~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 23 ~
~士衛塾空手を通して、伝えたいこと~
士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを過去のニュースより転載します。
2018年 10月号 士衛塾山梨ニュースより
既に、ひと月ほど経ちますが、ジュニア、一般の夏合宿・昇級審査会について。
今回のジュニア合宿の参加者は士衛塾山梨始まって以来と言っても過言でないくらい頑張りました。二日間とも終了後、居残りをし、組手を行いました。新潟や石川の子たちに果敢に立ち向かっていきました。素晴らしいです。この経験と頑張りをぜひ普段の練習でも生かしていきましょう。
今回の夕食は佐渡の海鮮料理のバイキング。これが絶品でした。鮪の寿司を食べながら、鮪の切り身を飲み込む・・・。生まれて初めてこんな贅沢な食べ方をしました。他にも唐揚げやアイス、そば、うどんパスタ等一般的なバイキングもあり、子どもも大人も大喜びでした。
この日の新潟はホテルが一杯で私たちの宿泊した「旅館」は、古く、少々難ありでしたが、それはそれとして、皆で一緒に寝ることができて良かったです。参加した子たちは、親元から離れ、仲間と協力し合い、規律を守り、一回りも二回りも成長した事でしょう。
その中でも、今回のリーダーを務めてくれた有井結飛、補佐の山田征弥。本当にありがとう。自分自身も審査会の受験者という立場で緊張もしていたでしょうが、本当に頼りになり、細やかなところまで気が付き、大人顔負けの素晴らしい行動をしてくれました。こういうことを経験し子どもたちは大きく成長するのでしょうね。
さて、一般部の合宿でも同様で、子どもたちの頑張りはもちろんのこと、特にシニアの頑張りが目立ち、みんなの士気を高めていました。特に小野さんは昨年入門した57歳。初の合宿、初の審査会受験でした。
親御さんならは理解頂けると思いますが、大人になり、受験したり、審査されたり、合否をつけられると言うことが、どれだけ緊張する事か・・・。出来れば避けて通りたい道です。相当緊張した事でしょう。そのせいか、練習では完璧にやっていた型を審査会で「あれっ!?」という場面がありました。私は審査員をしていましたが、申し訳ないけど「クスッ」としてしまいました。それほどの緊張なのです。
この歳で新しいことに挑戦し、頑張っていること、続けていくことがみんなを励まし、勇気づけ、未来の展望を指し示していくのだと思います。
「どんな状況でも、いくつになっても武道は続けることができます」。それは「道」だからです。
人の通った道を通るのもよし、自分自身で切り開く道もよし、人それぞれの道が私たちの後には残されています。中には途中で辞めてしまって、せっかく作ったその道を消してしまう人もおりますが(笑)。
私自身も、素晴らしいみんなから元気をもらい、たくさん勉強させてもらっています。本当にありがたいことです。
試合では、勝つこともあれば負けることもあります。審査会も同様です。今の子どもの黒帯で審査会に落ちなかった人は、誰もいません。型も組手も世界で活躍している藤巻美琴準指導員でさえ、2級で3回、1級で3回、初段で1回落ちています。もちろん結果的に受かっているので成功体験もしています。
私は成功体験も大事だと思っています。しかし、それ以上に、失敗する経験は買ってでもたくさんした方がいいと思っています。試合や審査会は失敗しても命にかかわることではありません。失敗することで、得る大切なものがたくさんあります。「なぜダメだったか」そこから学び実践することができます。そのヒントが失敗の裏にはたくさん潜んでいます。それを見つけ出し、実践することが成長のカギだと思います。試合でも優勝するとだいたいの人は天狗になります(笑)そんな時のアドバイスは耳に入ってこないのが普通です。もちろん、だれひとり、わざと負けるためにやっている訳ではありません。試合では優勝を狙っています。しかし、ずっと優勝ばかり、審査会も合格続きな訳はありません。
大切なのは、失敗からどう学ぶか。失敗や上手くいかない時にどう対応するか。逃げ出すのか、立ち向かうのか・・・。それが大事です。今からはますます生きづらい世の中になってきます。私たちは空手を通して、子どもたちに社会を乗り切る力をつけてもらいたいと思っています。
子どもの時に、上手くいかなかったり、嫌になったら投げ出すことを覚えてしまった子は大人になっても、そのままです。また、親がそういうタイプなら、子どもも同じになります。なぜなら、親のその姿を子どもは見て、学習するからです。子は鏡とはよく言ったものです。親は一生懸命立ち向かう姿を見せていきましょう。