在日ベトナム人向け「所得補償保険」の紹介②

倉片稜

倉片稜

2020年6月13日に新しく始まった、在日ベトナム人向けの「所得補償保険」に関しまして簡単に紹介します。6月15日(月)と17日(水)にサービスの説明会を開催しました。その時に使ったスライドを含めて、KUROFUNE株式会社と在日ベトナム人就業者支援協会が提供する保険についてお話しします。今回は後半編ということで具体的な保険の制度についてご紹介します。


前半の記事はこちらから!!


夢と希望を持って、20代という若いときの大事な時間をかけて日本に来たはいいけど、100万円の借金を背負ってしまい、ケガや病気をしてしまったがために借金が完済できずに借金まみれになって帰国しなければならなかった。こういった外国人を1人でも救うべく、そして外国人にとって「働きやすい・住みやすい」と思える社会を実現するために、KUROFUNE株式会社と在日ベトナム人就業者支援協会の2団体は、この「所得補償保険」のサービスを考え、三井住友海上火災保険さんと連携して提供することとなりました。



「所得補償保険」のサービスを受けるためには、KUROFUNE株式会社が運営する「在日ベトナム人就業者支援協会」に入会する必要があります。この協会に入会すると自動的に所得補償保険が付与されることになります。その他のサービスとして、KUROFUNE株式会社が運営する在日ベトナム人向けのメディア「WABISABI-JAPAN」の記事やFacebookコミュニティ「在日ベトナム人情報交換コミュニティ」などの記事をみることが出来ます。またそれぞれの地域で会員限定のイベントも開催予定です。このように在日ベトナム人にとって有益となるようなサービスを順次増やしてまいります。協会の年会費は税抜きで15000円となっております。月あたり1250円となります。



所得補償保険の仕組みは上記の通りです。まずは申し込みをいただいた企業の方、あるいは管理団体の方から自社で管理する在日ベトナム人就業者の情報をKUROFUNE株式会社に送っていただきます。その後審査が通ったら「在日ベトナム人就業者支援協会」への入会となります。入会後に三井住友海上火災保険株式会社さんが提供する「所得補償保険」が入会した在日ベトナム人就業者に自動的に付与されます。もちろん企業を通さずに本人が協会に入会することも可能となります。



協会に入会すると付与される所得補償保険の詳細の内容です。免責期間7日間を超えて働けなくなった場合に所得を補償するものとなります。月額最大で10万円、総額で最大120万円が支給されます。日本に来るときに100万円程度の借金を背負っている方にとって、何かあった際に借金を返せる金額となるため安心して日本で働くことができるようになるのではないかと思います。

具体的な例として、交通事故によってケガをして入院してしまい働くことが出来なくなった場合。病気によって医師の治療を受けながら自宅で療養する必要があり、働けなくなった場合などが想定されます。どちらのケースも働けなくなるような事由が発生し、働けなくなったという結果が必要となります。



様々な方から既存の保険とどのような違いがあるのかという質問をいただくので、ここで技能実習生にまつわる代表的な3つの保険と所得補償保険の違いについてご紹介します。

まずは右の2つの「社会保険」と「技能実習生総合保険」についてです。こちらはケガや病気になった際の治療費の負担が軽減できるという性質を持つ保険です。病院の窓口負担が30%になるのが「社会保険」いわゆる健康保険です。そしてその30%負担が実質0になるのが技能実習生総合保険です。つまりこの2つの保険によって、病院での窓口負担が0になります。ご存知の通り社会保険は企業の義務となっているので在日ベトナム人就業者は全員が必ず入っています。この技能実習生総合保険は入っても入らなくてもいい任意保険となっていますが、日本政府も加入を推奨しているのでほとんどの方が入っています。

そして次は「労災保険」です。これも企業が加入が義務付けられている保険です。先ほどの2つの保険と異なり、病院に通院した後に支給される保険で、働けなくなることで減少する所得を補償する意味合いの強い保険となります。ただし、労災保険は「勤務中と因果関係が認められるもの限定」であるので、簡単に支給されるものではありません。休日のケガは支給されないですし、病気については余程の因果関係が認められれば支給されますが、3年で帰国してしまう技能実習生にとって因果関係を証明するのは非常に至難の技です。そのため全てのケガや病気が対象にならないのです。

