離婚後の子どもの親権、面会交流、氏の決め方、注意点を解説!
離婚の準備は何から始めたらいいの?まずは、優先順位をつけましょう
「離婚しよう」そう決めた時がはじまりの一歩
離婚をするということは、あなたの人生に大きな変化をもたらします。その変化に対応するためには、自分の気持ちや状況を整理することが大切です。離婚の理由や原因は何なのか、離婚後にどんな生活を送りたいのか、離婚によってどんなメリットやデメリットがあるのか、などを考えてみましょう。離婚は決して簡単なことではありません。相手との話し合い、離婚する際の手続きなど、やらなければならないことは多く、また、状況によっては様々な問題が発生する可能性があります。そのため、離婚をする前には、十分な準備や情報収集をすることが必要です。相手との関係や財産分与、慰謝料、親権などの問題を解決しなければなりません。
離婚方法によっても対応が異なります。協議離婚の場合は、夫婦間で合意ができれば、離婚条件は当事者で自由に決めることができます。しかし、調停離婚や裁判離婚の場合は、家庭裁判所や裁判官の判断に従わなければなりません。そのため、離婚をする際には、自分のこと、子どものこと、これからの生活のこと、将来の希望等、多岐にわたる視点が必要になるでしょう。
離婚に関する知識や情報を十分に集めて、まずは最適な離婚方法を選ぶようにしましょう。離婚という決断は、あなたにとって決して簡単な選択ではありません。しかし、その決断なくしては、新しい自分の人生を歩みはじめることはできません。その決断をするためには、自分の気持ちや状況をしっかりと把握することが必要です。離婚したいと思ったら、まずは自分自身と向き合ってみましょう。離婚の理由や目的は何なのか、離婚後にどんな幸せを求めるのか、離婚によって想定しうる苦労はあるか、あるとしたらどのように乗り越えていこうか、等を考えてみましょう。
離婚は終わりではなく、新しいあなたの人生を始める一歩にすぎません。あなたが前向きに、明るい気持ちで歩んでいけるよう、前向きに考えて行動してください。
離婚方法
協議離婚
協議離婚では、離婚届にご夫妻が署名押印をして、居住地の役所に届出をすると、離婚は成立します。協議離婚では、ご夫妻が話し合い離婚に合意に至ったのであれば、離婚理由は問われません。離婚するご夫妻の9割が協議離婚をしています。
調停離婚
家庭裁判所に調停を申し立て調停委員が間に入り、ご夫妻の言い分を調整しながら離婚を目指します。また、離婚調停においてほぼすべての条件を決めることができたけれど、些細なことが原因で調停が不成立となりそうな場合に、家庭裁判所の裁判官が、職権で必要な決定を下して成立させる審判離婚も行われることがあります。
裁判離婚
調停離婚がまとまらずに終わった場合、家庭裁判所に離婚を求めて裁判を起こします。相手が離婚に同意していない中で、裁判で一方的に離婚を成立させるためには、法的な離婚理由が必要となります。
離婚の準備
離婚の準備においては、離婚後に住むところ、仕事、子供、お金など様々なことを検討しなければなりません。そして、「いつ離婚をする」という決心が固まれば、相手と養育費等の離婚条件を話し合い、合意することは不可欠です。まずは、今まで夫婦で築いてきた財産や子供のことについて、少なくとも次に掲げる事項を検討しましょう。
- 財産分与(夫婦の共有財産の分配方法と精算方法)
- 慰謝料(損害賠償請求)
- 年金分割(厚生年金が対象)
- 親権者(未成年の子がいるとき)
- 養育費(子どもと離れて暮らす親の義務)
