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「抑圧」と「解離」に思いを向ける建国記念の日

一瀬ひでし

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テーマ:心理カウンセリング メンタルヘルス対策

2月11日は建国記念の日。

今から2700年程前,初代天皇となった神武天皇が即位した日が2月11日であったという神話に由来してこの日が制定されたそうです。

「長い歴史の中で,我が国は,幾度となく大きな困難や試練に直面しました。その度に先人たちは,勇気と希望を持って立ち上がり,明治維新,戦後復興,高度経済成長など,社会変革の実現により数多(あまた)の国難を乗り越えてきました。…」
これは,「建国記念の日」を迎えるに当たっての石破茂内閣総理大臣メッセージです。

しかし,先人たちは大きな困難や試練に直面したとき,なぜ勇気と希望をもって立ち上がれたのでしょう?
困難な事態に遭遇したときの不安や恐怖,痛みや悲しみといった心の傷をどうやって手当てし,回復してきたのでしょう?

「抑圧」と「解離」とその防衛力


ご存じの通り,心の傷は「トラウマ」と呼ばれますが,トラウマに対して心がどのようにはたらくのか?

こうした心理への研究が始まって約150年が経っています。

「トラウマ」に対する心のはたらきには,「抑圧」と「解離」という考え方があります。

耐えがたいような出来事を体験し,その時の記憶や感情が心に湧き上がってくるとき,自分の心が脅かされないように,心を守ろうとして圧し込めるはたらきが「抑圧」です。
ジグムント・フロイトによる考え方です。

一方,ピエール・ジャネという心理学者は,耐えがたい体験を心の中にまとめて収めることができない場合には,切り離してしまう「解離」というはたらきを考えました。

「抑圧」は,英語で「repression(re-press)」ですので,「くり返しくり返し圧をかけて抑え込む」というイメージがありますし,「解離」は,英語で「dissociate(dis-social)」ですので,「社会との関係が断たれ阻害されている」というイメージがあります。

どちらも大切なこころのはたらきですが,心の防衛力から比較すると,「解離」の方が「抑圧」に比べて守りは弱く,発達的にも未成熟だと考えられています。
なぜなら,「抑圧」には耐えがたさを抑え込もうとする主体的な力が備わっているからです。

ネガティブな感情をガマンして感じることができる力があるからです。

日常的なストレスの中でも,仕事や人間関係などガマンしなければならないことはたくさんありますが,ストレスをないことのように振る舞うよりも,ガマンしている自分を感じることの方が健康的なのかもしれませんね。

日常的なストレスであれトラウマティックなストレスであれ,心理的な問題から回復する過程は,浮かび上がってくるネガティブな記憶や感情に脅かされないように程よく抑制し,その上で,社会や人との関係を持ちながら,体験を生活や人生に活かすことができるようになっていくことなのでしょう。

先人達はどうしていたのかなあ…。
そんなことを思う建国記念の日です。

毎月11日はストレスマネジメントの日
東日本大震災後の被災地での心のケアを中心に,ストレスケアについてお伝えしています。

お問い合わせ https://eustress.jp/ask/

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一瀬ひでし
専門家

一瀬ひでし(心理カウンセラー)

Eustress株式会社

かけがえのない人生を豊かに生きる上でストレスは必ずしも悪ではありません。心理カウンセリングや各地でのストレスマネジメント支援の豊富な経験を生かし、個人や家族,会社や組織の心の健康をサポートいたします。

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