ICT支援員という仕事
先生がよくわからない(先生だけではなく世の中のほとんどの人が「利用できるけど理屈はよくわからない」)ネットワークや、パソコンの不調などを学校に出向いて解決してくれる存在がICT支援員である、というふんわりした理解が世の中に広まってきました。
学校はチームなのか
先生方は、4年間(あるいは2年間、あるいは6年以上)の教職課程を履修し、教員免許を取得して教壇に立たれます。
特別な法律のおかげで、残業代は一律支払い。2025年2月現在4%の割増で、実質残業の天井がありません。一説によると割増4%分の賃金は4時間分程度の残業代ということです。
本当に現場は大変です。
先生にちゃんと残業代をつけると9000億円以上の財源が必要だということですが、裏返すと9000億円以上タダ働きということですね。
これまでも繰り返しお話ししてきましたが、先生方はとても大変です。
大変なので、人をつけよう、という話になります。残業代の支払い方向にはもっていかないんだなと思いますが、とにかく〇〇支援員や〇〇サポーターなど、
学校には先生ではない大人がたくさん入るようになりました。
その大人たちの従事する職業のうちの一つがICT支援員です。
他にも、ALT、学校図書館司書、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールサポートスタッフ、部活動指導員等々
たくさんの大人がそれぞれ先生の抱えている業務を少しずつもらって、先生に楽になってもらい、子どものことを考えてほしい、と思って仕事をしています。
さてそれでは、そのたくさんの大人たちの力は十分に活用されているのでしょうか。
チーム学校という概念
チーム学校という言葉は「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)(中教審第185号)」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1365657.htm
で詳しく述べられています。
皆で学校をよくしていこう! という概念です。
理念は素晴らしいと思いませんか? みんなで一丸となって子どもたちを育てていこう、ということに反対する人はいないでしょう。
では、ところで、皆さんこの言葉「チーム学校」をご存知ですか?
知らない方が大半ではないですか?
どうして広まらないのでしょう。
先生の働き方と違う人たち
先生たちには、勤務開始時間のはるか前に出勤し、勤務終了時間のはるか後に退勤する人がたくさんいます。
チーム学校を構成する他の人は、ほとんど非正規雇用、パートタイマーです。決められた時間分働いて給料をもらいますので、定時に来て定時に帰ります。
定時というと9時~18時が定番ですが、この時間分働かせてもらえる人は滅多にいません。なぜならいくら建前だとはしても学校で決まっている勤務時間外に外部の人は働けないからです。
学校の定時は8:15~16:45などです。
ですので、ICT支援員は8:30~16:30などの勤務になります。
すると何が起こると思われますか。
先生たちは勤務時間中大忙しなので、定時以降にサポートしてほしい、というところが本音です。
ですが、その時にはもうサポートする人はいないのです。
勤務時間中大忙しの先生に話しかける余裕はあまりありませんので、いつまでたってもサポートしたい側は「お客様」扱いという事態が起こります。
先生もよく知らない人に何かを頼みにくいです。また、その人たちも毎日いるわけではありません。
ですので、サポートする気満々でも、先生となかなかお話しする機会がないため、「役に立つサポートとはなにか」ということが掴みにくい現状があります。
公的機関で働く人に対しては、「こういう仕事をしてください」という仕様書が提示されることが多いです。こういう仕事、はこうだろうなと想像することはできますが、そんなこと自分でできるし、それじゃなくて仕様書に書いてある別の内容を頼みたい、と思う先生もいるでしょう。
先生とお話ししてこそ、十分なサポートができます。
そのお話しする時間が、先生にないことが問題です。
また、大変だ、というしめくくりで終わってしまいました。
次週こそ、大変を何とかするお話しにしたいと思います。