情報医学・情報医療という新しいアプローチ
ウクライナ,ヘルソン州のダム決壊のニュースに心が凍りつきました。
被害の映像を見て,東日本大震災や毎年のように各地で生じる豪雨災害を重ねた方も多かったのではないでしょうか。
しかし,その映像は自然災害を映しているのではありません。
砲撃の音が聞こえる中で救助が行われ,洪水の中で流された地雷が爆発しているのですから。
住民のいらだちや怒り,そして深い悲しみや傷つきははかり知れません。
毎月11日 ストレスマネジメントの日
9.11,3.11を祈念して,私は毎月11日をストレスマネジメントの日としてこころの健康について振り返る一日にしています。
私にはトラウマ体験があります。
20代中頃,当時自分にとって最も大切な存在だと感じていた兄を海で亡くしました。その後数年間,私は海にまつわる情報,刺激をいっさい避けていました。「海」という言葉,写真やTV映像,海で泳ぐことなど一生しないだろうとさえ思っていました。
これは,トラウマティックストレス反応のひとつである回避反応です。
当時,心理療法のことなどいっさい何も知らなかった私ですが,もし今,同じような体験をして回避反応が現れたとしたら,その回復のために何をするか私には明快な答えがあります。
それは「何もしない」です。そもそも回復しようとなんて思わないでしょう。
今も,兄が亡くなったあの日,連絡を受けたその瞬間,対面したその場所は鮮明な記憶として残っていますし,その記憶とともに心と身体に色んなストレス反応が現れます。こうして書いている間にも・・・。
これはトラウマティックストレスのフラッシュバック反応です。
こころの傷は消すものではない
しかしこの反応は,私にとって決して無くしてはならないものです。
なぜなら,反応するそのことこそ亡くなった兄とのつながり感なのですから。
心の傷は,かけがえのない存在との絆なのです。
人が辛い体験に伴った反応を示し落ち込んでいるような時,心理カウンセラーのような支援者は,ストレス反応を無くそうとか,元気になることを応援しようとしてしまいがちです。しかし,それは必ずしもその人の心を癒す行為にならないし,そうすることで傷を深めることだってある。
また,支援者が応援したくなるのは,その人のダメージの様子を見守る自分の辛さに耐えられず,何もできない無力無能な自分を味わいたくない心によるものかもしれません。
援助者にとって自分の無力無能感を自覚できる力は大切です。
心の傷を無くすことがケアではありませんし,辛い体験の記憶は消えません。心のケアとは,辛い体験に伴う今の自分に生じる反応に対して,自分で自分らしさを保つためにマネジメントできるようになることです。
そして,そのためにできることを他者と一緒に考えるプロセスが心理カウンセリングです。
今は海が大好きです。
穏やかな日々に,どこかの美しい海を眺めながら,心身を癒す時間がとれたらなんて素晴らしいしょう。
戦火の地に一日も早い平和が訪れますように。心から祈り,願っています。
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