2024年を迎えて
夜中に目を覚ましてしまい,ふといま取り組んでいることが気になって頭から離れなくなり,言いようのない不安が湧いてくることはありませんか?
上手く取り組めているかどうか不確かで信じられず,今のままではダメなのではないかと自分を責め,さらには自分が無能で何の価値もない存在だと考えてしまい,恐怖感にも近い感情から何かにしがみつきたくなる時はありませんか?
私は,こうしたストレスをしょっちゅう感じています。
「不確かな自分」に伴う不安や恐怖とそのストレス対処
以前,心の栄養「ストローク」について書きましたが,似て非なる,心の鏡「映し返し」について書いてみたいと思います。
突然ですが,あなたは自分の顔をご存知ですか?
それは確かに自分の顔ですか?
では,どうして自分の顔を知っているのですか?
「当たり前だろう!」と怒られてしまうかもしれませんね。
しかし,自分の顔を直接見たことのある人は世の中に存在しません。せいぜい鼻先ぐらいは見えますが,顔全体を直に見ることはできないのですから,自分で自分の顔を知ることはできないのです。
自分の顔は,鏡や窓ガラス,水面や写真など,何かに映されてはじめて知ることができ,何度も映されることで自分の顔として信じられるものになっていくのです。
「わからなさ」や「不確かさ」は不安や恐怖を生じさせます。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」。
疑心暗鬼で物事を見ると,ありもしないことを恐れるようになってしまうことを意味する言葉です。
一人で取り組んでいる仕事や子育てなどで生じる不安や恐怖は,自分でやっていることが果たしてそれで良いのか,あるいは修正した方が良いのか,確かにならなければ不安や恐怖は消えません。
幽霊なら自分で確かめることができますが,残念ながら自分で取り組んでいることの確かさは,決して自分ひとりでは確かにすることはできないものです。
自分で自分の顔を見ることができないのと同じようなものなのです。
確かにするためには,鏡のように自分の取り組んでいることを,良いにしろ悪いにしろ映し返してもらえる他者の存在が不可欠です。
これが,心の鏡「映し返し」です。
不確かな移行期の危機に不可欠な映し返し
人生には自分自身が不確かになる時期が何度かあります。
移行期と呼ばれる人生のターニングポイントがその一つです。
移行期には,乳児が幼児に移るような時期,小学生から中学生に移る時期,学生から社会人に移る時期,パートナーと家族を作る時期,子どもが少しずつ自立して離れはじめる時期,人生の午後に移る時期,退職,終活をはじめる時期…など。
人生を通じて様々な移行期があります。
移行期は,人生の危機とも考えられています。
なぜなら,それまでの自分のままでいられずに,かといって移行した先の自分がどうなるのか不確かであり,不安や恐怖が湧きやすい時期だからです。
場合によっては危険な状態にもなりかねず,特に,移行期を自分一人で何とかしようとすると危険は増します。
自分が,次にこうしようと思っていることに対して,あるいは取り組んだことに対して,それを他者に「そうだね」なり,「いいね」なり,「できたよね」などとしっかり映し返してもらえる機会があってはじめて確かなものになり,次の段階に進めるものだと考えられています。
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