ストレスチェック どうせやるなら真に社員のためになる方法で!
個人的なことになりますが,2月は父と義父の命日があります。
今月は,何度かお悔やみもあり,ミラクル市川高校野球部元監督渡邊文人さんがお亡くなりになりました。また,一世紀近く続いた岡島デパートの現店舗の営業が終了しました。
家族や社会の象徴的な存在を失うことはとても寂しく,気持ちが沈みます。
喪失は強いストレスを受ける出来事ですが,このストレスから回復するには,沈んだ気持ちを上げようとせず,そのまま静かに過ごすことが大切です。
沈んだ気持ちを味わいながら,失うことによって変わる自分自身の在り方を考え,気づきを得る過程が本来の回復ということだと思います。
resilience(レジリエンス 精神的回復力)という言葉があります。
レジリエンスは,和風に「しなやかな心」と言うこともあり,風雪で弓なりに傾いても倒れず,また元の状態にもどる樹木の様子に喩えられることがあります。
困難な出来事に遭遇して倒れそうになってもくじけず,再び元の姿に復活するような強靭なマインドをイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが,少し深堀りしてみたいと思います。
私は,resilience(レジリエンス 精神的回復力)を,re-silence「静けさに回帰する」と解釈しています。
何かを失い,沈んだ抑うつ的になっている時に賑やかなところに行きたいとは思いませんね。
むしろ,森や深い山のような自然の中で静かに過ごしたくなります。
森(forest)のfor-は「離れた」と意味ですが,回復のためには日常生活をしている都会や里のような場所から離れて,自然に回帰する静かなひとときが必要なのだと思います。
子どもが巣立った後の寂しさから生じる「空の巣症候群」をご存知の方も多いと思います。
喪失体験のような沈んだ気分を生じさせる出来事は,他にも退職や卒業,入社,入学,結婚といった前向きな出来事であっても生じることがあります。
3月の卒業や退職を待ちわび,4月からの新たなスタートにワクワクしている。
しかし,新たなスタートを迎え,確かにワクワク期待が膨らむような気分を感じつつも,反面,不安や怖さもあり,どこか憂うつで気分が沈むようなこともある。
これまでに,そのような経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
こうした出来事は日常的なストレスと異なり,アイデンティティやわたしの在り方に関わるストレスです。
大きな環境変化の中で自分の在り方が変わっていくことは,いわばそれまでの自分が喪失する体験です。
ですから沈んだマインドは,新しい環境でも自分が自分らしくあるために,本来の自分らしさを失わせないようにするために,潜在的な意識が静けさに回帰させようとしているのであり,それがレジリエンス(精神的回復力)なのだろうと考えています。
ポジティブなマインドやアクティブな活動でストレス対処をすることももちろん大切です。
しかし,大きな環境変化に伴った抑うつ的なマインドは,ポジティブさや前向きさで対処するのではなく,むしろ抑うつ的なマインドで,森や深山のような静かな場所に回帰し,そこで新しい自分らしさが自然に湧いてくるような機会を得ることが大切だと考えています。
そうしたマインドが真のレジリエンスなのだと思います。
大きな環境変化に伴ってストレスやメンタル不調を感じたら心理カウンセリングをお勧めます。
本来の自分らしさを得ようとして自然に回帰しようとする時,以前にも触れましたが一人で深い山に入っていくのは危険です。自然の恵みを得るためには,深山と里をつなぐ里山が必要です。
心理カウンセリングルームは心の里山心の里山として,また心理カウンセラーがあなたのガイドやバディとして,きっとお役に立つことでしょう。