介護用ミトン 身体拘束

加藤武範

加藤武範

テーマ:高齢者 介護 問題

経鼻経管栄養(鼻チューブ)をしているナーシングホームの入居者さんで介護用ミトンをしている方がいらっしゃいます。
介護用ミトンとは、高齢者や障害のある方が自分や他人を傷つけないように保護するための手袋型の保護具です。特に、認知症やせん妄(せんもう)などで、無意識に点滴・チューブを抜いてしまう行為や、皮膚を掻きむしる行為、他者への接触行動が見られる方に対して使用されます。

1.自傷行為の防止
皮膚をかきむしる、引っかくなどによる損傷を防ぎます。
2.医療機器の保護
点滴や経管栄養チューブ、カテーテルを抜去するのを防ぎます。
3.他傷行為の抑制
周囲の職員や他の利用者を叩く・つねるなどの行為を防止します。
あと、ミトンにもいろいろな素材や種類があります。
1.ソフトタイプ(布製)
 長時間使用向け。皮膚に優しく、拘束感を最小限に抑えます。
2.ハードタイプ(プラスチック・補強素材)
 強い自傷・抜去行為に対応。しっかりと動きを制限します。
3.指分離型 / 一体型
 指の動きまで抑制するかどうかで選択します。

但し、「身体拘束」として介護保険法上の規制対象になる場合があるので、使用する場合は、多職種による意見交換や細心の注意が必要です。特に施設や病院では身体拘束最小化の指針に従い、家族の同意や記録が欠かせません。ミトンの使用は「やむを得ない場合」に限りたいのですが、現実的には難しいです。

ただ、この入居者さんは、ミトンを外してあげると、「自分からミトンをはめて下さい」と言わんばかりに手を差し出してきます。無意識に鼻のチューブを触ってしまうため、ご自分でもミトンの役割をしっかり理解されているのです。
この手を差し出す仕草を見た時、私の胸の奥がチクチクし、そして、切ない気持ちでいっぱいになりました。なんだか…やるせない…です。

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加藤武範
専門家

加藤武範(ケアマネジャー)

合同会社福寿想

リハビリ病院で医療ソーシャルワーカーをしていた経験から、地域のネットワークとも連携。従来の福祉的な視点に捕らわれない柔軟な発想で、介護を必要としている方やその家族にとって本当に必要な介護を提案します。

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