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入澤和志郎プロは山形新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

身寄りのない人・葬儀費負担 来たる多死社会・割れる国と自治体

入澤和志郎

入澤和志郎

テーマ:遺品整理

先日、この様な見出しが新聞に大きく書かれておりました。
詳細を読みますと、生活保護法では身寄りの無い方が亡くなった際に故人の残された現金などで葬儀が出せない場合、友人、近隣の住民が自発的にその方の葬儀をする場合に限り生活保護の葬儀扶助金(20万6千円)まで出費出来ると規定。ご遺体の搬送や火葬、読経や供花と言った葬式に関わる費用などがこの額の範囲で、生活保護法で出費が認められているとの内容でした。
一方で誰も葬儀をする人がいない身寄りの無い方の場合は、各自治体が火葬する義務を負う事が現行の墓地埋葬法で定められており、その関わる費用は全て自治体で出費と定めてあります。多死社会へと突入した日本の今、これら費用の負担が各自治体を悩ませているとの記事です。

これら条例を踏まえ自治体は苦肉の策として地域民生委員などに相談し、あたかも自主的に葬儀を地域住民が執り行いたい旨の申請を提出してきたかの様に書類を作成、条例の定める生活保護法の範囲で葬儀を執り行い(この場合は国が出費)自治体の出費を抑える手法で長期に渡ってそれを逃れてきた実態が明らかとなったようです。
実態を見ても自治体よりの依頼仕事、役所から言われるままに書類に記載し、申請者本人はご遺体との対面や合掌はおろか、葬儀や火葬の立ち会いすらしない、こんな調査結果が多かったようです。

この様な現状を精査し葬儀扶助の実態を把握した厚生労働省は各自治体に、『自治体側から地域住民達へ依頼をして葬儀を出している実態を踏まえ、それをあたかも近隣住民が自主的に葬儀を出すとは言いがたく墓地埋葬法で定める葬儀扶助制度の適用は認められない』との意向を示す。国と地方自治体とで法の解釈や運用方、今後の在り方や進め方で論戦が始まっているとの記事でした。
ある自治体のお話しでは「このご時世、役所からの依頼もなしで葬儀の執行者が現れるなど考えられない、あり得ない」
現在の葬儀扶助制度は現実に合わないとの主張のようです。
自治体の担当者は身寄りの無い方が亡くなった場合、戸籍をたどり血縁者にご遺体の引き取りを打診すべき調査行動、その作業も大変な日数を要する現実、その間は火葬も出来ずご遺体の保管とその費用も高額。仮に運良く血縁者が見つかったとしても引き取りを拒まれる事の方が多いのが現状です。





これらの記事を読むにつけ何とも哀しい気分になりましたが、あの世に行くにもお金の掛かる事で、国も自治体も生活保護法の隅っこにまでほじくり返して互いに都合の宜しい解釈をしている、経費の掛かること、嫌なことは押しつけ、厄介払いのようにも見えてきます。日本の生活保護法、施行から半世紀以上、世の中の常識の変化、生活サイクルやコミュニティの変化と現状を今一度見直す時期が来たのではと考えます。
昭和17年から昭和25年に掛け追記施行された現行法ですが実態にそぐわない事も多いと感じますが日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、(第1条)【国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障すると共にその自立を助長すること】と定められております。
ただし上記内容は生身の人間として生きている事が大前提、生きて初めて法の恩恵を受けることが出来ます。人は亡くなると荷物扱い・・・。
道路運送車両法や道路交通法を調べてみてもご遺体は荷物扱いとなり定員5人乗りの車にご遺体を乗せても定員オーバーとはならない現実もあります。
生きていればこそ受けることが出来る法の救い、程度にもよるそうですが人間として最低の生活保証、亡くなると途端に箍(たが)が外れ厄介払い、生活保護法で定めてある葬儀扶助規定、一人の人間として冥土への片道切符すら満足に発行してもらえない日本国の実態。国も自治体もその費用は押しつけ合いです。
今まさにそれらの問題を身近に感じておられるのは日本の高度成長期に額に汗して国の発展に貢献してきた一世代です。その方の生き様は勿論ですが家族の絆、人の尊厳とは何か・・・いろいろと考えさせられます。

年末にもなりますと毎年のように悲惨な事件や事故のニュースが流れます。また親の年金をあてにしてか自宅で介護をしながらも親の亡きがらを数ヶ月から数年、その場に遺棄して変わり果てた姿で発見・・・、事の起因する理由は様々のようですが親の葬式が出せなかったので・・自分も体が弱く働くことが出来ず相談する友もいない、親の年金が命綱・・・。
情報弱者、友人や相談者が居ない、その方の性格にも大いに関係する処ではありますが、本欄の新聞記事や法の活用の手法を知る立場の地域民生委員や、自治体の取り組み次第では悲惨な事件も少しは減らせるのではと感じます。

朝から哀しい嫌な記事を読むことになりました、現行法の改善を切に願います。
色々な文献で葬祭扶助制度を調べますと以下のような文面も見つかりました。

 ↓参考まで。

【葬祭扶助制度の支給条件】
生活保護法では葬祭扶助を受けることが出来る条件を下記のように定めています。(第18条 第1項、第2項より)
遺族が困窮のため最低限度の生活が維持する事が出来ない場合です。つまりお葬式を出さなければいけないけど最低限度の生活を維持出来ないほど困窮していて、葬儀費用の捻出することが出来ない場合です。

もうひとつは扶養義務者がいない方が亡くなり、家主や民生委員といった方が葬儀を行う場合です。亡くなった方が生活保護を受けている場合と、受けていないけど、葬儀を行うのに必要な費用をまかなえるほどの金品を故人が遺留していない場合に葬祭扶助されます。
故人が生活保護を受けていても、その扶養義務者が葬祭費用の準備ができる場合は扶助されません。
葬祭扶助を利用した葬儀を【生活保護葬 福祉葬 民生葬】と呼ぶ場合も有ります。
以上ご参考まで。

※私の新聞記事の読み違いや法解釈の違いがある場合は何なりとご指摘、ご教示願います。



遺品整理後の母屋解体

先月からの案件で現在、解体現場を2件作業中です。進行状況などご紹介をと考えて下りましたが遺品整理の見積り現場の多い事でおろそかに・・・、既に屋根も落ち更地状態もありました。

次回のコラムにてご紹介させて頂きます。



           

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入澤和志郎
専門家

入澤和志郎(葬儀)

有限会社 風車

・故人、ご遺族の状況や希望などに誠実に向き合い、最善を尽くした遺品整理を行います。ご遺品を供養しながら焼却する「お焚き上げ」や買い取りも可能です。故人とご遺族が安心できる整理を心掛けています。

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