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倉片稜(くらかたりょう) / 高度外国人材の活用コンサルタント

KUROFUNE株式会社

コラム

在日ベトナム人向け「所得補償保険」の紹介①

2020年6月17日 公開 / 2021年1月7日更新

テーマ:外国人定着

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 労災保険 手続き労働問題採用支援

2020年6月13日に新しく始まった、在日ベトナム人向けの「所得補償保険」に関しまして簡単に紹介します。6月15日(月)と17日(水)にサービスの説明会を開催しました。その時に使ったスライドを含めて、KUROFUNE株式会社と在日ベトナム人就業者支援協会が提供する保険についてお話しします。


まずはみなさんに問いたいと思います。

夢と希望を持って日本に働きに来たら、借金まみれになってしまっている外国人労働者がいることは知っていますか?自分に置き換えてみたらどうでしょう。海外で働けると思って夢と希望を持っていったら結局借金だらけになって日本に帰ってきた。こういった状況になったらどう思いますか?とても残念ですよね。でもこういったことが日本では起こっている状況なのです。



みなさんも実感があると思いますが、外国人労働者の人数はかなり増えています。2019年に日本で働く外国人労働者の数は約166万人となりました。この数字は毎年20万人増えている状況であり、2012年が68万人しかいなかったので、たった7年で100万人もの外国人労働者が増えています。日本の人口が減り始めてから急増していますよね。



働いている人の内訳をみると、最も多いのが永住ビザで働いている方。永住ビザは4種類あって、この4種類の合計で53万人の方が日本で働いています。そして技術・人文知識・国際業務ビザの方。通称技人国ビザの方です。これはエンジニアだったりマーケティングや通訳の仕事をしている方になります。現在日本には約26万人の方がいます。技能実習生は工場や建設現場などでブルーワーカーとして働く方です。こちらは38万人います。2018年が33万人だったので、1年間で5万人も増えています。コンビニや居酒屋でアルバイトする方のほとんどは留学生です。これは資格外活動許可をとった方であり、この許可を持っていると週に28時間までアルバイトすることができます。現在37万人の方が働いています。最後に一番下が、特定技能ビザです。日本政府が肝入りとして昨年の4月に新設したビザです。5年間で34万人の受け入れを目指しています。

今回KUROFUNE株式会社が提供する「所得補償保険」はこの赤枠で囲んでいる技能実習生がメインターゲットになっています。



この技能実習生の中でも最も多く日本に来ているのがベトナム人です。2019年現在、日本には約19万4000人の技能実習生が日本で働きに来ています。技能実習生は基本的に3年で帰らなければならないのですが、その数は急増しており、ここ数年だけ見ると毎年4万人の勢いで増えています。新型肺炎の影響で2020年の数字は15万人くらいに落ち込むと予想していますが、2021年は再び急増となり、20万人も超えてくるのではないかと予想しています。日本にいるベトナム人の労働者の半分がこの技能実習生の制度を使って日本に来ています。


私たちは普段の仕事を通じて、数多くの技能実習生と話す機会もあり、また3月にベトナムに行った際に現地の送り出し機関に訪問した際に、「なぜベトナム人の方は日本に技能実習生として来るのか?」質問したことがあります。

その答えとして多く出て来るのが、
①日本でいい仕事に就きたい
②給料がいい日本で働いてベトナムにいる家族を幸せにしたい
③日本で3年間しっかり学んでベトナムに戻ったらいい仕事を見つけたい
といった声が出てきました。
特に地方では仕事が無く、ハノイやホーチミンなどの都市部に仕事に行ったり、学校に通うにもお金が必要で、それなら日本に来て技能実習生として働いてみようと考える方が多いとのことです。

まさにベトナム人の皆さんは、自分の人生をかけて日本に来て仕事をしているのです!



