終活セミナーを終えて
以前、永代供養墓と合葬墓の違いについてお話しさせていただきましたが覚えていらっしゃいますでしょうか?
最大の違いは、運営管理者と供養の仕方だと思います。
永代供養墓は、一般的には寺院が運営されていることが多く、回忌や寺院の定められた日に、ご供養(読経)をされることが多いです。
それに比べて合葬墓は、行政が運営されていることが多く、政教分離の原則から、行政がご供養について行うことは基本的にはありません(個別にお寺に頼んでやっていただくことは可能です)。
それぞれに、制約や条件があり、寺院ごとや自治体ごとによって異なる点は他にもありますが、大きな違いというのは、以上申し上げたところではないでしょうか。
今年の4月頃の話になりますが、あるお客様より、墓じまいとそこに埋葬されていた遺骨を海洋散骨したいとのことで、見積りのため墓地の確認に行ってきたときのことです。
そこの墓地は、八戸市から車で30分程度行った場所で、五戸町という場所にある、いわゆるみなし墓地(地域の共同墓地)でした。墓地の現状を確認して、ざっくりと金額やその後の流れなどについて話をしていたところ、お客様から、「ちょっと見てもらいたい物がある。」と、墓地の奥の方へ案内されました。
案内された場所へ着くと、聖観音像が立っていて、石のプレートには「みんなのお墓」と彫刻された合葬墓が出来ていたのです。聞いてみると最近出来たばかりで、利用者を募集しているとのことでした。
合葬墓の存在は公営の霊園では珍しくなくなってきていますが、みなし墓地に合葬墓が出来たんだ!と正直感動すら覚えました。
そこには、合葬墓に関しての内容、申し込みや料金などを明記した掲示物が貼ってありました。申し込みの連絡先には地元の「○○石材店」と書いてありました。
これを見たとき、ついに民営の合葬墓が出来たか、と感心しました。
料金は¥132,000(税込/1人分)人数が多いときは相談可能と書いてありました。
どこの墓地からの墓じまいによる改葬でもOK。地域も宗教宗派も問わない。など、とても申し込みの要件が緩く、どなたでも受け入れ可能な合葬墓です。
ですが、その申し込み要件の中で、ひとつだけ気になることがありました。
それは、墓じまいを必要とする場合は連絡先である、○○石材店に依頼すること。他社で墓じまいをされた遺骨については申し込みができないということでした。
民営(企業運営)のため必要な要件なのかもしれませんが・・・。
実は、今回墓じまいと海洋散骨のお見積りをご依頼されたお客様は、この要件が気になったようで、一応合葬墓へ改葬する前提で、見積りをとってみたそうです。
埋葬されていた人数も5名以上あり、合葬墓へ納める費用と、墓じまいにかかる費用の合計が、弊社の見積りのおおよそ倍になっていたようでした。
その結果、弊社で墓じまいと海洋散骨をすることになり、最近ご依頼内容が完了したことを受け、今回のコラムを書くことになりました。
けして、こちらの合葬墓について批判しているわけではございません。弊社にご依頼されたお客様のご予算や今後のご供養の計画によって、今回はこのような形になったのだと思います。
地元を離れたくない方、手を合わせる対象物があることを希望する方、もちろんご予算もあることでしょうから、今後のこともトータルで考え、身内の方ともよく相談して決めることが、最も大事なことだと思います。
そういう意味では、こういう民営の合葬墓、新しい選択肢が増えたということは地域にとっても、利用を検討されている方々にとっても、大変喜ばしいことではないでしょうか。
このように多様化が進み、選択肢が増えることは喜ばしい事ですが、民営の合葬墓を選択するときには、ひとつだけ確認しておいていただきたいことがあります。
それは、こちらの場合運営されているのは、会社(企業)だということです。面と向かって聞くのは失礼なことだとは思いますが、万が一にもその会社が存続出来なくなったときの、遺骨や合葬墓の管理についてです。
みなし墓地の場合は、墓地管理者が数年の任期で変わることがございます。お寺や行政が引き継いでくれるような仕組みで運営されていると良いのでしょうが、その辺りを確認しておく必要があると思います。契約書や規約などを確認していただくことをお勧めします。
八戸市周辺では、恐らく初の民営の合葬墓ではないかと思います。全国的には既に民営の合葬墓は存在し運営されているのではないかと思います。企業単独ではなく、宗教法人などと業務提携されているようなケースもあるのかもしれません。
寺院だから、公営だから、民営だから、それぞれにその運営母体によって出来ること出来ないことがあるように思います。
また、利用者にも今後のご供養について、ご予算、身内の方の意見、さらに現状の生活など、様々な諸事情があるわけですから、じっくりと検討し決断していただけたらいいのではないでしょうか。
今後どのような合葬墓ができるのか、合葬墓以外にも、どのようなご供養の方法やスタイルが生まれてくるのか、少子高齢化が進む中、先祖を想う気持ちやご供養する気持ちは変わらぬまま、新しい選択肢が生まれてくることを望んでなりません。
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