アニバーサリー休暇(サイト「日本の人事部」より)(2018.10.27)

榊原宏昌

榊原宏昌

テーマ:日々の仕事から



アニバーサリー休暇(サイト「日本の人事部」より)

アニバーサリー(anniversary)とは、英語で「記念日」の意味。企業が社員の休暇取得を促すために、本人や家族の誕生日、結婚記念日などの記念日およびその前後の日を休暇とする制度を「アニバーサリー休暇」と呼びます。

単身赴任者が自宅へ戻るための特別休暇「おかえりなさい休暇」(高島屋)、プロジェクトの節目ごとに一日以上の有給休暇を取って英気を養う「プロジェクト休暇」(NECソフト)、有給休暇を取ると手当が支給される「KY(必ず休む)休暇」(オプト)etc……。企業にとって生産性向上とワーク・ライフ・バランスへの取り組みが大きな課題となる中、ユニークな休暇制度を設ける企業が増えてきました。

背景にあるのは年次有給休暇取得率の低迷です。2007年に政府が打ち出したワーク・ライフ・バランスに関する行動指針は、取得率を12年までに60%、17年には100%に引き上げる目標を掲げました。しかし実際の取得率は過去10年、40%台で推移しており、年休があっても「取らない、取れない」状態は解消されていません。そうした社員の意識や職場のムードを変えていくための施策として注目されているのがアニバーサリー休暇。取得目的を問わない有給休暇に「記念日」という冠をあえてつけることで、周囲の理解を得やすく、本人も気兼ねなく休めるというメリットがあるのです。

転職支援事業のリクルートエージェントは05年から、勤続1年以上の全社員を対象に同制度を導入しています。利用する社員はアニバーサリーを決めて、取得1ヵ月以上前に申請するのがルール。最大の特徴は、連続して4日以上の有給休暇を取ると10万円の手当が支給されることです。このインセンティブは効果絶大で、同制度の利用率は95%超に、20%にも満たなかった年次有給休暇の取得率も50%近くに跳ね上がったといいます。

相応のコストはかかるものの、同様の制度を採用する動きは大手だけでなく、中堅企業にも広がっています。企業のサイト構築を支援するエイジェックスコミュニケーションズが設けるアニバーサリー休暇制度は、家族の誕生日や記念日などの前後1ヵ月以内に2日以上の有給休暇を取得すると、10万円の特別手当が支給されるしくみです。また北海道の六花亭製菓は20年連続で全従業員が有給休暇を完全消化していることで知られる企業ですが、同社でも「メモリアルデー休暇」と呼ばれるアニバーサリー休暇を実施、取得率100%の有給休暇とは別に、年1日の特別休暇として付与しています。

こうした制度が導入されれば、休みが増え、労働時間も短縮されることになりますが、当然のことながら、仕事の量は減りません。しかし、休む時間を創出するために、連携する社員同士が効率的な仕事の進め方を考えたり、組織内のコミュニケーションを密にして業務を一人で抱え込まないようにしたりするなど、生産性向上の面で波及効果が生まれているようです。

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榊原宏昌
専門家

榊原宏昌(経営コンサルタント)

天晴れ介護サービス総合教育研究所

介護職、ケアマネジャー、管理者・本部責任者として15年間介護現場の実務とマネジメントを担当。その経験を生かし、経営幹部、管理者、ケアマネジャー、介護職らに実践的で明快なコンセプトとノウハウを提供する。

榊原宏昌プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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