- 面会交流(離れて暮らす親に会う子どもの権利)
- そのほか必要に応じて
財産分与
財産分与は婚姻中にご夫妻で築いてきた財産(プラスもマイナスも含めて)を、どのように分配するかを決めます。協議離婚の場合、その分配方法は家庭の状況に応じて、ご夫妻が自由に決めることができます。夫婦で婚姻中に得たあらゆる財産が対象です。
調停や裁判での離婚になると、「財産を築くのにどのくらい貢献したか」が目安で分けられます。貢献度はご夫妻ともに通常は2分の1というのが原則です。収入を得ていたのが夫のみで、妻が専業主婦の場合でも、財産は二人のもので貢献度も半分ずつです。共有財産がどこにどのくらいあるかしっかり把握しておきましょう。
預貯金、不動産、自動車、積立型保険、そのほか借金等が対象です
慰謝料
慰謝料は離婚理由となる行為を相手がしたことによる精神的苦痛、またその行為によって破綻することになった精神的苦痛に対して支払われるお金です。例えば、不倫や暴力などによってうけた精神的(肉体的)な苦痛に支払われます。不倫による慰謝料は配偶者だけではなく不倫相手にも請求できます。
年金分割(厚生年金が対象)
ご夫妻が婚姻中に納付していた厚生年金保険料の記録を離婚時に分割して、その付替を手続きできる法律で定められた制度です。これはあくまでも双方の年金記録を変更する手続きです。つまり、実際に年金を受給できる時期になって、離婚の際に年金分割相当分が納付済みの年金記録に反映されていると、より多くの金額の受給が可能になります。
例えば、ご主人が厚生年金に加入していて、奥様がその扶養に入っていたのであれば、3号分割ができます。
また、お互いに厚生年金に加入している場合であっても、最大5割まで分割することができるのが、合意分割です。
親権者
婚姻中は父母による共同親権ですが、離婚後は単独親権となるため、離婚するときは父母のいずれか一方を親権者に指定することが必要になります。どちらが親権者になるかが決まっていないと、そもそも離婚は成立しません。
養育費
養育費の支払いは子どもの生活を守るため、離れて暮らす親の義務です。未成年の子どもを世話して育てるのは、親の義務であり、それにかかる費用、つまり養育費もまた負担します。養育費を受け取るのは、お子さまと一緒に暮らす親ですが、養育費はあくまでも子どもの権利です。元配偶者の権利だと勘違いされている方がとても多いので、離婚時には金額やいつまで支払い続けるのか、という支払終期について揉めることが多いです。
しかし、実際上、離婚協議書を作成して公正証書作成までするご夫妻は、まだまだ少ないのが現状です。離婚時に高ぶった感情のまま離婚届を出してしまった、養育費なんてどうせ貰えないと思った、等、取り決めをせずに離婚したために、離婚後に養育費をもらえていないケースが多いのが現実です(令和3年調査によると母子家庭のうち養育費を受給できている割合は28%に過ぎません)。
面会交流
離婚で離れて暮らすことになった親にも、子どもと会ったり連絡を取ったりすることが認められています。これを面会交流といいます。これは離れて暮らす親の権利かつ子供の権利です。
そのため、「養育費を払ってくれなかった月は、面会交流させない!」と、そのような内容を離婚協議書や公正証書に記載の要望を受けることは多く、監護養育して日々育てる親の気持ちは痛いほどよくわかります。しかし、法律上、養育費の支払い義務と面会交流の権利は相対する関係ではありません。すなわち、そのような記載はできないということになります。
離婚後の生活をどう守る?
