子どもは「信じ方」を学んでいる 〜大人だって迷う時代に〜

大江香織

大江香織

テーマ:デジタル・シティズンシップ

「ネットの情報なんて信用しちゃダメ」
そんなふうに子どもに言いたくなること、ありますよね。あやしい投稿、偏った意見、根拠のないうわさ話…。親として心配になるのも当然です。
でも実は、今の学校教育では、少し違った視点で「情報とのつき合い方」を教え始めています。

情報は大事。どう付き合うか?

子どもたちは、学校で『情報はすべて疑え』ではなく、『どう読み解き、どう判断するか』を学んでいるのです。
情報リテラシー教育では、出どころを確認したり、複数の意見を比べたり、納得できる根拠を探したりする力を育てようとしています。
(全国学力・学習状況調査、という全国一斉の試験問題も、親世代、祖父母世代が受けてきた試験とはがらりと傾向が変わっています。参考に見てみてください。どんな教育をしようとしているかの一端がわかります。理科のサンプル問題
一方、家庭では「Wikipediaはダメ」「スマホは信用ならない」といった、ざっくりした“否定”の言葉がつい出てしまいがちです。それも、子どもを守りたい気持ちのあらわれです。
でも、その言葉が、せっかく学校で育ち始めた“考える力”にブレーキをかけてしまうこともあります。

私たちICT支援員も、子どもたちから「お母さんがネットは全部ウソって言ってた」と言われることがあります。学校では一生懸命リテラシーを教えていても、家庭では「信じるな」で止まってしまう。そんなすれ違いが起きているのです。

でも、これって無理もないことです。
大人だって、何を信じていいかわからない時代です。ニュースもSNSも動画も、正しいことも間違ったことも同じ画面に並んでいます。迷うのは、子どもだけじゃありません。

だからこそ今、大人も「信じ方」を学び直すときなのかもしれません。
子どもが見ている動画やSNSについて、「それ、どう思う?」と一緒に考えてみる。知らない言葉が出てきたら、一緒に調べてみる。そんな関わり方が、家庭でできる情報リテラシー教育の第一歩です。おじいちゃんやおばあちゃんが、そんな風に関わってくれたら、孫から一目置かれると思いませんか?

「信じるな」ではなく、「どう信じるか」を考える力を、子どもたちと一緒に学んでいく時代です。私たち大人も、年齢など関係なくいつまでもアップデートできますので、ぜひご一緒に学んでいきましょう。

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大江香織
専門家

大江香織(教育情報化コーディネータ)

株式会社ハイパーブレイン

教育用AIチャットボットや、教育委員会と学校の情報共有をスムーズにするダッシュボードなどのICTツール開発。教師本来の業務である授業の充実や子どもとの触れ合いに専念できるようサポートします。

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