それに対して今回協会に入会すると付与される「所得補償保険」は、労災保険と同じく、所得を補償する保険となります。労災保険と大きく違うのは、ケガや病気によって免責期間を超えて働けなくなった場合に支給されるため、休日のケガも対象となり、また労災保険では難しかった病気も対象となります。そのため、既存の保険とは対象となる範囲が異なります。



これをわかりやすくしたのがこちらの図となります。治療を受けているときに病院の窓口負担が軽減されるのが社会保険です。窓口での負担金額が30%になります。そしてその30%負担が0になるのが技能実習生総合保険です。こちらは申請すると後ほど返ってお金となります。

それに対して、ケガや病気によって所得が減る際の補償を行うのが、労災保険と所得補償保険になります。労災保険は勤務中と因果関係が認められるケガが対象となりますが、所得補償保険は休日でも病気でも対象となります。



では所得補償保険があるとベトナム人就業者と企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?本人のメリットは非常にわかりやすいかと思います。なんといっても所得が補償されるため泣く泣く帰国しなければならない事例が少なくなると思います。技能実習生は「何かあったときに帰国しなければならない」ことを恐れて、病院に行きたがらないという話を聞いています。しかし所得補償保険があることによってケガや病気になった際にすぐに病院に行ってくれるようになります。また借金への心的負担を減らすことができたり、休日のケガも対象になるため休日も余暇を楽しむことができるようになります。

それに対して企業のメリットは次の3つがあります。最大のメリットは「早期治療に繋がって社内の病気蔓延やケガの重症化を防げること」です。技能実習生の子たちは病院に行きたがらないので、体調が悪かったりケガをしたりしてもそれを放置してしまう可能性があります。例えば感染症に罹患していて、病院に行かずに出社してしまったら社内に感染症が蔓延してしまう可能性があります。またケガも無理に働かせてさらに重症化してしまいます。所得補償保険があることで早期に治療を受けさせやすくなり、このような事例を防ぐことができます。2つ目は「帰国しなくてよくなるため同じ方を継続して雇用できること」です。帰国してしまった場合、別の技能実習生が就業しに来ることがありますが、また一から教えなければなりません。同じ方がずっと働いた方が教育コストも軽減できます。3つ目は「ベトナム人就業者へのモチベーションアップになること」です。このような福利厚生があればベトナム人は安心して会社で働くことができ、モチベーションを上げることができます。



協会に入る際の具体的なフローをご紹介します。まずはKUROFUNE株式会社の本社にお問い合わせいただければと思います。電話でもHPでのお問い合わせフォームでも可能です。在日ベトナム人就業者支援協会のHPからのお問い合わせでも大丈夫です。
KUROFUNE株式会社のHP
在日ベトナム人就業者支援協会のHP
お問い合わせいただきましたら協会への入会書類と所得補償保険の加入に必要な健康状態同意書を送付するので、こちらをKUROFUNE本社(〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野2-14-1 なごのキャンパス2-6)へ郵送いただくか、あるいはメール(info@kurofune-inc.jp)にて送付してください。送られた書類をもとに入会の審査をします。

審査を通過したら、在日ベトナム人就業者支援協会の指定口座への入金をお願いしております。金額は税別15,000円となります。14日以内に入金が確認できない場合、審査が取り消しとなる可能性がございますのでご注意ください。

【協会の口座】
三井住友銀行 名古屋支店
普通 7979432
在日ベトナム人就業者支援協会

入金が確認できましたら入会となります。入会が決定となりましたら①保険の手引き、②協会のパンフレット、③入会証をいただいた住所に送付します。



では実際に「在日ベトナム人就業者支援協会」に入会できるのはどのような方でしょうか?一言で言うと「ベトナム人で、日本に住んでいて正社員として仕事をしている方、あるいはこれから日本に行って仕事をする方」になります。

そのため就労を前提として日本の技術を学びに来る「技能実習生」の方、就労を前提として日本に滞在している「技術・人文知識・国際業務」ビザの方、「特定技能」ビザの方、永住ビザを持っていて日本で正社員として働いている方が対象となります。永住ビザで正社員として働いていない方や、週に28時間のアルバイトが認められている資格外活動(留学生、家族滞在、特定活動)の方は対象外となります。