離婚後の生活を考えることは、離婚準備をすすめる上で重要になります。今の仕事を続けていくのか、または自立した生活を営むために新たな仕事を見つけるのか、新たに始めるならいつから仕事開始できるのか。
住居は婚姻中と同じにするのか、新たに転居するのか。婚姻中と同じ住居に継続して住んでいくためには返済中のローンの負担、また、新たに転居するのであれば契約費用と家賃の負担などが課題になってきます。また、今の住居からの転居を検討するには、子供の通学する学校をどうするかも問題になります。子供の学校を含めて離婚した後の住居について考えていくことで、離婚後の生活に必要となる費用が見えてきます。しっかり検討しておけば、離婚の協議で提示する希望条件が見えてきて、離婚後の生活に対して抱く不安を一つずつ解消していけるでしょう。
住居について
住居に関しては、持ち家(マイホーム)がある場合、金融資産とは違って簡単に分割して分けることができない財産です。住宅ローンが残っている場合どのように整理するのかについても考えなくてはいけません。その住宅にそのままどちらかが住み続けるのか?または売却して半分ずつにわけるのか?ローン付き住宅の財産分与を検討するなかでは、住宅ローンを借りた金融機関と調整することが必要になります。もし、住宅の所有権を移転したり、ローンの負担者を変更するのであれば、離婚協議書や公正証書に記載しておく必要があります。また子どもがいる場合、住居環境は大変重要になります。離婚後の住居をどうするかは、離婚後の生活を考える上で重要な課題です。
子どもについて
離婚届を提出する時期が、子どもの新学期、また学年が上がる時期と重なることがあります。夫婦の離婚に伴って子どもの転校を余儀なくされることもあります。お友達との生活や学校生活が中心の子どもにとって転校することは一大事です。そのため、子どもへの影響を配慮し離婚届を提出する時期を調整することもあります。また、子どもに離婚することを伝えることで不安感や罪悪感を覚えないように伝えなくてはいけません。そして、自分が親権者になりたいかどうか考え、親権者になりたい場合は準備を進めましょう。親権者になりたいと考える場合、何より重要なのは子どもと一緒に生活することと子どもを手放さないようにすることです。別居の際は、子どもを置いて家から出ない、逆に相手が家を出るときは子供を渡さないことが大切です。一度子どもと離れてしまうとあとで引き取りたいと思っても拒否されるケースが多いです。
公的扶助の確認
離婚の準備を進めるにあたって、市区町村の窓口に足を運んで、もし離婚した場合に受けられる公的扶助の制度の詳細についても確認しておくことをおすすめします。離婚後の生活に不安を感じるのは当然ですが、そうした情報を事前に把握しておくことで、少しでも不安を軽減させることができます。
まずは、ご夫妻で冷静に話し合うこと
協議離婚のメリットは、費用と手間がかからない、合意すればすぐに離婚できることです。けれど、感情を優先させ財産分与や養育費のことなど取り決めずに離婚すると、あとでトラブルになりかねません。また、相手は自分が不利になるようなことは敢えて言わないでしょう。そのため、離婚した後に自分と子どもが損している、さらに自分だけが大きな経済的負担を抱えていることに気づいても、「知らなかった」「そんなこと言ってくれなかった」等と訴えたところで、相手は取り合うことはないでしょう。そうならないためにも、離婚はしっかりと自分事として捉え、さらに子どもの未来を守る手段が必要だ、と認識した上で、離婚についての情報収集が非常に大切になってきます。
財産分与は二人で半分ずつ財産を分ける「2分の1ルール」があり、慰謝料の額は離婚の理由によって変わります。しかし、これらは協議離婚では話し合い次第で自由に決めることができます。
離婚協議書
ご夫妻で決めた離婚条件などは、離婚協議書にまとめた上で公正証書にします。離婚するとき、離婚をすることになった相手と取り決めた離婚契約内容は、口約束だけで済ませず、必ず離婚協議書にすることをお勧めします。のちに養育費の不払いがあっても、口約束だけでは泣き寝入りするしかありませんが、離婚協議書があれば裁判になった時にも合意の証拠になります。
