~士衛塾空手を通して、伝えたいこと 4 ~
~士衛塾空手を通して、伝えたいこと~
士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを過去のニュースより転載します。
2018年 11月号 士衛塾山梨ニュースより
■蹴拳杯のこと■
本年の蹴拳杯は無事に終了することができました。皆様のご参加、心より御礼申し上げます。
この大会は、参加費をいただきますが、還元が多く、毎年、大赤字大会となっています。蹴拳杯と鏡開きは、士衛塾山梨の赤字事業として根付いています(笑)。こちらがお金を払ってでも、門下生の成長の場を作りたいと思っています。
この大会は、「選手の試合の経験値を上げ、勝つことができなかった選手にも賞賛を!」をテーマにしています。経験値を上げるため、総当たり戦としているため、自ずと試合数も多くなり、選手それぞれが数々のドラマをつくってくれたことと思います。緊張する中でコートに立ち真剣勝負をし、勝敗に一喜一憂しました。前回も書きましたが、「負けた時こそ勉強」です。課題を持ち帰り、練習で補いましょう。世界大会の一試合も、地方大会の一試合も、選手にとってみれば、どちらも大切な同じ重さの一試合です。
そして、この大会では、試合も大事ですが、試合終了後のスパーリング会もとても大事です。試合で得た課題を即実行できる場です。参加は自由ですが、ここに残るか残らないかで今後が違ってきます。今回参加できなかった方は、来年はぜひ参加してみてください。とりあえず皆と同じところにいないと、落ちこぼれて行ってしまいますよ!
■三連続出場のこと■
私は、この間(9月16日 極真埼玉木村道場 埼玉県大会、9月30日極真連合会 全日本大会、10月7日 真樹道場 全日本大会)に参加させていただきました。 運良く、3試合とも何とか優勝することができました。
この間、自分自身に言い聞かせていたことは「挑戦」でした。
自分自身に対する挑戦。 試合に対する挑戦。 連戦に対する挑戦。ケガやダメージに対する挑戦。 二週続く全日本大会を優勝するという挑戦。などなどでした。
私と戦ってくれた皆様が本当に良い方ばかりで、こんな私が、勝って良いのだろうかと、いつも思います。なかなか、自分自身に自信が持てません。だから、挑戦してるのかもしれません。 一体いつになったら、自信が持てるのやら(^_^;)
試合前日になると、不謹慎ながら、地震がきて試合が中止にならないかな、何で試合に申し込んでしまったのだろう、などと考えます。試合前は、当然緊張します。また、相手選手を会場で見つけると、「何でいるの?」とか、緊張もだけど、「怖さ」もあります。特に背負うものがだんだん大きくなってきていているので、試合に参加すること自体、自分との戦いです。ただ自分に言い訳をすると悔しいので、とにかく申し込む。「迷ったらGO」です。ただ、試合の一試合前くらいになると気持ちの切り替えができて、「よし、やるぞ!」と楽しく試合に臨むことができます。
しかし、9月30日の全日本の一回戦では、切り替えができず。嫌な気持のまま試合が始まりました。自分自身でもわかるくらいダメでした。試合の最中、「ヤバイ、このままでは、負けるぞ」、「仕方ないか」、「いいや、私はいったい何をしに来たんだ」、「負けたくない。負けられない」、「切り替えなくちゃ」・・・。この後、盛り返し勝つことができました。本当に冷や冷やした試合でした。ここで大事なのは、劣勢を盛り返す「武器」を持っているか否か。私には「一本拳」があります。普段はあまり使いませんが、今回は一回戦から使ってしまいました。だんだんと伝家の宝刀を使わないと勝てなくなってきています(^_^;)
■「強さ」とは■
10月7日の大会で決勝戦で戦わせていただいた羽場先生と試合終了後にお話しさせていただきました。
先生は、「勝つ人は、やっぱり強いんです。審判の判定が割れた時に、勝ちを決める旗を自分にあげさせる強さを持っている」と言ってました。ぜひ、その強さを身につけたいものです。それと、私は意識していますが、「審判を味方に付ける」ように心がけています。判定をするのは審判であって、選手ではありません。審判も人です。ラフな試合運びや、態度が悪い選手には良い印象を持ちません。礼儀正しく、リスペクトされる試合をできるようになりましょう。審判を敵に回さないように心がけてください。
「無敵」とは、敵をつくらないことです。
■障がい者について■
