「塗り」を行う職人さんインタビュー(後半)
こんにちは。旭物産の成田です。
今日のお話はお仏壇の役割とご本尊様についてです。
わたくしごとですが、先日親父を亡くしました。
喪主になったのは初めての経験で、とにかく葬儀やその後の手続きやらで、今も慌ただしい最中です。
さて、お葬式が終わると一般的にはお仏壇やお墓を用意しないといけませんよね。
うちには、成田家のお墓があるので、親父をそこに埋葬することになるでしょう。
うちは本家なのでお仏壇はすでにあり、新しく揃える必要はありません。
ですが、わたし自身がお仏壇の役割やご本尊様について改めて考えるきっかけになったので、そのことをお話ししようと思います。
お仏壇とは
日本では昔、家は長男が継いで戸主になることが一般的でした。ですから、長男の家、すなわち本家には、先祖代々受け継がれてきたお仏壇が置かれていました。
一方、本家を出た次男、三男が新しく家庭を持ち、家を構えると、そこにはお仏壇がありません。
ですから、その家で誰かが亡くなると、新しくお仏壇を買い揃えることになります。
余談ですが、最近は必ずしも長男が本家の戸主になるとは限らないかもしれませんね。
そもそも、お仏壇とは何でしょう?
お墓は遺骨を納めるものです。お墓には故人やご先祖様を祀ります。
一方、お仏壇はいわば「ミニチュアのお寺」で、家にいながらお寺にお参りするためのものだそうです。
お仏壇には、ご本尊様を中心に安置し、お位牌や遺影はご本尊様より下に飾ります。
お仏壇のご本尊様の役割というのは、故人を含めた、わたしたちみんなを見守るものだそうです。
ちなみにお葬式の祭壇では、一番上にご本尊様(もしくはお軸)が飾られています。
亡くなった故人のあの世への無事な旅立ちを見守ってくださるように、ご本尊様が安置されているのです。
葬儀屋さんが教えてくださいました。
お仏壇でわたしたちを見守るときも、お葬式で故人の旅立ちを見守るときも、どちらの場合もご本尊様はわたしたちを導いたり、見守ってくださるという役割をお持ちのようです。
そして、お仏壇というのは、お寺に行かなくても家で故人やご先祖様をお参りするためのツールと言えそうです。
お仏壇の進化
さて、以上がもともとのお仏壇の意味合いです。
ですが、みなさんもご承知の通り、最近ではお仏壇のデザインや捉え方、はたまた故人を供養する形式も多種多様になっています。
良いとか悪いとかという話ではなく、供養の仕方が時代やライフスタイルによって変化するのは当然のことかもしれませんね。
最近では、供養の対象がご先祖様というより、亡くなった故人という方のほうが多いかもしれません。
お仏壇もその「亡くなった故人を供養したい」というニーズに合わせて進化しているように思います。
たとえばお仏壇にご本尊様を置くことなく、遺影や位牌だけを置いてお参りするという方もいます。
お墓に納める必要がない遺骨を収納できるお仏壇なんかもあります。
都会など、お墓を建てる土地や費用が用意できない場合があるので、遺骨が入るお仏壇は理にかなっているかもしれません。
また、分骨した遺骨をペンダントにしたり、小さな骨壺に入れたりして自分の家で供養する「手元供養」も多くなってきました。
中にはステージ状の小さな仏壇に骨壺や遺影などを置いて、自分の好きなように供養できるというものもあります。
ここまでくると、いわゆる箱型の大きなお仏壇という、昔ながらのお仏壇のイメージとはほど遠くなります。
最近の手元供養グッズはデザインも色もさまざまです。
このように選択肢が増えるのは、自分の志向に合った供養ができて良いのかもしれません。
ということで、今は身内を亡くした方にとって供養の仕方は1つだけではないようです。
そのため、お仏壇やご本尊様の本来の意味合いを知らず、アレンジした供養の仕方しかご存じない方もいらっしゃるでしょう。
だからこそ、わたしがお仏壇やご本尊様の本来の意味合いを説明するべきなのではないかと、そう思ったわけです。
親父の遺影
話は変わって遺影についてです。
親父の遺影にする写真を探していたら、金婚式の写真が出てきました。
その写真の顔がとても生き生きしていたので、これを遺影にしました。
わたしは毎朝お仏壇にお参りするとき、祖母の遺影に話しかけます。
同じように親父の遺影に話しかけることなどできるんだろうか、と考えたことがありました。
なぜなら、どこのご家庭もそうかもしれませんが、我が家でも年老いた親とはなかなかコミュニケーションがうまくいかず、言い争いをすることがあったからです。
特に、介護をしていたときの親父の形相を思い出すと、何だか話をしたくなくなるのです。
ですが、遺影の親父にはコミュニケーションが難しくなったころの面影はなく、とても生き生きした表情を見せてくれています。
ですから、親父の遺影に向かってすんなりと話しかけることができています。
親父を亡くして改めて思ったことは、人は大切な人を亡くすと自然に供養したくなるものだということです。
どんな形であれ、供養したいという気持ちは大切にしようと、心の底から思います。
それでは、今日のお話はここまでです。
また次回お会いしましょう。