離婚協議書はご夫妻で作成しても問題ないですし、もしご夫妻だけの合意だと法律的にはどうなのだろう?といった不安がある場合には、法律の専門家(弁護士・行政書士)に依頼する方法もあります。離婚協議書は記載内容も書式も自由ですが、おもに親権者、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料などについての決定事項を具体的に書きます。離婚協議書を作成することで、お互いの合意事項を明確化できます。
また、養育費等の不払いがあった際には、裁判等を経ずに、直ちに強制執行をすることができるのが強制執行認諾約款付公正証書です。この公正証書は離婚協議書をもとに、公証役場の公証人に作成してもらうことができます。
強制執行認諾約款付き公正証書
公正証書は国の公証制度に基づいて公証役場という法務省に属する機関で作成される公文書です。この公正証書の作成は公証人のみが行うことができます。強制執行認諾約款とは、「ここに記載されている金銭の取り決めに不履行があった場合、支払債務者(養育費等を支払う人)は給料の差し押さえ等を受けることに合意している」と認めるものです。
また、ご夫妻の自由な合意を取り決めすることができますが、もしその内容が、法の趣旨に反する、公序良俗に反する、等、法律上記載することができない内容であった場合は、公証人はその内容を記載しません。法律の専門家を介して公証役場に依頼すると、専門家が正しい内容にしてから公証役場に依頼してくれるでしょう。しかし、もしそのような法律上問題のある離婚協議書を公証役場に提出すると、離婚協議書の作り直しをして改めるよう依頼を断られることになります。なお、公証人は「どこに問題があるのか?どうすれば良いのか?」等の説明する義務はありません。
離婚協議書と公正証書の必要性
シングルマザーのうち養育費を実際に受け取れている人の割合はたったの約28%です。たとえ離婚後養育費の支払いが始まったとしても、これが引き続き10年近く安定して続くでしょうか?またいつか相手が「再婚した。」「転職して給与が減った。」などの理由で支払いが止まるのではないかという不安を毎月抱えながらの生活はかなりのストレスになります。せっかく苦労して離婚が成立しても、離婚した相手に再び悩まされては、本末転倒と言えるでしょう。やはりそのようなストレスをなくすため、強制執行認諾約款付きの公正証書を作ることをお勧めいたします。
養育費保証会社に加入
離婚前離婚協議書や公正証書を作成することで養育費の確実な支払がされるよう対策します。しかし、実際に養育費を受け取るのは、あなた自身です。子どもが成人するまでの間、毎月元配偶者から支払いがあったのか、確認しなくてはなりません。もしも支払いがなかった場合には、あなたが元配偶者に対して催促を行い、必要に応じて強制執行の申し立てを行わなくてはなりません。これらのことは、時間的にも経済的にも精神的にも負担が大きいことです。
そこで、養育費保証会社に加入するという選択肢もあります。養育費保証会社とは、離婚後に子どものために養育費を受け取る人が、養育費保証会社と契約を結ぶことで、養育費の支払いを保証してもらうことができる会社のことです。
メリット
養育費保証会社に加入することのメリットは、以下のとおりです。
養育費保証会社は、あなたに代わって債務者に養育費を請求します。あなた自身に支払われる養育費は養育費保証会社から支払われます。そのため、債務者から支払いが行われているかという不安から解放されます。
もしも債務者からの支払いが止まっても、1年間は養育費が保証されます。つまり、養育費保証会社があなたに養育費を払い続けます。
養育費保証会社の弁護士が、強制執行の手続きを行います。弁護士を探すという手間や費用もかかりません。
現在一部の自治体では、養育費保証を契約する際の初回手数料を支援しています。初回手数料は、養育費の1か月分程度です。
手数料
毎月、養育費の3%(2,000円に満たない場合は2,000円(税抜))の手数料3%が必要です。
この手数料により養育費を支払う側の金額は変化しません。支払われる側の金額から3%引かれた状態で振り込まれるというシステムです。
