フィルタリングの「過保護」と「放任」のあいだで〜子どもを守りすぎず、放任しすぎず〜

「どこまで制限したらいいのか、わからないんです」
「フィルタリングって、何をどう設定すればいいんでしょうか？」
タブレットを家庭で使うようになった今、先生方から「保護者からこういう風に聞かれるんです」という相談を受けることが増えています。

GIGAスクール構想で1人1台端末が整備され、子どもたちは自宅でもタブレットを活用するようになりました。
学校側は不適切なサイトへのアクセスを制限するために、端末にフィルタリング（閲覧制限）をかけています。
端末自体をフィルタリングで守っている仕組みがほとんどですが、家でWi-Fiに繋ぐと一瞬フィルタリングが緩むというような
「抜け穴を探す」方法がいくらでも紹介されています。
それは困ることだ、と思っている保護者も、家庭での使い方となると、学校とは異なる価値観や状況が絡み合い、「どこまで管理すべきか」に悩むことが少なくありません。

「うちはスマホの見守りアプリで子どもの全履歴を確認しています。学校のタブレットの履歴も見せてください」
「ネットは一切使わせていません。タブレットを持ち帰らせないでください」
という、家の方針に学校が合わせるべきだ、という考えの保護者もいらっしゃるそうです。
一方で、「ゲームも動画も自由にさせている」というご家庭もあります。
何が正しい、間違っているという話ではなく、多くの家庭が「過保護」と「放任」のあいだで揺れているのです。

支援員として現場を見ていて思うのは、「制限をどうかけるか、どの強度にするのが適切か」大人だけで考えるよりも、
「子どもと話せているか」が重要だということです。
ある子は、SNSの使い方で失敗した経験を、家族に正直に話せました。
それは、普段から「困ったら相談していい」という関係があったからです。

逆に、「勝手に制限されてる」「信じられてない」と感じた子は、親に隠れて裏技を探すようになります。
フィルタリングは必要です。でも、「信頼関係」というセーフティネットも同じくらい必要です。

そのためには、「どうして制限が必要なのか」「どんな危険があるのか」を子どもと一緒に考える時間が不可欠です。
ICT支援員としては、学校で情報モラル教育の支援をしながら、保護者にも「家庭で話すきっかけ」を届ける取り組みを続けています。

大人が一方的に「守る」だけでも、子どもを「信じて放任」するだけでも、うまくいきません。
対話とルール、両方を積み重ねていく中間点こそが、子どもたちのデジタル社会を生き抜く力を育てるのです。

ハイパーブレインではPTA総会や学級懇談会での研修（ミニ研修も）も承っています。やっぱりこういうこと必要だよな、とお感じになったらご遠慮なくお問い合わせください。よろしくお願い申し上げます。