その6. うつをどう考えるか (四回目)
「ストレスにどう対応するか(行動面からの方法)」について、エフエムいみず(79.3MHz) の
私の番組、「心に元気を!大人のメンタルヘルス」(4月4日水曜)で話しています。
4月になり、入学や入社・転勤・転居など新しい生活を迎えた人も多いと思います。
そして環境の急激な変化で何かとストレスを感じていられるかも知りません。
ちなみに、生活が変わった時にストレスを感じるのは当たり前です。言い換えれば、今の生活
を変える新しい出来事は、すべてストレスの要因になるということです。
たとえば、昇進・結婚といったうれしい良いことでもストレスの要因になり得るのです。
ですから、新しい環境の中でストレスを感じた場合には、ストレスとは「自分が新しいことに
チャレンジしていることを認識させてくれるものだ」と前向きにとらえるといいと思います。
しかし、実際には新しい環境に入れば慣れるまで何かと心身共に疲れることが多いと思います。
そこで、気持ちの面で少しでも疲れをとる簡単な方法 「リラクセーション (relaxation)」 を幾つか
ご紹介してみます。
基本は、心と体が相互に関係している(心身相関)ということに基づいています。
例えば、気持ちが落ち込んだ時には動きも鈍くなったり、極端な場合には何もしたくなりますよね。
これは心(気分)が体(行動)に影響している一つの例です。
逆に行動が気分に影響する例としては、走ったり運動した後に気分がすっきりすることが
あげられます。これは、運動が脳の中の良い気分をつかさどる化学物質(神経伝達物質)の
活動を活性化したからだといわれています。
この様に、運動は体の健康のみならず心の健康にも良いので、ストレス解消に是非お勧めします。
でも、本格的な運動はちょっとという方には、もっと手軽にできる方法をお勧めします。
それは、ストレッチ・腹式深呼吸・瞑想・笑いのヨガです。
1.ストレッチ
ふつうストレッチというと、スポーツを行う前の準備体操と考えがちですが、ストレッチだけを
ストレス軽減のためにやることもいいと思います。
私は特に背筋を伸ばすことをお勧めします。
というのは、米国の大学の研究で、背筋を伸ばすだけで気分が良くなるということが報告されて
いるからです。それで、ふだんから「上を向いて歩こう」を実践されてはどうですか。
2.腹式深呼吸
これは特に緊張や不安をやわらげるのに効果があるとの研究結果が多く報告されています。
これは、ふだんやっている胸でする呼吸に比べて、腹でする呼吸の方が酸素をより多く取り込める
ということに関係していると思います。
それで、大事なことを前に心臓がドキドキしてきたりした時などに、ゆっくり鼻から息を吸い込み
口からゆっくりはき出すということを1~2分されることをお勧めします。
3.瞑想
いろいろな瞑想のやり方があると思いますが、私がやっているのは「今・ここに起きていること」
に焦点を合わせたやり方です。つまり、自分自身を含めて今起きていることに五感を使って敏感に
なる、ということです。
言い換えれば、いわゆる雑念を払うのではなく、逆に雑音が聞こえたり雑念が起きたりすれば
それをそのまま受け入れる、とうことです。
これは、心理学で「マインドフルネス(mindfulness)」といわれている考え方に基づいていて、物事を
ありのままに柔軟に受け止めることができるようになるのに効果があると考えられます。
4.笑いのヨガ
笑いが健康にいいというのは昔から言われていますね。しかし、笑えるようなおかしなことは
日常生活ではそうしょっちゅうは起きませんね。
それを、心身相関の考え方を使って、とにかく笑っていれば(行動)いい気分が後からついてくる
というのを実践するのが笑いのヨガです。
私がやっているのは非常に簡単で、三つの基本の笑い(ハハハ、ホホホ、へへへ)を大きな声で
繰り返してやるだけです。
ただ、人前でやるのはちょっとためらわれるので、一人で車を運転している時とか、シャワーを
浴びている時とかにやられたらいいと思います。
以上、体が心に影響するという心身相関の考え方を使って、行動から気分を変えてストレスに対応
していきましょう。
なお、更に詳しい内容はエフエムいみずのインターネットラジオで聴くことができます。
インターネットで聴くには、次にアクセスしてください。
http://www.voiceblog.jp/fmimizu/ バックナンバー第45回
心理学博士 (PhD University of Denver USA)
村田 晃