離婚するときには、養育費の支払いに関して、離婚協議書を公正証書にすることや、養育費保証会社に加入することなど、様々な選択肢があります。これらの選択肢のメリットやデメリットをよく理解し、自分にとって最適な方法を選ぶことが重要です。離婚に関する法律や手続きは複雑で難しいことが多いので、弁護士や行政書士などの専門家に相談することもおすすめします。
公正証書の強制執行認諾文言とは
離婚協議書を作成する際、養育費や慰謝料などの金銭支払いを夫婦で取り決めた場合、これらの約束を公正証書に記載します。公正証書による離婚契約は、法律専門家からも推奨されています。その理由は、公正証書に執行認諾文言を記載することで、金銭支払いが履行されない場合でも、裁判を経ずに給与や預貯金などの財産を差し押さえる強制執行手続きが可能になるからです。一方、私署証書(公正証書以外の契約書)では、金銭支払いに不履行が生じた場合、裁判を通じて判決を得なければ強制執行手続きは行えません。
公正証書による契約は、訴訟手続きを回避できるため、効率的で有利です。金銭支払いに関する契約では、履行されるかどうかが重要です。養育費などの支払い約束は長期にわたる場合が多く、金額も大きくなります。訴訟を起こす場合、弁護士費用がかかり、回収が難しくなることもあります。
公正証書には執行認諾文言が含まれ、次のように記載されます。
『・・・に記載の債務履行を遅滞したときには直ちに強制執行に服する旨陳述した。』
ただし、公正証書に強制執行認諾文言を記載したからといって、全体が強制執行の対象になるわけではありません。公正証書における契約は、特定の債権に限定され、金額も明確になっている必要があります。公正証書による強制執行には所定の手続きが必要ですが、裁判に比べて迅速に動けるため、経済的にも有利です。協議離婚の際に養育費や慰謝料の支払い約束をした場合、強制執行認諾文言を含む離婚公正証書を作成することで、安心感が得られます。ただし、公正証書を作成する際には要件を満たす必要があり、すべての契約に公正証書を使用するわけではありません。
執行証書化の要件とは
公正証書を作成する際に、強制執行の対象となる条件があります。具体的には、公正証書の文中に強制執行認諾文言が記載されている必要があります。また、強制執行の対象とする債権は金額等を明確に設定する必要があります。公正証書に記載された債権が何に関するものであり、その金額が明確であることを指します。つまり、誰でも計算をすれば同じ結果になる内容である必要があります。
ただし、契約書として公正証書を作成する際には慎重な対応が求められます。公正証書契約の条件を定める際には、強制執行の対象となるように注意深く進める必要があります。一般的な誤解として、公正証書に記載されていればどんな金銭支払いの約束でも強制執行の対象になると考えることがありますが、実際には一定の要件を満たしたものしか強制執行の対象にはなりません。
強制執行の手続き
もし養育費を支払う義務のある側が何らかの理由で支払いを滞らせた場合、養育費を受け取る権利者側は所定の手続きを経て、支払い義務者の給与などの財産を差し押さえることができます。この方法によって、受け取るべき金銭を回収する手続きを「強制執行」と呼びます。特に支払義務者が会社勤めをしている場合、給与を差し押さえる方法は滞納した養育費を回収する際に効果的です。
一般的な債権の場合、給与の1/4までしか強制執行できませんが、養育費については給与の1/2まで差し押さえることができます。養育費を受け取る側の子どもにとっては、その生活費となるお金なので、一般の債権よりも優遇されていると言えます。
強制執行の手続きは、離婚公正証書を作成した公証役場で送達と執行文の付与を先に済ませた後、地方裁判所に申し立てを行います。強制執行は裁判所から行われる強力な手続きです。手続きを行う際は本人で調査することもできますが、費用がかかる場合、弁護士に手続きを委任することもできます。
公正証書作成の注意
