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不登校の背景にある「教育の主体は誰か」ということ

2021年7月27日 公開 / 2021年7月28日更新

テーマ:メンタルヘルス(心の健康)

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

不登校についての具体的な対応策を考えることはもちろん大事ですが、同時に原点に戻って
「教育とは何か」を考えてみることも重要と思います。

まず不登校というのは、当たり前ですが子どもが「登校する」ことではなく、「登校しない」
ことを選択したことになります。言い換えれば、子どもにとって学校に行くことが「優先順位
のトップでない」、つまり、学校が子どもにとってどうしても行くほどの魅力がない、という
ことになります。

もちろん不登校の背景にはいろいろな要因があるでしょう。
けれどもここでは大きく「教育の意味」の視点から考えてみたいと思います。
それは①「教育とは何か」、②「教育の主体は誰か」という視点です。

まず①「教育とは何か」ですが、特に学校教育では、社会生活を送っていく上で必要な知識・
技能を身に着けることがまず第一でしょう。ただし、それだけにとどまらず「自分の力で考える」
ことを身に着けることも重要だと思います。なぜなら自分の力で考えることは創造性を育むこと
につながり、今後のAI時代に生きていくのに欠かせない能力だからです。

次に②「教育の主体は誰か」ですが、当然のことながら「子ども(児童生徒)」といえます。
ただし、現状では教育の内容を作成するのは大人(教育者)です。教育者はもちろん子どものため
に良かれと思ってカリキュラムを作っている訳ですが、それが必ずしも学習の当事者である
子どものニーズに一致しないことが、学校が子どもにとって魅力がないことにつながっている
と思います。

以上の①②に共通する解決策は、子ども(児童生徒)に教育カリキュラムの作成に関わってもらう
ことだと思います。もちろん子どもの参加には能力的にも限界があるでしょう。それでも、参加
できる範囲でカリキュラムの作成に関わるということは子どもの当事者意識・創造性を育み、
学校教育に興味を持つことにつながると思います。なおこの考え方は、米国の心理学者カール・
ロジャースらの「生徒中心の学習(student-centered learning )」に基づいています。

義務教育の早い段階で、子どもが教育の内容の作成に参加することが、子どもの学習意欲を促進
し、また子どもに真に自立した考えを育むことにつながると思います。

以上、不登校を大きく教育とは何かの視点でとらえましたが、大きな問題で即効性は期待できない
でしょう。でも教育の原点を考えていくことが、不登校のみならず子どもを支援していく上で非常
に重要だと考えます。

⃝なお、「不登校」について、
①音声番組「マイベストチャンネル」のインタビューで話していますので、以下にアクセスして
お聞きください。
https://wave.popin.cc/audioplayer.html?channel=webun_LMCv2&nid=60fe98a3f686b64f7a2452b4
②富山親と子の知りたいWEB「conokoto(コノコト)」にも掲載されていますので、以下にアクセス
してご覧ください。
https://www.conocoto-toyama.jp/blog/2901

うつ心理相談センター
村田 晃 
心理学博士(PhD University of Denver USA・臨床心理士・富山県スクールカウンセラー)

この記事を書いたプロ

村田晃

心理相談・カウンセリングのプロ

村田晃(うつ心理相談センター)

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