子ども同士のフィードバックを育てるICT活用〜「すごいね」だけじゃない、学び合いの言葉へ〜
「タブレットを使ってるのに、うちの子だけ入力が遅くて…」
保護者からそんな声を聞くことがあります。
GIGAスクール構想で1人1台端末が当たり前になった今、子どもたちはタイピングやタッチ入力を通じて、調べる・まとめる・伝える活動に日々取り組んでいます。
けれど、タイピングが苦手な子にとっては、それ自体が「学びの壁」になってしまうこともあります。
考えはあるのに、入力に時間がかかって書き終わらない。書くのに必死で中身が整理できない。
その結果、「自分はICTが苦手なんだ」と思い込んでしまうことも少なくありません。
でも、忘れてはいけないのは、「考える力」や「伝える力」と「タイピングの速さ」は別物だということです。
現場では、タイピングが苦手な子どもを支えるさまざまな工夫が始まっています。
たとえば、キーボードの入力方法をフリック入力に変えたり、表示を五十音順に変えたりすることもできます。
理解の深いクラスでは、音声入力を使っていることもあります。話した言葉がそのまま文字になること、誤変換はあるものの、「まずは思考を外に出す」ことができること。
どうしても音が気になりますが、「その子の最も有効な入力手段」について、皆が納得し、理解している場合有効な手段です。
また、テンプレートや定型文を用意しておくことで、「書き出しの一歩」を助けることもできます。
さらに、ICT支援員がタイピング練習ソフトを紹介したり、「ホームポジションってなに?」からていねいに教えたりすることで、「ちょっと練習したらできた!」という小さな成功体験を子どもが積めるようにもなっています。
実際に、小学校2年生に1コマ45分かけてホームポジションから教えると、「そういうことだったのか!」と理解が進み、入力に抵抗がなくなっていく場面もしばしば見ます。
大切なのは、タイピングが遅いからといって、意見を書かせない・ICTを使わせない、という判断をしないこと。
むしろ、ICTを活用するからこそ、「書くこと」「表現すること」にアクセスしやすくなる子もいるのです。
タイピングは、慣れれば必ず伸びるスキルです。
その習得を急ぐのではなく、「その子が今、一番伝えやすい方法」を一緒に探していくことが、ICT時代の学びには欠かせません。
ICTは万能ではありません。けれど、それを「道具」として使いこなせるように、私たち大人が「入り口」を整えてあげることが、子どもたちの可能性を広げていくのだと感じています。
ハイパーブレインは、そういう大人になれるよう、ICT支援員の研修等でそのスキルを磨いています。