夫婦が合意した離婚条件を公正証書に記載する際には、法的に有効な条件を整理し、金銭の支払い契約を強制執行できる形式で明確に定めます。また、公証役場へ提出するための資料の準備も重要です。公正証書の作成に向けて、必要な手続きを着実に進めましょう。
実行可能な内容を取り決める重要性
離婚契約を公正証書にすることで、金銭給付についての安全性が高まります。しかし、強制執行の可能性を考慮しながら契約することが重要です。
例えば、養育費を支払う側の給与を差し押さえることは、その人の信用を損なう可能性があり、関係を悪化させることになります。また、差し押さえが行われると、本人が退職する可能性もあります。相手の収入源を失うことは、支払いを受ける側にとって困難です。公正証書契約は、支払い遅延に備える安全な手段ですが、支払いの継続が最も望ましい形です。養育費や慰謝料などの支払いが重なる場合、債務者の負担は増加します。無理な契約は支払い意欲を低下させ、最終的には良い結果にはつながりません。離婚条件を話し合う際は、実現可能な契約を目指すことが重要です。契約後に不払いを防ぐための対策も検討しましょう。
公正証書の作成手続き
公正証書作成には準備が必要になります。例えば、戸籍謄本や登記簿謄本など、必要書類をそろえることや、決められた日時に公証役場に出向くことも必要です。そして、公正証書作成依頼から完成までには、おおよそ2週間程度はかかると考えましょう。もちろん原稿案(離婚協議書)の有無や、公証役場の混雑状況など様々な要因によって完成までの時間が早まったり長引いたりします。依頼した当日即座に完成するものではないということを心得ておきましょう。
また、公正証書の作成には費用が掛かります。そして、離婚給付の公正証書を作成する際の公証人手数料の額は、公正証書に記載される目的価額(相手方に請求する財産の価格)によって数万円から数十万円とさまざまです。
公正証書作成には依頼先公証役場の混雑状況により、2週間~6週間程度かかると考えましょう。その為、離婚届の提出と公正証書の作成の手順を考えて進めなければいけません。
協議離婚のメソッドと注意点~離婚協議書と公正証書の必要性~
離婚の方法
協議離婚
離婚には大きく3つの方法があります。一つ目は、「離婚届」に判を押し、役所に提出するだけで成立するのが、協議離婚。これは、夫婦が話し合い、合意していればどんな理由で離婚してもかまいません。全体の9割がこの方法で離婚します。この離婚方法が最も迅速で簡単な方法です。
調停離婚・審判離婚
二つ目は、夫婦の話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立て調停委員が間に入り、お互いの言い分を調整しながら離婚を目指す調停離婚。なお、調停離婚の派生として、審判離婚とは、離婚調停においてほぼすべての条件を決めることができたけれど、些細なことが原因で調停が不成立となりそうな場合に、家庭裁判所の裁判官が、職権で必要な決定を下して成立させる離婚のことです。
裁判離婚・和解離婚・認諾離婚
三つ目は、調停離婚がまとまらず終わった場合、家庭裁判所に離婚を求めて裁判を起こす裁判離婚。相手が離婚に同意していない中で、裁判で一方的に離婚を成立させるためには、法的な離婚理由が必要となります。なお、裁判離婚の派生として、裁判の途中で、家庭裁判所から和解の提案を受け、離婚の合意ができたときに成立する和解離婚。または、離婚裁判の途中で、裁判を起こされた側が、裁判を起こした側の請求を全面的に受け入れて成立する離婚は認諾離婚と呼ばれます。
協議離婚は冷静さが大切
離婚の方法として最もおおいのが協議離婚です。この方法での離婚は最も早く簡単に離婚することができるというのが最大のメリットです。しかし、その為勢いで離婚してしまうこともできます。つまり、感情的になりすぎて何も決めず離婚してしまうということです。しかし、冷静さを失わないように気をつけなければなりません。 離婚する際に未成年の子供がいると、どちらかの親が親権者になることが法律で定められていますが、感情的になっていると、自分が望む親権者の指定ができないかもしれません。 