ICT支援員って楽しい仕事です
「ICT支援員」という仕事をご存知でしょうか。
学校に直接訪問し、先生方のICT活用をご支援する仕事です。
文部科学省ではこのように定義されています。
「ICT支援員」とは、授業支援、校内研修関連、環境整備関連、校務支援といった分野で学校におけるICT活用を支援する外部人材。
https://www.mext.go.jp/content/20210408-mxt_jogai01-000014079_001.pdf
ICT支援員という仕事は必要か
先週まで「先生は忙しい」というお話をしてきました。先生の勤務の実態が分かって、なるほど、忙しい、ということは多くの方がご納得いただけたのではないかと思います。（未読の方はぜひお読みください。https://mbp-japan.com/aichi/hyperbrain/column/?jid=5015427）
しかし、「サポートする人材が必要」となると、次のようなお声を聴くことがあります。
「会社員はシステムの使い方もOfficeソフトの使い方も自力でなんとかしてきた。先生にだけサポート人材がつくのはおかしい」
ここは、業務範囲と業務内容をご確認いただきたく思います。
学校の先生は究極のゼネラリストです。特に小学校の先生は
- 朝、挨拶の大事さを教える
- 宿題を集める
- 宿題を見て返却する
- 授業をする（国語、算数、理科、社会、外国語活動、体育、図工、学級活動、生活、家庭……）
- クラブ活動をする
- 委員会活動をする
- テストをする
- テストの採点をする
- 成績をつける
- 教材を作成する（プリントを作る）
- おたよりを作成する
- 情報モラルを教える
- システムの使い方を教える（宿題の提出方法など）
- 会計処理をする
- 出欠席の情報を正確に把握する、システムに入力する
- 特別支援についての知識を身につける
- 昨今の「必要だ」と言われている教育の知識を身につける
- 授業の準備をする
- ……
もちろんこれだけではありません。私が1分くらい考えただけでこれだけあらゆる仕事をしています。
会社員が全員、これらの業務を一人で実施していますか？
誰かを評価する、人に教える（8時間中6時間）、文書を作成する、モチベーショントークをする、自分以外の会計処理をする 等々
業務の合間に、「せんせーこれおしえてー」と子どもがやってくれば、よしきたと丁寧に教えてくれます。自分の事務作業は中断です。
会社員、自営業の皆様、先生ではない公務員の皆様、とにかく働いておられる方は、自分のペースで仕事ができないことがどれだけ大変でストレスか、ということはお分かりいただいていると思います。
常に何かがさしはさまれたうえに広範囲の業務を素早くこなさなければならないことが先生方には求められています。
両手両足背中お腹に様々なものを抱えたうえに「1人1台活用せよ」と突然（1年以内に日本全国ほとんど）タブレットが入ってきたのです。
しかも、単純に「紙でやってたものをタブレットで置き換える」のではなく、「授業自体を変容」するように求められました。
この1年以内に授業参観に行かれた方は、驚いた方も多いと思いますが、「1人1台のタブレットでめいめい勉強している」「先生の説明を聞いている子どももいれば、自分でどんどん先に進んでいる子どももいる」「廊下で勉強する子どももいれば、図書室に行く子どももいる。机の形も自由に決めている」という学校がどんどん増えています。
例えば、地元愛知県では、春日井市の取り組みが文部科学省で紹介されています。
「教える」授業から「自ら学ぶ」授業へ｜愛知県春日井市の”1人1台端末”実践事例
https://leadingdxschool.mext.go.jp/feature/891/
これを読んでくださっている皆様どなたも、このような授業は受けたことはないのではないでしょうか。
自分が受けたことのない授業を実践するための勉強の時間も準備の時間もなかなか取れない先生方の、その時間をICT支援員は作るのです。
そう聞くと、大体の方は「確かにそのような仕事は必要だ」「ICT支援員さえ導入すれば先生方は楽になるに違いない」と仰ってくださいます。
ところが、残念ながら、「ICT支援員を導入しただけ」では先生方は楽にならないのです。
こういうコラムは明るく締めて更に次回を楽しみに待っていただくのがセオリーなのですが、
次回、「先生方を楽にして、子どもに向き合う時間を作ってもらうためのICT支援員」をお話しさせていただくフリとしてご容赦ください。
