「塗り」を行う職人さんインタビュー(後半)
こんにちは。旭物産の成田です。
今日は少し、わたしたちが提案しているお仏像についてお話しします。
さまざまなお仏像
お仏像と聞いて、みなさんはどんなものを思い浮かべますか。
一番に思い浮かべるのは、お寺に安置されているお仏像でしょうか。
それとも、家にあるお仏壇に安置されているお仏像ですか?
最近ですと、趣味でお仏像のフィギュアを収集されている方もいらっしゃるそうですね。
わたしは仕事柄、毎日お仏像を見ていますが、一般的にお仏像は、日常にあまり馴染みのないものであり、話題に上るものでもないのかもしれません。
さて、わたしの会社では、新しくお仏壇を買われた方がそのお仏壇の中に安置するご本尊様になるお仏像を製造しています。
つまり、まだお参りされる前の新品のお仏像を作っているのです。
宗派に縛られない
ご存じかもしれませんが、ご本尊様にはいくつかの種類があります。
ご本尊様は宗派によって違うのです。
たとえば、曹洞宗ならお仏壇のなかにお釈迦様を安置し、真言宗なら大日如来様を安置するなどと、ご本尊様は宗派によって決まっています。
その家がどの宗派に属するかによって、お迎えするご本尊様が決まる、ということですね。
家が属する宗派と言っても、多くの人は普段から我が家の宗派が何だったか気にしているわけではないでしょう。お葬式のときに自分の家の宗派をやっと知った、ということもよくある話です。
宗派というものに対するとらえ方も、時代とともに変わってきました。
いろいろなご意見があるかと思いますが、たとえばお葬式を、今までの宗派に縛られない形式で行うこともあると聞いています。
お葬式の形式が変わってきたのと同時に、お仏壇の選び方にも変化があるようです。
従来は和室の仏間に据え付ける、大きくて黒いお仏壇が一般的で、今もそういったお仏壇を求める方はいらっしゃいます。
一方、マンションなどの今風のリビングに置いてもしっくりくる、おしゃれなお仏壇も増えています。
さらに、必ずしもお仏壇という形式にこだわらず、自由に故人を供養するスタイルが増えているようです。
ニッコリ笑顔
さて、前置きがだいぶ長くなりましたが、わたしの会社では数年前、新しい概念の「まんてん」というお仏像を作りました。
「まんてん」はお仏壇のなかに安置するというよりは、お仏壇に入れずにリビングに飾ったりと、お仏壇にお参りするほど本格的ではないけど、カジュアルに供養するのにいつもそばに置いてほしいと思って作りました。
キャッチフレーズは「あなたの笑顔に逢いたいから」です。
このお仏像「まんてん」は、いわゆる一般的なご本尊様とはいろいろ違います。
お釈迦様は修行をされていたのでどちらかというとスリムですが、「まんてん」のお顔とお身体は全体的にふっくらしています。
話がそれますが、お寺の山門などに安置されている仁王像はその「お寺を警備する」という役割から筋骨隆々です。お仏像にも役割によって体つきに特徴があるわけですね。
次に、「まんてん」のお顔は穏やかに微笑んでいます。それも、いわゆるお仏像のアルカイック・スマイルではなく「ニッコリ笑顔」というのがポイントです。
ちなみにアルカイック・スマイルというのは「古典的微笑」とも言い、顔の感情表現はいたってクールながら、口元だけは優しく微笑んでいる表情のことです。古代ギリシャ(紀元前約600年~紀元前約480年)のアルカイック美術の彫像によく見られる造形だそうです。
そしてお仏像にも多く見られます。
なぜ「まんてん」の顔を笑顔にしたのかというと、「まんてん」を見た人を笑顔にしたかったからです。
人は人と接するとき、相手が笑顔だと自分まで笑顔になってしまうほど気持ちが共鳴することがあります。この仕組みを利用し、ニッコリ笑顔の「まんてん」を見た人まで笑顔になってしまうようにと考えたのです。
「あなたの笑顔に逢いたいから」というキャッチフレーズはここから来ています。
身近なお仏像
お仏像というと、威厳のある、近寄りがたいイメージを抱く人もいるかもしれませんが、「まんてん」というお仏像には親しみやすさがあると思います。見た目はふっくらとして、しかも笑顔をたたえたかわいらしさがありますから。
「まんてん」はお仏像をいつも身近に置いてほしいという仏像屋の理想から生まれました。
なので、カジュアルなスタイルの供養のおともにしていただいてもいいのですが、供養ではなくても、毎日出かける前に声をかけたり、1日の終わりにその報告をしたり、そんなふうに生活の一部として馴染んでもらえるとうれしいものです。
供養のために「まんてん」にお参りする方には、「まんてん」の笑顔を見るといつでも亡くなった方が元気でいてくれたときのことを思い出して、ご自身も笑顔になってもらえたらいいな、とか、「まんてん」に挨拶しているなら「まんてん」の笑顔につられて自分も笑顔で1日を過ごせるのではないかな、と思っています。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回お会いしましょう。