AIと人間、役割の違いをどう教えるか〜「考えるのは誰?」を問い続ける授業へ〜

大江香織

大江香織

テーマ:AI

「それ、AIに聞きました」
子どもたちの学習の中で、こんな言葉を耳にすることがあります。
年齢制限が緩和され、調べ学習や文章作成でAIを使うことも、学校での学習に少しずつ取り入れられてきています。
問題は、その先です。
AIに聞けばもっともらしい答えを出してくれる時代に、人間は何をする存在なのか。
学校のみならず、家庭でも、個人でも、今まさにこの問いと向き合う必要があります。

AIは、情報を集め、整理し、文章にまとめることが得意です。大量のデータをもとに、短時間で「それらしい答え」を提示できます。
一方で、AIは「なぜそれを選ぶのか」「それで誰がどう感じるのか」といった判断や責任を引き受けることはできません。
「AIが言っていたから」それを選んだとしても、選んだのは自分です。判断したのは自分である、ということを自覚できなければなりません。

そこで授業では、AIと人間の役割を意識的に分けて考える取り組みが始まっています。
たとえば、「AIには下調べをさせる」「要約はAIに手伝ってもらう」。
でも、「その情報を使うかどうか」「どう表現するか」「自分はどう考えるか」は、人間が決める。
こうした線引きを、実際の活動を通して体験し、先生が伴走して少しずつ子どもたち自身のものとしていくのです。

ある授業では、AIが出した文章をそのまま使うのではなく、「これは全部本当のことなのか」「どこが良いのか」「どこが足りないか」を子どもたちに話し合わせました。
「参考文献に書いてある本を探したけど見つからない」「言い切っているので正しいことのように感じる」「理由が弱いような気がする」「私の気持ちの部分が無視されている」
そんな声が上がり、AIの限界に気づく瞬間が生まれます。

大切なのは、「AIはすごい」「AIは危険」と極端に教えることではありません。
AIは道具であり、使う主体は人間であるという前提を、何度も確認することです。
AIは道具としてはとても強力です。人間の見える範囲や聞こえる範囲を大きく広げてくれます。ですが、代わりに考えてはくれません。正確に言えば、考えた風な言葉を羅列していたとしても、AIには何の責任もないのです。
考えること、選ぶこと、責任をもつこと――それは、AIには任せられない人間の役割です。

ご家庭でも、「AIがこう言った」という声が聞こえてきたら、「あなたはどう思う?」と聞いてみてください。
ご家庭でも学校でも、そのような一言が継続すれば、大きな学びにつながります。

もうすでに人間は、AIのない生活には戻れません。AIと共に生きる時代だからこそ、
「AIにできること」と「人にしかできないこと」を見分ける力を、学校でも家庭でも地域でも丁寧に育てていく必要があります。
それが、これからの教育に求められている重要な役割なのだと思います。

ハイパーブレインでは、これらを前提としたご支援で学校や、保護者の皆様を支えます。
PTAでのミニ研修など、お気軽にお問い合わせください。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

大江香織
専門家

大江香織(教育情報化コーディネータ)

株式会社ハイパーブレイン

教育用AIチャットボットや、教育委員会と学校の情報共有をスムーズにするダッシュボードなどのICTツール開発。教師本来の業務である授業の充実や子どもとの触れ合いに専念できるようサポートします。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

学校教育のICT支援で子どもが笑顔で学ぶ環境を創出する専門家

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ愛知
  3. 愛知のビジネス
  4. 愛知のシステム開発・業務システム
  5. 大江香織
  6. コラム一覧
  7. AIと人間、役割の違いをどう教えるか〜「考えるのは誰?」を問い続ける授業へ〜

大江香織プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