手荒れがなおらないとき

梶澤知恵子

梶澤知恵子

テーマ:手荒れ

手荒れがなかなかなおらない時にいくつかの原因が考えられると思います。
手荒れ治療の3原則はアトピー性皮膚炎と同様 、原因・悪化因子の除去、
薬物療法、スキンケアです。
治らないということはこれらがうまくいってないということに
なると思います。以下これについて考えてみます。

①手荒れの原因になるあるいは悪化させることをし続けている場合。
まずは日常生活で手に負担がかかることにどんな物があるか考えてみます。
水や特にぬるま湯を使うことで皮脂がとれ、皮膚のバリア機能を低下させ
手荒れを悪くする元となります。
手洗い、掃除、食器洗い、土いじり、花、植物の手入れ、洗顔、洗髪、
ペットのシャンプーなどの刺激。
仕事では美容師→パーマ液や洗髪料が頻繁に手にかかる。
看護師→手洗いの回数が頻繁。アルコールなどの消毒液を扱う。
調理師→水にふれる機会が多い。食材などが刺激となりかぶれをおこす。
コンビニなどのアルバイトで洗い物をする。洗剤をつかう。
その他仕事で油やセメントなどを扱うなどがありますね。

これらの刺激となるものを扱わないようにすればよいわけなのですが
仕事で使用しているとなかなかそういうわけにもいかないので
ひふに付かないように防御する方法を考えてみましょう。
まずは手袋をして防御する。
付着した場合はすぐに洗い流すなどを心がけてみます。
ただし、手袋をする場合はゴム手袋でかぶれる場合があるので注意が必要です。
そういう方はプラスチック手袋などを使用されるのもよいかと思います。

②ちゃんと薬を塗っていない場合。
薬を塗る量、回数が不十分。しっかりなおらないうちにやめている。塗り忘れている等。
通院間隔が開きすぎていて現在の状態にあっていない薬を使用しているため治らない。
また手のひらには市販薬程度の強さの薬を使用しても角質部分の病変をなおすには
不十分です。炎症症状があり、湿疹化しているのにハンドクリームのみ
使用されている方もよく来院されます。
現在の症状にあった強さの薬を使用する必要があります。

その他、ちょっと良くなったらすぐやめたり、予防の保湿ケアをおこたっている。
などが治りにくい原因となると思います。
塗る量が不十分になるのをさけ、症状が安定するまでは、医師の指示どおりに
きちんと通院してしっかりと外用するようにしてみましょう。

③そもそも別の病気である
手の水虫、掌蹠膿疱症などを手荒れと思われて
市販薬などを外用されている場合が往々にしてあります。
水虫に湿疹薬を使用すると症状が悪くなるか改善しないことになります。
検査で水虫菌を確認の後、抗真菌剤を使用する必要があります。
掌蹠膿疱症は手のひらや足の裏に膿疱が出たりひいたりする
慢性に経過する疾患で良くなったり、悪くなったりを繰り返します。
症状によっては塗り薬以外に飲み薬や紫外線治療などが適応となる場合があります。

いずれも自己判断で塗り薬を使用してもまず改善しないので、
皮膚科専門医を受診して診断を受けた後、治療を開始するようにしましょう。

④スキンケアをこまめにしていない。
日常生活で手が水にふれない日はまずありません。
手荒れをおこしやすい方は保湿ケアをこまめにしておくと
症状がひどくなるのの予防になります。
刺激のない保湿剤を選んで皮膚のケアを怠らないようにしてみましょう。
よくなってきたと思って油断するとすぐにぶり返してしまう場合は特に
気をつけてみてくださいね。

以上で思い当たることやドキッとされた項目はありましたでしょうか。
手に負担をかけてしまうことも炊事や掃除、仕事上で扱う物だと
なんとなく想像がつきやすい原因・悪化因子ですが、
毎日なにげに行っている洗顔や洗髪での刺激も見逃せないかと思います。
な~んそんな変わったことしとらんといわれる場合も多いのですが、
意外に盲点かもしれませんね。
できるかぎり刺激をさけ、ひふを休めて治療&スキンケアをしてみてくださいね。

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梶澤知恵子
専門家

梶澤知恵子(皮膚科医)

皮膚科ちえこクリニック

皮膚、毛髪、爪のトラブルからしみ、ニキビあとといった美容皮膚科治療まで女性に多い皮膚のお悩みを女性皮膚専門医である院長が丁寧に診察。しみの治療、にきび治療には特に力を入れています

梶澤知恵子プロは北日本新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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