リスニングの真実/苦手が満点に
波乱万丈だったA君の「熱き春」が終わりました。
少し長くなりますが、A君の歩みを振り返ってみたいと思います。
1. 出会い
A君のお母様から「高校入試の事で悩みインターネットで検索していましたら先生のホームページにたどり着きました」とのご連絡を頂きましたのは今から5年前のことでした。その際は当館に空き枠がなかったため御受講は叶わなかったのですが、その後のA君の歩みは七転び八起きでした。
A君は氷見市の御在住ですので高岡市にある最難関進学校を受験なさったのですが、残念ながら涙をのまれました。その後に進まれた私立の大規模高校では特進クラスに在籍なさいましたが、一方で野球部に所属なさっています。毎年甲子園を争う強豪校である野球部には特進クラスの生徒さんは一人もいません。A君ただ一人です。しかし、A君はその厳しい部活とハードな特進クラスの両立を3年間にわたって成し遂げられました。
しかし、限られた時間の中で、あの高度な高校英語や高等数学をこなし切るのは並大抵のことではありません。勉学でも相当に苦労なさったようでした。
2. ご受講
高3生になられる時に改めて当館にご連絡を頂きました。「部活との両立に悩んできたこと」「高1の2学期以降、英語をどうしていいか分からなくなっていること」などが記されています。
A君との学習が始まりました。御一緒してみて驚きました。名刀村正の如き切れ味鋭い言語センスに満ち溢れておられます。眠れる獅子、未完の大器、という印象を強く持ちました。
そして1年後、昨年のセンター終了時に親御さんから頂きましたメールです。
「英語が170点だった」「学校の先生も驚いている」「苦手になりつつあった英語が大好きになったことが嬉しい」「英語が伸びたことに本当に感謝している」などが書き記されていました。
3. 再起
A君は当初より「慶応大学に進みたい」と仰っていました。「手の届くところで妥協する」風潮がある当節において「高い志」を抱くことは尊いことです。しかしながら昨年の受験結果は「富大合格」「慶応不合格」でした。A君は即断で浪人の道を選ばれました。「せっかく受かった国立大学を蹴ること」に微塵の躊躇も迷いも見せることはありませんでした。
4. 浪人
そして共に研鑽を積むこと今1年。本年のセンターは184点でした。例年より7点難化した試験ですので昨年の191点相当になります。プレッシャーの中でそれだけのハイスコアを取り切ることは並大抵のことではありません。
さらにここで大切なことがあります。早慶レベルに合格するには文科省の指導要領に準拠するセンター試験レベルの英語力では足りません。分かりやすい例で言えば、センターは英検2級レベルで対処できますが、早慶を突破するには準1級以上のレベルが必要です。
ちなみにA君は高3時に2級を取得し、センタ―レベルはスラスラでしたが、準1級の長文は解けませんでした。しかし、浪人時には準1級の長文で満点が取れるようになりました。つまりセンター試験では170と191の差ですが、そもそも2級レベルのセンター試験では推し量れない底力の差が生まれていたのです。
5. 再挑戦
以下は慶応の入試直前に当館がお母様に送ったメールの一部です。
「ちなみに前回は英検1級の長文問題をお渡ししたのですが、なんと、全問正解されました。今年は全勝も十分にあり得ます。」準1級レベルは完成しましたので1級レベルに上げてみたのですが、それすらも満点だったのに仰天しました。よく此処まで伸びた、と思いました。
6. 栄冠
そして迎えた浪人生としての受験。
今しがたお母様から頂きましたメール(一部)です。
「先生、慶應義塾大学法学部、合格頂きました。苦しくて長い1年間が吹っ飛びました。」
「先生にご指導頂き、英語がわからなくなった息子が英語が大好きになり第一志望校に合格出来ました事、先生には感謝してもしきれません。」
「~現役時代は富山まで通塾するのに車の中に布団を敷き試合に備え、主人とは呉羽の湯で汗を流し親子の会話もたくさん出来~」
氷見から五福まで2年間通われましたA君。
車に布団を持ち込んで通っておられたのですね。胸が熱くなりました。
7. 祝福
当館がお送りしましたメールです。
「この度は第1志望大学合格、誠におめでとうございました。
名にし負う天下の慶応法学部・・
凄いですねー
誰もが夢見る至宝の頂点ですが、現実に入門を許されるのは、極くごく一部、天才と秀才の中の更に血と汗と涙の修練と修養と努力を成し遂げたものだけです。
才能も努力も環境も、なに一つが欠けても決して為し得ない偉業です。御本人はもとよりご家族皆様の一丸となってのお取り組みの素晴らしさに胸打たれます。
車の中に布団を敷き、呉羽の湯で汗を流し・・
どれもが偉業へのステッピングストーンでした。
今となっては懐かしく、そして一生忘れ得ぬ思い出ですね。
本当におめでとうございました!」