どうして教員は多忙なのか?
皆さんこんにちは。
教員の多忙化について、実際の現場での調査、法律の観点、とご紹介してまいりましたが、今回OECD国際教員指導環境調査(TALIS:Teaching and Learning International Survey・学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てた国際調査)を用いてご説明をさせて頂ければと思います。
国際的な調査(教員の指導環境調査)
日本が参加した2013年の第2回調査で、衝撃的な内容が明らかになりました。この結果をもとに、教員の働き方改革の機運が高まってきました。34か国・地域の教員を対象とした調査結果です。https://www.nier.go.jp/kokusai/talis/index.html
日本の先生は、他国の先生に比べて働きすぎだという数字が出たのです。
仕事時間の合計 | 指導(授業)に使った時間 | 備考 | |
---|---|---|---|
日本 | 53.9 | 17.7 | 最長 |
イタリア | 29.4 | 17.3 | 最短 |
参加国・地域平均 | 38.3 | 19.3 |
イタリアの先生は、日本の先生より1週間24.5時間仕事時間が短いですが、授業に使った時間はほぼ同じです。
日本の先生は、イタリアの先生より1日当たり約5時間長く働き、それは、授業以外の仕事をしている、ということですね。
更に、調査項目には「支援職員の不足を感じているか」というものがあるのですが、
- 日本 72.4%の先生が不足を感じている。
- イタリア 77.5%の先生が不足を感じている。
という結果が出ています。
ちなみに、参加国・地域の平均は46.9%です。働く時間が最長の国の先生と、最短の国の先生が、同じように支援職員の不足を感じているというのは興味深い結果です。
当時の報道で最も取り上げられたのは、日本の先生は
- 1週間の仕事時間 53.9時間(参加国・地域で最も多く、唯一の50時間台)
- 課外活動の指導 7.7時間(参加国・地域で最も多く、唯一の7時間台)
というものでした。
この調査では、仕事の内容として
- 指導・授業に使った時間
- 授業準備に使った時間
- 同僚との打ち合わせ時間
- 生徒の課題の添削・採点
- 生徒相談
- 学校運営に参画した時間
- 事務作業
- 保護者との連絡・相談
- 課外活動
- その他
と分類しています。
日本の先生がとびぬけて多かったのが先に述べた課外活動の時間ですが、ほかにも事務作業5.5時間が目立ちます。
つまり、1日に10時間以上仕事をし、そのうち1時間は事務作業で1.5時間は課外活動指導をしている、という先生像が浮かび上がってきたわけです。
授業準備や採点は別に時間を数えていますから、事務作業とは完全に事務的作業です。
例えば2013年(平成25年)当時では、給食費の徴収や、あちこちから大量に送られてくるチラシ類の増し刷り、学級費の会計、備品の発注・登録等、事務職員が学校全体を管理していても、各担任が確認しないといけないものが多くありました。
現在は、その状況が変わってきています。先生方が忙しい、ということがようやく認知されてきて、「働き方改革」を推進しなければならない、という機運が高まってきたからです。
次回は、その現在の状況を確認しましょう。