子ども同士のフィードバックを育てるICT活用〜「すごいね」だけじゃない、学び合いの言葉へ〜
ある小学校では、朝の会にその日1本のニュースをタブレットで共有し、子どもたちに「どう思ったか」「なぜそう思ったか」を短く書かせる取り組みを続けています。国語でも社会でもない、けれど確かに「今を学ぶ」時間です。
先生の工夫
今、こうした「ニュースを教材にする授業」が少しずつ広がっています。
信頼できると判断されたニュースサイトの記事や動画ニュースを使って、子どもたちが「事実と意見の違い」や「複数の立場」「情報の背景」に気づく。まさに情報リテラシーの土台を育てる学びです。
ここで力を発揮しているのが、1人1台のGIGA端末です。
かつては新聞を印刷したり、テレビを録画して見せたりと、ニュースを授業で扱うには準備も手間もかかりました。
けれど今は、先生がタブレットに共有した記事を子どもが読み、キーワードにマーカーを引き、意見を書き込み、クラウド上でクラス全体の考えを一覧する。ICTを活用すれば、ニュースを「リアルタイムの教材」として扱うことが可能になるのです。
もちろん、注意も必要です。
ニュースは正解がない話題も多く、時に感情的な意見や偏りが出ることもあります。
だからこそ、「正しいかどうか」だけでなく、「どう受け取り、どう考えるか」を対話する場づくりが重要です。先生が一方的に教えるのではなく、子どもたちと一緒に悩み、探る時間こそが、思考力と対話力を育てます。
家庭での関わりも大切です。
もし、子どもから「授業でこんな話が出た」という言葉が出たらチャンスです。ぜひ、「あなたはどう思ったの?」と聞いてみてあげてください。また、それに対するクラスメイトの意見、その意見に対する思いなどがどんどん出てくればしめたものです。大人が聞く姿勢を持ち、子どもたちの思いを尊重する姿勢が、「自分の意見を持っていいんだ」と思える体験につながります。そしてそれは、子どもにとって何よりの学びになります。
ニュースは、ICTによって身近な教材になりました。
でもそれは、画面を見せれば終わる話ではありません。社会の出来事を、自分ごととして考える力を育てるには、ICTと同時に「人との対話」が不可欠です。
「正解のない問い」をどう扱うか。
それは、これからの学校に求められる力であり、私たち大人が子どもとともに育てていく力でもあるのです。ハイパーブレインは、ICT支援員としてそのような授業を見守りながら、子どもたちの思考力を育てていく先生方のご支援を実施しています。