私は、障害者スポーツ指導員という資格を持っています。その関係で山梨県障害者スポーツ指導員協議会や山梨県障害者スポーツ協会の役員もさせていただいております。伊藤帆南先生や、藤巻英貴先生も同様に障害者スポーツ指導員の資格を持っています。
このたび、福井国体のあとに開催された「第18回全国障がい者スポーツ大会」に山梨県の代表団の陸上競技のコーチ・介護者として参加させていただきました。昨年は帆南先生が参加し、私は一昨年に続き2回目となります。障がい者から学ばせてもらうことはたくさんあります。一生懸命に競技に取り組む、一生懸命に生きる。自分自身を振り返って、もっと頑張らなくちゃなと思ったりします。
参加者のひとり、知的障害を持つ24歳の青年は、いつも元気で、誰からも嫌われず、愛されキャラでした。私ともたくさん遊びました。私は、どんなに努力しても彼の足元にも及びません。彼のその個性は、むしろ健常者よりも優っています。
障がい者を助けているつもりが、なんだか逆にこっちが助けられているような気がします。それほど、彼等一人一人の持つ個性は素晴らしく、キラキラ輝いています。私も彼等に負けないように、輝いてみたいです。
それから、開会式の入場行進は感無量です。陸上選手ではない私が、選手たちと歩くことができるのは、普通ではできないことです。トラックから見上げるたくさんの観客。観客としてではなく、選手たちと共にトラックを歩くことができる幸せ。自然と涙が出ます。
福井県の山梨県担当の方や、学生のサポートボランティアの皆さんに、たくさんお世話になりました。
閉会式終了後に退場するときに、たくさんの見送りの福井県の皆さんと握手をしました。 自然と一人一人の目を見ながら、お礼の言葉が出ました。 毎日朝早くで大変でしたが、たくさんの感動と学んだことを持ち帰ることができました。参加できて、本当に良かった!山梨は13年後に国体だそうです。この間に体育館等の整備も進むことでしょう。
■「自分を越える」ために■
前段でも記述しましたが、今回の障害者スポーツ大会では、陸上競技のコーチでした。今回介護を担当した青年は1500mと800m、リレーの選手でした。一昨年は、車いすスラローム。
陸上競技の目標とするところは、まず「1位をとるなど、入賞する」こと。今大会、山梨県から18名の選手が参加し、8個の「金メダル」を持ち帰ることができました。次に入賞には至らずとも、「自己ベストを更新する」ことです。素晴らしいことに、ほとんどの選手たちが自己ベストを更新できました。陸上はタイムで表すことができますが、空手はなかなか表すことができません。だからこそ、空手の「道」は厳しく険しいものだと思っています。生きていくことも同じだと思います。習いたては目に見えて成長していきますが、上級者になってくると、なかなか成長が実感できません。それでも頑張って繰り返し繰り返し練習する。人生と一緒です。空手の道は人生の修行と同じものだと思います。
■真樹道場の金子先生のブログから引用させていただきます(画像がないので、後半、意味が解りづらいところがありますが、ご容赦ください)■
性別、年齢、職業、国籍、などが違う様々な人が、稽古で共に汗を流し自身を鍛練する場所が道場と僕は考えています。学校の部活のように、年齢の制限もなく、会社のような利害関係も無い。年齢に関係なく先輩は、後輩の面倒をみて、その後輩は、自分に後輩が出来たら、後輩の面倒をみる。
道場には、学校では学べない事が沢山あります。先輩だからって、後輩に対して偉そうに威張りちらす先輩は、僕の先輩には一人もいませんでした。しかしながら、とてつもなく強くて優しい。そんな先輩方にお世話になってきたから、僕の描く先輩像は、それ以外あり得ません。強さと優しさ。これを何よりも生徒達には身に付けてほしい。
後輩に的確なアドバイスが出来るようになったマユミは、こんなに小さかった。ちなみに横にいるのは、弟のたっくん。
たっくんは、試合を分析して、自分の言葉で試合の感想とこれからどうしていきたいのか?しっかり伝えられるようになりました。
ミカミは、基本稽古の号令をかけさせたら、ピカイチです。稽古全体を通じて後輩への指導が出来るようになってきました。そして、やはり小さかった。
小学5年生の僕は、おっさんになるまで空手を続けて、生徒をもつようになりました。
お世話になった先輩は、皆さんとてつもなく強くて優しい。
低学年の頃から、上段が得意だったチエミは、僕の顔面を素晴らしいフォームで、思いっきり蹴れるようになりました。
みんな続けているから、成長も進化も喜びも発見も出会いもあります。