話すのが苦手な子の自己表現を支えるICT〜「発表しなくても伝えられる」から始まる学び〜

大江香織

大江香織

テーマ:デジタル・シティズンシップ

「うちの子、発表が苦手で…」
学校での授業参観や三者面談で、そう感じたことのある保護者は多いのではないでしょうか。
クラスの前で意見を言うことが苦手。声が小さい。考えていても言葉にできない――。
でも、それは「伝える力がない」のではなく、「伝える手段が合っていない」だけかもしれません。

伝える手段

GIGAスクール構想により、1人1台の端末が整備された今、「話す」ことが苦手な子の自己表現を支える選択肢が増えてきました。

たとえば、口頭で発表する代わりに、タブレットで文章や意見を書いて提出する。
もしくは、自分の声を録音してから再生し、それを友達に聞いてもらう。
人前で直接話すのは難しくても、録音や動画なら「何度も練習して納得できる形で伝える」ことができます。

ある学校では、スピーチの代わりに「音声付きスライド」を作る活動を取り入れています。
話すのが得意な子も、苦手な子も、それぞれのペースで「伝えること」に挑戦しています。
ICTは、発表の形を「ひとつの正解のみ」にしないツールなのです。

また、チャットやコメント機能を使えば、「今すぐ話す」ことが苦手でも、自分の考えを「あとから言葉にする」ことができます。
一斉の発言に参加できない子も、「こんなふうに思ったよ」と安心して伝えられる場がある。あとから発表できる。
それは、「表現に対する自信の『はじめの一歩』」になります。

もちろん、すべてをデジタルにすれば良いわけではありません。いつも申し上げますが、0か1かではなく、デジタルが可能性や選択肢を広げていますよ、ということをご理解いただきたいということなのです。
例えば、「声に出さない=発言していない」ではないという視点は、これからの学びに欠かせないものです。

ICTは、話すのが得意な子の力を伸ばすだけでなく、話すのが苦手な子にも「表現の道具」を与えてくれる存在です。
それぞれの子が、自分に合ったやり方で「伝えたいことを伝えられる」環境を作るご支援を、ハイパーブレインは続けていきます。

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大江香織
専門家

大江香織(教育情報化コーディネータ)

株式会社ハイパーブレイン

教育用AIチャットボットや、教育委員会と学校の情報共有をスムーズにするダッシュボードなどのICTツール開発。教師本来の業務である授業の充実や子どもとの触れ合いに専念できるようサポートします。

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