STEP4 真因を考えぬく【事例】辛すぎるカレーパン問題をAIがどう掘り下げたか

釜剛史

釜剛史

テーマ:AI時代の問題解決メソッド

研修の中でたびたび登場する「カレーパン問題」。
今回はその応用編として、「辛すぎるカレーパン」を題材に、AIを使って真因を掘り下げていく事例を取り上げます。



ケース:辛すぎて売れないカレーパン

あるパン屋で、新しく発売した「スパイシーカレーパン」が全く売れずに在庫が余ってしまいました。
現場からは次のような意見が飛び交いました。

  • 味が辛すぎるのでは?
  • ターゲット層を間違えたのでは?
  • PR不足で知られていないのでは?

しかし、これらはどれも「表層の原因」にすぎません。
ここでAIに「辛すぎるカレーパン問題」をWHYツリー形式で整理させました。

AIによる因果分解

AIが提示した掘り下げ結果は以下のようなものでした。
1.なぜ売れないのか? → 辛すぎるから
2.なぜ辛すぎると感じるのか?
 - 顧客層に辛い食品が苦手な人が多い
 - 味の調整が顧客嗜好データに基づいていない
3.なぜ顧客層に合わなかったのか?
 - 店舗立地がファミリー層中心の地域だった
 - 販売前の試食テストが限定的だった

AIは「辛すぎる」という直接的な理由の背後に、顧客層とのミスマッチや事前検証不足 といった真因候補を浮かび上がらせました。

真因と対策の導出

AIの分析をもとに現地調査を行った結果、

  • 店舗の主要顧客は子ども連れのファミリー層
  • 実際の辛さは20代〜30代の辛党には好評だった

という事実が判明しました。

つまり真因は「商品そのものが悪い」のではなく、
「販売する立地とターゲットの嗜好が合っていなかった」という構造的な問題だったのです。

結果として、パン屋は以下のような改善策をとりました。

  • 駅前店や学生街の店舗での販売を強化
  • ファミリー層向けに「マイルドカレーパン」を新商品として投入

これにより全体の売上が向上し、商品開発と販売戦略の両方が改善されました。

教訓:表層原因で止まらない

  • 「辛すぎる」という表層原因の裏には、顧客とのマッチング不全が隠れていた
  • AIは原因を多面的に掘り下げることで、思い込みを打ち破る
  • 真因に基づいた改善は、単なる「辛さ調整」ではなく、商品戦略そのものの見直しにつながる


まとめ:AIで原因を深く掘る

  • 表層の「辛い」だけではなく、その背景を分解することが重要
  • AIは因果仮説を広げ、真因に迫るための補助線になる
  • 最終的な判断は現場観察と人間の意思決定で下す




AI時代の問題解決メソッド(29/50)

次回予告
【コラム】失敗事例に学ぶ―AIが導いた誤解と修正のプロセス


AIが身近になるほど、「AIがそう言ったから」という責任転嫁の危険が増えています。
人間の責任をどう保ち、健全に活用するかを考えていきます。


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釜剛史
専門家

釜剛史(イノベーションコンサルタント)

株式会社あくるひ

企業研修、コーチング、技術経営コンサルティングの三つのアプローチでイノベーションを実践的に支援。富士写真フイルムやトヨタ自動車での実体験を基に、「横から目線」でクライアントの愉快創造を活性化します。

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