終活セミナーを終えて
みなさんの中で、ペットを過去に飼っていた、もしくは現在ペットを飼っていらっしゃるという方は多いのではないでしょうか。
ペットといえば代表的なのは、犬や猫ではないでしょうか。これらばかりではなく、鳥や昆虫、爬虫類や外来種の珍しい動物まで、今ではペットとして飼われるようになりました。
実は私も過去にワンちゃん二頭を飼っていた経験があります。子供が幼少期の時で、ペットというよりは、兄弟のように、家族のように生活を共にしていました。
ですが、生き物は寿命こそ違えども、必ず一生の終わりがやってきます。ペットと言われる動物は人間よりも寿命が短い生き物がほとんどですから、そのペットの「死」に直面することも、しばしばあるのではないでしょうか。
家族同様に過ごしてきた、自分を癒してくれたペットですが、死んでしまったあとには、自分と一緒に、人と同じお墓に埋葬してあげられるのでしょうか。
実は、このようなペットの死後についての質問は少なくありません。
人から聞いて知っていたり、過去に弔ってあげた経験の持ち主でさえも、以前とは違うやり方があるのか、何か法律的に変わったりしていないか、といったご質問を受けることさえあります。
では、ペットが亡くなった後の遺体はどのような取り扱いや対応をされるのか、解説していきたいと思います。
人間とペットは同じお墓に埋葬(納骨)してもらえるのか?
結論から言うと、現行ではかなり難しいでしょう。全国的には、同じお墓に埋葬できる霊園もちらほらあるようですが、基本的には無理と言っても言い過ぎではないかと思います。
理由はふたつあります。
ひとつ目は、宗教的な理由です。ペット(愛玩動物)という概念は近年生まれた考え方です。その概念が無かった時代、4本足の動物は「獣」「家畜」のような扱いをされていました。その当時から宗教的には、人と動物は全く別のものとして区別されていたようでした。
ですから、同じお墓には埋葬はしないというのが理由です。
ふたつ目の理由は、法律的な理由です。
人が亡くなると「遺体」という扱いをされます。
ペットはというと、亡くなると「生ごみ」という区分になってしまいます。家族のように愛されていた方にはとてもショックな扱いになってしまうような印象ですが、法律的には、このような解釈をされてしまいます。
例えば、次のようなとき、みなさんは誰を呼びますか?
もし人が頭から血を流して路上に倒れていたら…警察か救急車を呼ぶのではないでしょうか。では、同じ状況で犬が倒れていて、近くに飼い主がいなかったら…保健所に連絡することになると思います。
これが法律的な人とペットの大きな違いになります。
このように宗教的、法律的な理由で、現在は人とペットを同じお墓に埋葬(納骨)することは極めて困難な現状だと言えます。
ですが、最初にお伝えしたように、全国的には一緒に入れるお墓や区画を準備されている霊園もまだわずかですが運営されてきているようです。
埋葬に関することはこのように人とペットを同等に扱うということには問題や制約があって、今後はどのように進んでいくのかは何とも言えません。
ですが、ペットが亡くなってから火葬までの対応は、随分と人の場合と近い方法や手順、もしくは人と全く同じ手順で行うケースが増えてきています。
例えば、ペットの遺体に綿を詰めたり、きれいにブラッシングをしてあげるなどの処置も行っているところもあります。
人と同じ斎場(火葬場)ではありませんが、ペット専用の斎場もあります。
もちろん規模は小さくなりますが、ペットのための葬儀を行う飼い主さんや、それを準備、セレモニーを行ってくれる葬儀社さんまであります。
遺影や花も準備され、まるで家族葬のような様式です。
ペットそのものには宗教はありませんが、お経を唱えてくれる和尚様がいらっしゃることもあるようです。
このように、飼い主の意向や要望もあると思いますが、人とペットを一緒のお墓に入れること以外は、人の死と同じようにペットも扱われるようになってきています。
あらためて、ペットの埋葬に目を向けてみると、人と一緒に埋葬できないだけで、埋葬される墓地や、その後建立される石碑(墓石)は人と何も変わりありません。
今でもありますが、以前からお寺や霊園では、ペット専用の合同慰霊碑や別区画としての、ペット用の小さな墓地は準備されていました。
それが今では、霊園そのものがペット専用の霊園だったり、いつでも家族が訪れてお参りしながら休憩したり、ペットと一緒に過ごせる公園のような墓地まであります。
ペットと暮らす人が増え、ライフスタイルの変化や家族の一員としてのペットの存在意義が、ペットの葬祭、お墓事情にも間違いなく影響してきているようです。
人とペットが一緒に埋葬してもらえる霊園は、数としては全国的にみてもまだまだ圧倒的に少ない現状です。今後増えていくのかも正直想像ができません。
ですが、高齢化や核家族化が進むことで、家族の一員としてのペットへの依存が高まることで、ペットの埋葬の考え方の人との隔たりもなくなってくるのかもしれませんね。
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