さらに、協議離婚の場合は、養育費の額や支払い方法、財産分与の方法や割合など、離婚に関するすべての事項を夫婦で話し合って決めることが可能ですが、話し合いがうまくいかないと、養育費や財産分与が不公平になる恐れがあります。 例えば、厚生労働省の調査によると、養育費の金額について合意して離婚した子連れ離婚の割合は、全体の約4割〜5割程度にとどまっています。 そして、養育費が実際に支払われている人の割合は、母子家庭の場合は28%、父子家庭の場合は19%に過ぎないのです。 これは、話し合いを十分にしないで、「毎月養育費を〇〇万円支払う。」というような、子連れ離婚の最も基本的な合意事項すら決められないまま、離婚後の生活に入ってしまうことが多いということを意味しています。 協議離婚では、話し合いは非常に重要なプロセスです。そして、話し合いの結果を書面の残しておくことが大切です。
協議離婚の流れを把握しよう
協議離婚の手続きは一般的に以下のような流れになります。
- 夫婦で話し合う
- 離婚に合意する
- 親権者を決める
- 財産のこと・子供のことについて話し合う
- 話し合った内容を書面化する(離婚協議書・公正証書)
- 離婚届を役場に提出する
協議離婚とは、夫婦が離婚について合意し、未成年の子供がいる場合は親権者を決めて、離婚届を役場に提出することで離婚が成立する方法です。子供の養育費や面会交流の頻度、財産分与の方法や割合などは、離婚届に記入する必要はありません。離婚届に記入しなければならないのは、親権者の名前だけです。しかし、親権者だけを決めて、他のことは何も話し合わないで離婚すると、離婚後に大きな問題が起こる可能性が高いです。離婚した後には、経済的な困難が生じることが多いです。養育費や財産分与について全く話し合わないと、離婚後に生活するための資金が不足することがあります。また、大まかには話し合っても、その内容を書面に残さないと、後から言い争いになったり、約束が守られなかったりすることがあります。例えば、養育費については、支払う側が支払いを拒否したり、減額を求めたりすることがあります。面会交流については、親権者が子供との面会を制限したり、非親権者が子供を無断で連れ去ったりすることがあります。財産分与については、相手が隠し財産を持っていたり、分与の方法に不満を持ったりすることがあります。これらの問題は、離婚後になってから解決するのは非常に困難です。そのため、離婚届に記入する必要がないとしても、子供のことや財産のことは、詳しく話し合って、その後その内容を離婚協議書・公正証書という形で書面に残すことが大切です。
「財産のこと」
離婚するときには、夫婦が一緒に築いてきた財産を分け合って清算します。これを財産分与といいます。 財産分与の対象になる財産は、夫婦が共同生活をしていた期間(別居してからは除きます)に作られたものです。その財産が夫の名義でも妻の名義でも、財産分与の対象になります。 ただし、結婚する前から持っていた財産や、婚姻中に相続や贈与で得た財産は、特有財産として財産分与の対象になりません。 協議離婚の場合は、夫婦で話し合って財産分与の方法を決めることができます。 財産をどのように分けるかは、財産を作るのに夫婦がどれだけ貢献したかが考慮されます。 しかし、夫婦の貢献度をはっきりと測ることは、現実的には難しいです。 そこで、特に問題がない場合には、夫婦の共同財産を半分ずつに分けることが公平だという「2分の1ルール」という考え方が基本となっています。 もちろん、夫婦で財産分与について話し合うときには、2分の1ルールに固執せず、さまざまな事情や要素を考慮して財産分与の割合を調整して決めることも可能です。
専業主婦も半分の財産分与
「2分の1ルール」は共働き夫婦に関しての話しというわけではありません。収入が夫のみで妻が専業主婦の場合も財産は二人のものです。この場合、妻は家事・育児をすることで夫婦の共有財産の構築に協力してきたことが法律上も認められているからです。
リスト化してみよう
- 現金
- 不動産
- 預貯金
- 自動車
- 積立型保険
- 私的年金
- 将来の退職金
などが財産分与の対象となります。
すべて書き出しましょう。また必要があれば写真などもとりましょう。住宅ローンやその他の借金などのマイナスの財産も対象です。
