今年、歯みがきが続かなかった飼い主さんへ — 獣医行動学からのやさしいアドバイス —
歯みがきがうまくいかなくても大丈夫。
来年につなげるための考え方
新しい年を迎え、
「今年こそは歯みがきを続けたい」
そう感じている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
年末のコラムでは、
歯みがきが続かなかったのは、飼い主さんのせいではない
というお話をしました。
このコラムでは一歩進んで、
「では、今年はどう考えれば続けやすくなるのか」
を、獣医学・獣医行動学の視点から整理します。
「毎日しっかり」は、必ずしも正解ではありません
多くの飼い主さんが最初につまずくポイントが、
完璧を目指しすぎてしまうことです。
世界的な獣医学ガイドライン(WSAVA・AAHA)では、
歯ブラッシングが最も効果的な方法とされている一方で、
「無理に続けること」がストレスになる場合は逆効果
とも示されています。
まずは、
- 短時間
- できる頻度
- 嫌がる前で終える
この3点を優先してください。
今年の歯みがきは「最低ライン」を決める
歯みがきを続けるためにおすすめなのが、
「これだけは守る最低ライン」を決めることです。
たとえば、
- 口の周りを触るだけ
- 歯ブラシを見せるだけ
- ガーゼで前歯を軽く触るだけ
これも立派なデンタルケアです。
ゼロに戻さないことが、
長期的には歯周病リスクを下げることにつながります。
頻度より大切なのは「嫌な記憶を残さないこと」
獣医行動学では、
犬や猫は「回数」よりも
そのときの感情記憶を強く学習することが分かっています。
- 週に数回でも、気持ちよく終わる
- 途中で嫌がったら、すぐにやめる
- 「今日はここまで」で成功体験にする
こうした積み重ねが、
結果的に歯みがきを受け入れやすくします。
ルーティンは「生活の流れ」に組み込む
歯みがきだけを特別なイベントにすると、
どうしても負担になりがちです。
おすすめなのは、
- ごはんの後
- おやつの前
- 散歩や遊びの前後
など、すでにある習慣に紐づけることです。
歯みがきのあとに
「その子の好きなこと」を用意してあげると、
正の強化が自然に成立します。
今年は「できた日」を増やせば十分
歯みがきは、
毎日完璧にやるためのものではありません。
- 去年より少しできた
- 嫌がる前で終われた
- 歯ブラシを出しても逃げなかった
こうした小さな変化こそが、
確実に前進している証拠です。
健康の入り口は口です。
だからこそ、急がず、比べず、その子のペースで続けていきましょう。
今年も、無理のない口腔ケアを
新しい一年は、
「ちゃんとやる」よりも
「続けられる形をつくる」ことを目標にしてみてください。
歯みがきは、いつからでもやり直せます。
今年も、愛犬・愛猫の健康を守る一歩を、
一緒に積み重ねていけたら嬉しいです。



