができます。離婚協議書は、夫婦の合意に基づいて作成される私的な契約書ですが、そのままでは法的な拘束力がありません。つまり、相手が契約に従わない場合には、裁判所に訴えることができないのです。そのため、離婚協議書を元に公正証書を作成することをお勧めします。公正証書とは、公証人という法律の専門家が作成する公的な契約書であり、高い証拠力、証明力があります。公正証書には強制執行認諾約款という、特別な文言を付け加えることができます。強制執行認諾約款とは、「万が一お金の支払いをしない時は、裁判手続きをしなくても、差し押さえをします」という文言のことです。つまり、養育費の支払いが止まった時に、上記でお話した法的な手続き(調停)をとることなく、相手の給与や財産を差し押さえることができます。これは、時間や費用や労力を節約するだけでなく、精神的にも安心することができるメリットです。公正証書を作成するには、公証人事務所に離婚協議書を持って行き、手数料を支払う必要があります。手数料は、養育費の金額や期間などによって異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度です。公正証書を作成することは、離婚するときに養育費を受け取るために、非常に有効な方法です。
養育費保証会社に入るという選択肢
離婚前離婚協議書や公正証書を作成することで養育費の確実な支払がされるよう対策します。しかし、実際に養育費を受け取るのは、あなた自身です。子どもが成人するまでの間、毎月元配偶者から支払いがあったのか、確認しなくてはなりません。もしも支払いがなかった場合には、あなたが元配偶者に対して催促を行い、必要に応じて強制執行の申し立てを行わなくてはなりません。これらのことは、時間的にも経済的にも精神的にも負担が大きいことです。そこで、養育費保証会社に加入するという選択肢もあります。養育費保証会社とは、離婚後に子どものために養育費を受け取る人が、養育費保証会社と契約を結ぶことで、養育費の支払いを保証してもらうことができる会社のことです。
養育費保証会社に加入することのメリットは、以下のとおりです。
養育費保証会社は、あなたに代わって債務者に養育費を請求します。あなた自身に支払われる養育費は養育費保証会社から支払われます。そのため、債務者から支払いが行われているかという不安から解放されます。
もしも債務者からの支払いが止まっても、1年間は養育費が保証されます。つまり、養育費保証会社があなたに養育費を払い続けます。
養育費保証会社の弁護士が、強制執行の手続きを行います。弁護士を探すという手間や費用もかかりません。
現在一部の自治体では、養育費保証を契約する際の初回手数料を支援しています。初回手数料は、養育費の1か月分程度です。
離婚時、学資保険の名義変更・財産分与をどうするか解説します!
学資保険は、子供の教育費用を確保するために夫婦で加入することが多い保険です。しかし、夫婦が離婚する場合、学資保険の取り扱いについて慎重に考える必要があります。学資保険は、夫婦が共同で貯めた財産の一部として財産分与の対象になるのでしょうか?それとも、養育費の一部として扱うべきなのでしょうか?離婚時の学資保険の問題は、難解で複雑です。ここでは、離婚する際に学資保険をどのように扱うべきかについて、解説していきます。
学資保険とは?
学資保険とは、子供の教育資金を目的とした貯蓄型の保険のことで、毎月決まった額の保険料を支払うことで、子供が成長していく過程で必要な教育費用を確保することができます。学資保険には大きく分けて二種類あります。一つは定期型で、子供が小学校や中学校や高校や大学に入学するタイミングで進学準備金として一定額を受け取ることができます。もう一つは満期型で、子供が一定の年齢に達した時点で満期額資金として一括で受け取ることができます。どちらのタイプも、親が亡くなった場合は、それ以降の保険料の払いこみが免除される特約が付いており、保証がそのまま継続されるため、子供は安心して教育を受けることができます。
財産分与とは
財産分与とは、民法第768条に規定される離婚に伴う財産の調整のことです。夫婦が結婚期間中に共同で財産を形成した場合は、その財産は夫婦の「共同所有財産」とされます。したがって、離婚する場合には、その共同所有財産を公正に分割する必要があります。財産分与の方法は、夫婦間で合意することが原則ですが、合意ができない場合には、裁判所に財産分与の調停や審判を申し立てることができます。財産分与の基準は、夫婦のそれぞれの貢献度や経済状況、将来の見込みなどを総合的に考慮することですが、一般的には夫と妻で半分ずつとなることが多いでしょう。財産分与の対象となる財産は、現金だけでなく、預貯金、保険、不動産、自動車、家具、家電なども含まれます。ただし、結婚前から所有していた財産や、相続や贈与で取得した財産などは、特段の事情がない限り除外されます。(特有財産)財産の名義が夫や妻になっていても、財産分与の対象となりますし、妻や夫が専業主婦や専業主夫であっても、財産分与の権利や義務があります。
学資保険は財産分与の対象
原則的に学資保険は財産分与の対象となります。毎月夫婦で協力して学資保険を支払っていた場合、それは夫婦が協力して築いた財産を考えられ、夫婦の財産分与の対象となります。
学資保険が財産分与の対象とならないケース
上述したとおり、原則学資保険は財産分与の対象ですが、すべてが対象となるわけではないので注意が必要です学資保険は、結婚期間中に加入したものであれば、原則として共同所有財産として財産分与の対象となります。しかし、学資保険の保険料を夫婦のどちらか一方の親族が負担していた場合は、その親族の寄与によって得た財産として「特有財産」となります。したがって、この場合は財産分与の対象とはなりません。また、結婚前に加入して満期支払いを完了した学資保険も、財産分与の対象とはなりません。具体的には、配偶者の連れ子のための学資保険で結婚前に満期に支払っていたケースです。
学資保険を財産分与する2つの方法