もちろんタダで日本に来るわけにはいかないのが世の常です。技能実習生の子たちは、日本に来るために多額の借金を背負っています。借金の金額はだいたい100万円くらいとなっています。ベトナム国全体での平均月収が3万円なので、いかにこの100万円の金額が破格かってのがわかります。この内訳としては、まずは半年間の日本語と技能学習。ほとんどの方が地方から来ていて、半年間寮生活をしながら学習するため、寮での生活費も含まれています。そして日本企業への斡旋するときの手数料です。

この100万円を10代後半から20代の技能実習生が払えるわけもなく、親族からの借金や銀行からの借金に頼っているのが現状です。ベトナム国内では個人への貸出金利は10%を超えることもあり、100万円借りたら利息もかなりの金額を返さなければなりません。



実際に技能実習生の方は日本で働いた給料の一部を毎月借金返済に充てています。今年の4月1日に日本経済新聞に掲載されましたが、技能実習生の平均給与は15万6900円だったそうです。そのうち、生活するのに必要な費用として5万円程度を使っていて、残りの10万円ほどを借金返済に充てています。5万円の生活費の中には家賃や食費も入ります。技能実習生は複数人で同じ家に住む子も多く、家賃を抑えて生活しています。また外食や贅沢はせずに自炊することで食費を1万円以下にしている方も多いそうです。中には来日したてでお金がないので、川で魚を釣って食べたという方もいたみたいです。

早い人だと1年程度で100万円の借金を完済できます。時間がかかる人でも2年くらいかけて借金を返済します。借金が返済できると、その後の稼いだお金が貯金になるのです。ようやく夢を叶えるための資金を稼いだりできます。



しかし、私たちもそうですが生活する上でケガや病気になってしまうことはあると思います。このケガや病気が短期間であれば、治療に専念して職場復帰することができます。その際に使える保険として、窓口の治療費負担が3割になる健康保険や、その3割負担すらなくなってしまう技能実習生総合保険、そして勤務中のケガであると因果関係が取れれば労災保険も申請が可能です。

技能実習生が働く職場では時給制の仕事も多く、仕事ができない期間は一時的に給与が減りますが、すぐに職場復帰できればまた元の生活を続けることができます。


しかし問題なのが、ケガや病気が長期間に渡った場合です。

長期に渡ってしまって働けなくなると、その分の日本での生活費をどうするのか?という議論が起こります。特に長期間働けないとわかったら企業もお金を出すことを渋る会社もあると思います。3年で帰ってしまう技能実習生にそこまで手厚くできないという理由です。また技能実習生を管理する管理組合も面倒を見ることができず、結局は日本での生活費がまかなえずに、本人の同意のもと帰国しなければならない方がおります。特にケガや病気が数カ月にも渡るとこのような問題は必ず発生します。さらに帰国になった場合は労災保険を取得することがさらに難しくなってしまいます。

中には3年目で帰る直前であり借金も返済できたので、「まあいっか」と考える方もいると思います。この方に関しては日本に来た意味があったかと思います。しかし、借金がまだ完済できていない人は深刻です。ベトナムに帰っても平均月給が3万円なので、日本に来るために作った100万円は返済できないかもしれません。日本に来たがために借金を背負ってしまい、その返済に苦しんでいるという状況が起こりうるのです。



もう一度このスライドを出させてください。

夢と希望を持って、20代という若いときの大事な時間をかけて日本に来たはいいけど、100万円の借金を背負ってしまい、ケガや病気をしてしまったがために借金が完済できずに借金まみれになって帰国しなければならなかった。こういう外国人労働者がいるのは知っていますか?

KUROFUNE株式会社、在日ベトナム人就業者支援協会の2団体は、こういった外国人を1人でも救うべく、そして外国人にとって「働きやすい・住みやすい」と思える社会を実現するために、この「所得補償保険」のサービスを考え、三井住友海上火災保険さんと連携して提供することとなりました。後半編のスライドにて、具体的なサービスについて紹介させていただきます!

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