「子供のこと」
養育費
子供に関しては、主に親権、養育費、面会交流について話し合います。養育費は毎月支払われるものです。いつ、どのように支払われるかなど具体的に決めます。
- 金額
- 支払い期日
- ボーナス月の増額の有無
- 振込先の口座
- 支払い終期
また、養育費とは別に「特別費」というものがあります。「特別費用」とは、子供が進学するときなどに必要になる大きな金額の費用のことです。これらの費用についても、養育費と同様に、夫婦で話し合って決めることが必要です。養育費は、夫婦の感情や争いに左右されるべきものではありません。養育費は、子供が生活するために必要なものであり、子供の権利です。夫婦が離婚しても、子供は父親と母親の関係を失うわけではありません。子供が成人するまで、父親と母親は子供の養育に責任を持ちます。そのため、養育費を「払わない」という選択肢は、本来は存在しません。しかし、現実には、養育費についてきちんとした取り決めをして離婚した夫婦は、少数派です。
面会交流
離婚するときには、子どもの幸せを考えて、親権者でない親と子どもがどのように交流するかを夫婦で話し合っておくことが大切です。 夫婦で合意できない場合は、家庭裁判所に申し立てて、面会交流のルールを決めることもできます。 面会交流をすることは、子どもにとって良いことです。子どもは、離婚した親からも愛されていると感じることができます。子どもの心の成長にも影響します。 面会交流をすることは、親子の関係を断ち切らないことです。親権者でない親も、子どものことを見守っていくことができます。
決めておくこと
面会交流については、夫婦で話し合って決めることができますが、その内容は大雑把にすることもできますし、細かくすることもできます。 大雑把にする場合は、「月1回程度会う」というように、面会交流の頻度だけを決めておくこともできます。細かくする場合は、「月何回、どこで、何時間、どのように引き渡すか」などの面会交流の方法や、「子どもが親権者でない親と一緒に泊まるかどうか」や、「子どもにプレゼントを渡すかどうか」や、「子どもと親権者でない親との電話やメールの連絡の仕方」や、「子どもと祖父母との関係の維持の仕方」などの面会交流に関する事項も決めていくことができます。
書面化しよう
財産分与や子供の養育費など、離婚に関する事項について夫婦で話し合って決めたら、その内容を書面に残しておくことがとても大切です。書面に残すことで、離婚後にトラブルが起こったときに、証拠として使うことができます。書面に残す方法としては、まず離婚協議書という形式で、夫婦が合意した内容を記載します。その後、離婚協議書を元に公正証書を作成するのがお勧めです。
離婚協議書
離婚協議書を作成することの一番の目的は、離婚後にお互いに約束したことを守るようにすることです。離婚に関する事項を詳しく話し合っても、その内容を忘れたり、解釈が違ったりすることがあるかもしれません。そうしたことを防ぐために、離婚協議書という書面にしておくことが大切です。また、離婚協議書を作成することで、財産や子供について何か決め忘れていないか確かめることもできます。しかし、離婚協議書は、夫婦が自分たちで作った契約書です。この契約書に書かれていることを守らなくても、法的な制裁はありません。この契約書は、夫婦が信頼しあって作ったものだからです。離婚する相手と信頼しあって契約書を作るというのは、なかなか難しいことです。そこで、離婚協議書をもとに、法的な効力のある公正証書にすることがおすすめです。
公正証書
公正証書は、公証役場で作成する公文書です。公正証書には、強制執行認諾約款というものを付けることができます。これは、相手が慰謝料や養育費などの支払いを怠った場合、裁判所に強制執行を申し立てることができるというものです。公正証書の作成には、公証役場の手数料がかかりますが、離婚後のトラブルを防ぐためには、必要な投資と考えることができます。離婚協議書や公正証書は、離婚に関する事項を書面化する一般的な方法です。
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