その他にも、不法滞在している方や失業していて次の就業先のめどが立たない方、協会が不適と判断した方は対象外となりますのでご了承ください。



次に実際に協会に入る時の入金パターンを紹介させていただきます。主に3パターンあります。一番わかりやすいのは左にある企業が全額負担するパターンです。自社で雇用するベトナム人就業者に対して福利厚生として協会のサービスを提供する場合です。この場合は企業が年会費である15000円を負担します。他のパターンとして、一番右にある協会に入会する本人が全額負担する場合です。保険のサービスを享受する本人が負担するというものです。企業は入会へのサポートをするという立場になります。

KUROFUNE株式会社としても最もオススメしているのが、企業とベトナム人就業者でお金を折半する方法です。こちらのパターンは一番人気があります。休日のケガは企業の目の届かないところにあるので、全額負担するには分が悪いと考えており、本人にも少しは負担してほしいと考える企業がおります。企業にとっても半額負担しているので福利厚生としてもこのサービスを使うことができます。それぞれの負担は月あたり625円となるので、1時間の時給以下の金額でこの所得補償保険を含む協会のサービスを使うことができます。



では実際にケガや病気になって就業できなくなった時にどのように申請していけばいいかをご紹介させていただきます。まずはこちらも同様に弊社にお問い合わせいただければと思います。その後、所得補償保険の支給の申込書を送付するので、こちらを記入していただければと思います。その際に実際にケガや病気になったことを証明するために、医師の診断書をもらって2つの書類をKUROFUNE株式会社の本社宛に送っていただければと思います。

その後、書類の不備があるかだけチェックした後に、保険会社にいただいた書類をもとに審査をしていただきます。もし審査が通りましたら、申し込みの時に指定いただいた口座にお金が着金するという流れになります。KUROFUNE株式会社と保険会社の2重のチェックがありますので少々お時間いただく点だけご了承ください。

KUROFUNE株式会社としても1人でも多くのベトナム人就業者の方が安心して働ける環境を作りたいと思っているので、最短で審査が通って着金できるように全社をあげて進めていきたいと思います。ですので何かございましたら是非ともお気軽に弊社のスタッフにご相談いただければと思います。特にこのような非常事態の際には、ベトナム人就業者の方も動揺しているかと思います。弊社のスタッフにベトナム人スタッフもおりますので、心のケアまでできればと思います。



保険が支給されるような具体的な事例を紹介させていただきます。今回は12月1日に脳梗塞で入院してしまい、6月10日に職場復帰した場合です。働けなくなった期間は6ヶ月と10日間になります。免責期間が7日間なので、所得補償保険の支給対象期間は6ヶ月と3日間になります。月の最大支給額は10万円なので、6ヶ月間で10万円×6ヶ月分支給されます。最後の3日間は30日間のうちの3日間なので、10万円の支給の10分の1なので1万円となります。従いましてこのケースの場合は61万円のお金が振り込まれることになります。

あくまでもこれは一例です。ケガや病気の状況によって支給金額が変わることにご注意ください。



最後に保険の契約期間についてです。所得補償保険の契約が完了するのは、入会に必要な「申込み書類」と「健康状態の同意書」「協会の入会金の振込」が完了した場合となります。入会が完了すると所得補償保険が付与されます。協会は1年間加入が可能となりますので、同じように所得補償保険の期間も1年間となります。継続して協会に入会するということでしたら、「継続確認書」と「1年分の年会費」をご入金いただければと思います。両方の確認が取れましたら所得補償保険も継続して契約することができます。この2つが確認できない場合は協会を脱退したということで、所得補償保険の契約も解除いたします。



こちらが最後のスライドとなります。「日本でいい仕事をしたい」「家族を幸せにしたい」などベトナムから日本に働きに来ている方は、夢や希望を持って日本で仕事をしています。しかしほとんどの方は借金を背負って日本に来ています。その借金を返しながら日本で働いているのですが、中にはケガや病気のために借金も返せなくなってしまった方、日本で生活することができなくなり帰国しなければならない方がおります。せっかく夢や希望を持って日本に来たのに、そのような状況になってしまうなんて本当に残念なことです。KUROFUNE株式会社は、そのようなベトナム人が一人でも救われるように、そして全ての在日ベトナム人就業者が日本で安心して働いて暮らせるようになることを願っております。このようなサービスを一人でも多くの方にお役立てできれば幸いです。



KUROFUNE株式会社と在日ベトナム人就業者支援協会をよろしくお願いいたします!!

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