江戸時代作品 修復 Before After
富山県氷見市に位置する臨済宗國泰寺派大本山「國泰寺」様より
お預かりしておりました28幅の掛軸修理が無事完了いたしました。
昨年6月(2024年)にお預かりし1年余りの修理期間となりました。
経年劣化による折れと本紙の剥落。また虫喰いなど欠損がどれも大きく時間を必要とするお仕事でした。

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作品には以前修理された痕跡がありましたが、その修復がかえって損傷を促してしまっていることが判明し、
前修理も含め完全に1から修復することになりました。
古い裏打紙の除去はとても神経を使います。
本紙はまるでパズルのピースのように割れていて、裏打紙をめくろうとすると本紙の一部がくっついてこようとします。
集中しながらゆっくりとめくる人と本紙がくっついてくるのを刷毛で抑える人と息を合わせながらの作業でした。
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一度折れたところや亀裂部分は再び折れやすいため、裏から細く切った和紙を張って補強します。(折れ伏せと言います。)
机の下にライト(光源)を置き、光を通すところ=亀裂へ無心で和紙を張っていきます。
1週間朝から晩までやる時もありました。(流石に身体がおかしくなる?)
↓
↓ライトを当てた状態
細く切った和紙を張った状態
ひたすら張り続ける日々
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一般的な掛軸は早ければ約2~3週間で作ることができます。
しかし今回のように修復箇所が多い場合は話は別です。
本紙の状態にもよりますが修復期間は長くなります。
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なんとか修復を全て終え金糸を織り込んだ金蘭の裂地を使用し、以前よりも格が上がった表装に仕立てました。


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納品後、達磨忌にお招きいただき僭越ながら御焼香を上げさせていただきました。
表具師人生、生涯心に残るお仕事となりました。
ありがとうございました。