離婚する際に、学資保険をどのように財産分与するかは、夫婦で決めることができますが、基本的には2つの方法があります。一つは、離婚時に学資保険を解約して、解約返戻金を半分ずつ受け取るパターンです。もう一つは、離婚時に学資保険をそのまま継続させるパターンです。一つずつ解説していきます。
学資保険を解約し解約返戻金を受け取る
学資保険の解約と現金での財産分与については、夫婦間で協議し合意することで可能です。その場合は、学資保険を解約し、解約返戻金を受け取り、それを夫婦間で公正に分割することになります。ただし、学資保険は長期的な資産形成のためのものであり、契約期間内に解約すると、解約返戻金は保険料の総額よりも大きく減少することがあります。そのため、学資保険の解約は、財産分与のためだけでなく、子供の教育費の確保のためにも慎重に検討する必要があります。
学資保険を継続させ、解決金を支払う
学資保険の継続と解決金の支払いについては、夫婦間で協議し合意することで可能です。その場合は、学資保険の契約者となる方が保険料を支払い続け、子供の教育費を確保します。この場合のメリットは、親権者が契約者となることで、子供の進学準備金や満期学資金を確実に受け取ることができることです。デメリットは、非親権者が学資保険の権利を放棄することになりますので、財産分与として、親権者から非親権者に、離婚時点での返戻金の半額分を解決金として支払う義務が発生することです。解決金の支払い方法は、一括で支払うか、分割で支払うか、または他の財産との交換かなど、夫婦間で協議することが必要です。ただ、親権者が学資保険を受け取る代わりに、通常相手に支払わなければならない解決金を、夫婦間で支払わない約束にすることも可能です。
学資保険は名義を変更できる
学資保険の契約者や受取人の名義変更については、離婚時に配偶者の合意があれば可能です。学資保険の契約者や受取人が配偶者になっている場合、離婚を機に名義変更をしておくと、子供の教育費の管理がしやすくなります。ただし、名義変更したあとは、自分で保険料の支払いが必要になります。もし保険料の負担が重い場合は、その金額を考慮した上で、養育費の請求をすることもできます。
学資保険の名義変更しないリスク
夫婦間の協議で離婚後も学資保険を継続することを決めたものの、契約名義を一切見直しや変更をせずそのままにしている方もいます。お互いの関係がある程度良好で面会なども定期的に続けているのであれば、それでも問題が起きないかもしれません。しかし、学資保険の名義変更をしないことは様々なリスクが発生する可能性があります。例えば、契約者が夫で、親権者が妻である場合、満期時には学資金は夫に支払われますが、夫が妻や子供にその金額を渡す保証はありません。また、夫が保険料の支払いを怠ったり、勝手に解約したりすると、妻はその事実を知ることができません。このような事態を防ぐためには、離婚の際に、学資保険の契約者や受取人の名義を変更することが必要です。名義変更をすることで、親権者が学資金の受取人になり、子供の教育費用の確保ができます。また、契約者も親権者に変更することで、保険料の支払いや解約の権利を有することができます。したがって、離婚後も学資保険を継続することを協議で合意した場合でも、学資保険の名義変更をすることは、子供の将来のためにも重要な手続きであると言えます。
学資保険を養育費の一部として考える
今まで解説してきた方法は学資保険を財産分与の原則にのっとり、公平に分割する方法でしたが、学資保険の取り扱いについては、養育費の一部として扱う方法もあります。この方法は、学資保険が子供の教育費用の確保のために契約したものであるという事実に基づいています。したがって、学資保険は財産分与の対象から除外し、親権者に名義変更することで、子供の将来のために必要な養育費の一部として認めることができます。夫婦間で協議した上合意すれば、このような方法もできます。
離婚協議書や公正証書にしよう
学資保険に関する離婚時の合意事項は、離婚協議書や公正証書に明記しておくことが重要です。離婚協議書は夫婦間で自由に作成できますが、公正証書は公証人役場で公証人に依頼して作成する必要があります。公正証書は法的な拘束力が強く、学資保険の返戻金が公正証書に記載されたとおり受け取れたかった場合などに、強制執行の手続きをとることができます。また、公正証書の原本は公証人役場に保管されるため、紛失や破損のリスクも低減できます。公正証書は離婚前後いずれの時点でも作成できますが、夫婦二人で公正役場に行く必要があるため、離婚前に作成する方がスムーズに進む可能性が高いです。学資保険は子供の教育費用の確保のために契約したものなので、離婚後も継続することを合意した場合は、名義変更や財産分与の方法などを明確にすることで、将来のトラブルや紛争を未然に防ぐことができます。
公正証書を弁護士や行政書士に依頼するメリット
弁護士
弁護士に公正証書の作成を依頼すると、離婚協議書の作成から公正証書の作成まで、一貫して法的なアドバイスとサポートを受けることができることです。弁護士は、離婚協議書の作成にあたって、夫婦双方の利益を考慮しながら、円満な協議を促進します。公証役場に夫婦でそろって出向くことが困難な場合は、弁護士に代理人を依頼することもできます。弁護士に公正証書の作成を依頼することで、離婚に関する権利義務を確実にすることができます。
行政書士
公正証書を行政書士に依頼すると、離婚協議書の作成から公正証書の作成までをサポートします。弁護士と行政書士の違いは、行政書士は夫婦双方の意見を聞くことはできません。夫婦で合意した内容を離婚協議書から公正証書にします。また、代理人として公証役場に行くことはできません。離婚の際、紛争性の高い場合は弁護士に依頼することがお勧めです。しかし、すでに夫婦間で約束事が合意されている場合は行政書士に依頼することがお勧めです。金額の違いもあります。
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