墓地の購入(永代使用権)と墓地の種類

佐々木博一

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墓じまいに関する相談を多く受ける中、逆に墓地の購入や墓地にまつわるご相談も実は大変多くなっています。

まったく相反する内容に思われますが、それだけ墓地やお墓に関する興味や関心が強いということですね。

墓地を購入する際に、どんなことに配慮したらいいのか、後々失敗したと思わない為にも、知っておいた方が良い知識など、解説していきたいと思います。

『墓地を購入』するという言い方をしていますが、実際には墓地(土地)を購入するのではなく、『永代使用権を取得する』と言った方が正しい使い方になります。
※ここでは便宜上、墓地を購入するという言い方をさせていただきます。

『永代使用権』とは、その権利を取得した家が、代々続く限り使用できるという権利です。なので、承継者がいないなどの理由で、今後墓地を使用せず墓じまいをされる際には、墓石の解体だけではなく、墓地の返納もしなければなりません。

返納する際も、当初権利を取得した状態(更地など)に戻す必要があります。使用権取得時の契約書の規定などに記載があったりしますので、確認しておいた方がいいでしょう。

この時、当初お支払いした永代使用料という代金は戻ってきません。
情報が少なかった時代に墓地を購入した方からごくまれに聞かれるのは、使わなくなった墓地を誰かに譲ることはできないか?購入代金は戻ってくるのか?とご質問されることがあります。残念ながらどちらもできません。

ただし、ご自身の身内であったり、そこに建立されている墓石を利用される親戚などであれば、永代使用権を承継できる場合もあるようなので、確認してみてもいいかもしれません。

最近では、墓地の購入の相談に寺院に行くと、「お孫さんはいますか、三代先までお墓を守ってくれる人はいますか」というような質問をされる寺院もあるという話です。

少子高齢化や核家族化などの現代社会の現状がこんなところにまで影響しているのですね。

それでは、この墓地ですがどの様な種類があるのでしょう。
管理形態で次のように四つの分類ができます。

①公営墓地 … 自治体(市町村役場)が管理
②民営墓地 … 民間企業や民間団体が管理
③寺院墓地 … 寺院の境内など、寺院が管理
④みなし墓地 … 町内や地域の組合などが管理

ではそれぞれの墓地について考えられるメリット、デメリットなどお伝えしていきたいと思います。

①公営墓地
各地方自治体(市町村役場)で運営管理されています。
自治体が運営していますから、継続性の部分では一番安心なのかもしれませんね。
墓地購入費用や年間管理費用などは民営墓地や寺院墓地に比べると安価なところが多いようです。ですが、いつでも購入(受付)できるというわけではなく、広報などで募集して受付しているところがほとんどのようです。
また、誰でも募集に参加できるというわけではなく、その自治体の住民であること、購入後〇年以内に墓石を建てることなどの募集条件があったりします。
応募者多数の時は、抽選方法をとっているところが多いので、必ず墓地を購入できるとは限りません。
要件を満たしていると優先されることもあるようなので、そこは広報などで確認して申込した方がいいですね。

②民営墓地
民間企業や、民間団体などが管理運営している墓地です。
宗教宗派を問わないところが多いようですが、お墓を建立する際の墓石店や石材店など、指定業者を設けているところが多いようです。
数年前には、都会から離れた風光明媚な場所に民営墓地が数多く作られました。ですが、車での移動時間がかかるような場所も結構あるようです。
民営墓地は、管理運営している企業、団体によって金額や条件がかなり違ってきますので、規約や条件面についてはよく目を通して契約することをお奨めします。

③寺院墓地
寺院墓地は寺院が運営管理している墓地で、最も分かりやすいのは、寺院の境内で、本堂の周辺にあるような墓地です。本堂から遠く離れている墓地でも寺院墓地の場合もあります。
寺院墓地の最大のメリットは、お寺と墓地が目と鼻の先にあるという近さです。納骨(埋葬)や法要の時などは、移動時間がなく利便性が良いところです。
また、住職が近くに住んでいるというのも安心感につながるようですね。
ただ、その墓地を購入する前提として、檀家になることが必須になりますので、実家などと同じ宗派を希望されるときには、宗派を確認することをお奨めします。

④みなし墓地
「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年施行)という法律があるのですが、その法律が施行される以前から存在する墓地で、地域や町内などにある墓地です。
その墓地は小高い場所や、住宅地の真ん中にある場合もあります。
管理はその地域で管理委員会などを設置して、そこの長が管理者になっていることが多いようです。
自宅から近い、ご近所の方や親戚なども利用されていて、お墓参りに行ったらお花がお供えしてあった、ということもあるようです。
ですが、誰でも購入できるわけではなくて、その地域の住民に限られることが多いようです。また、墓地の区画数が必ずしも多くはないようなので、空いていないこともあるようですね。

このように墓地には種類があり特徴がりますが、実際に墓地を購入しようと思った時、何を優先し何に重点を置いて最終的な決断をしたらよいのでしょう。

それは、その人のライフスタイルや、置かれている状況や環境によって、優先するべきことは違っていると思います。

自宅からの距離、交通の便、お寺と墓地の隣接、墓地の管理業態、費用など、条件に見合った墓地を探すのではないでしょうか。さらに墓地は何年と使い続けることになりますから、今の自分だけではなく、自分が年老いてからのことも多少は考えておく必要もあるのだと思います。

先ほど解説したように、それぞれの墓地には特徴や制約などがあったりしますので、ぜひ確認をして検討していただくことをお奨めします。

今後もライフスタイルの変化とともに、墓地という概念にこだわらない新しい収骨や埋葬の形がでてくるのかもしれませんね。

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