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将来の金利上昇リスクを回避する方法

2022年11月30日

テーマ:住宅ローン

コラムカテゴリ:お金・保険

将来の金利上昇のリスクを回避するには次の2つの方法があります。どちらを選ぶかは皆様の考え方次第です。
①固定金利にする
ごくごく当たり前の方法ですが、毎月の返済額が全期間固定されるので将来の返済額が増えることはありません。ただ現在の変動金利との金利の差をどう考えるかです。2022年9月現在の住宅ローン商品を比較します。最も多いフラット35の金利は1.52%で、某金融機関の固定金利特約型3年(3年後に金利の見直し)の金利は0.6%です。4,000万円の住宅ローンで35年返済の場合、毎月の返済額はフラット35で122,866円、固定金利特約型3年で105,611円になります。支払利息はフラット35で約1,160万円、固定金利特約型3年は約435万円(金利が35年間変らなければ)になります。毎月の返済額の差は17,255円になり、支払利息の差は約725万円になります。これを安心料として支払ってもよければ固定金利を選べばよいでしょう。もし安心料が高いと感じるのであれば、次の方法で将来の金利上昇リスクを回避します。

住宅ローン4,000万円 返済期間35年                  安心料
                               (フラット35-3年固定)
ローン商品    フラット35      3年固定
                  (金利が35年間変らない前提)
金利         1.52%       0.6%           0.92%
返済額       122,866円      105,611円         17,255円
支払利息      約1,160万円    約435万円         約725万円


②住宅ローンを25年以下で完済する。
住宅ローンの完済を25年以下に出来れば将来の金利上昇リスクを回避できます。それは返済期間が短ければ短いほど、将来金利が上昇しても返済額や利息に大きな影響を与えないからです。住宅ローン4,000万円で返済期間が35年金利1%の場合、毎月の返済額は112,914円で支払利息は約742万円になります。もし住宅ローン金利が少しずつ上昇するとどうなるでしょうか。当初10年間は金利が1%で11年目から2%になると返済額は14,076円あがります。21年目に金利が3%になると23,365円上がることになります。そして支払利息は1,331万円で589万円増えることになります。しかし返済期間を35年から25年に短縮できれば支払利息はさほど変わりません。上記と同じように将来の金利が上昇しても支払利息は751万円なので9万円増えるだけで済みます。

住宅ローン4,000万円
返済期間       返済期間35年        返済期間25年
     金利返済額   金利返済額    金利 返済額
1~10年  1%112,914円 1% 112,914円   1% 150,748円
11~20年        2% 126,990円    2% 162,087円
21~25年        3% 136,279円   3% 166,165円
26~35年        3% 136,279円    
支払利息    約742万円    約1,331万円      約751万円


ただ住宅ローンを25年で完済しようとすると、毎月の返済額にストレスを感じマイホーム購入をためらうかもしれません。住宅ローンが4,000万円で金利が1%でも、返済期間が35年と25年では毎月の返済額が大きく違います。35年の場合は、毎月返済額が112,914円で25年の場合は150,748円になり、毎月返済額の差額は37,834円になります。この差額にストレスを感じると思います。
そこで、「繰り上げ返済」でストレスを和らげます。繰り上返済とは、毎月の返済とは別に、住宅ローンの一部(あるいは全額)を返済することをいいます。通常の返済では、返済額に元金と利息分も含まれていますが、繰り上返済の場合は、返済分が全て元金の返済に充てられます。それによって、支払う利息を軽減することができます。また、返済するタイミングで軽減できる利息が大きく変わります。早ければ早いほどお得で、さらに細かいことを言えば一ヶ月でも早ければお得です。
この繰り上げ返済を毎月、またはボーナス時に行います。住宅ローン4,000万円で金利が1%の場合、返済期間35年と25年では37,834円の差額がありますが、この差額を毎月繰り上げ返済します。当初は35年ローンを組み、毎月の返済額112,914円ですが、プラス繰り上げ返済37,834円を行います。結果25年で住宅ローンを完済することができます。毎月ではなくボーナス時に約23万円ずつ支払ってもよいです。この方法のメリットは、繰り上げ返済の支払いは義務ではないことです。もしある月に急な出費があり、家計が苦しい場合は繰り上げ返済をしなければよいのです。またボーナスが思ったほど支給されなければ、繰り上げ返済をしなければよいのです。この方法であれば気持ちが少し楽になり、ストレスは和らぐのではないでしょうか。

住宅ローン4,000万円 金利1% 繰り上げ返済100万円した場合
タイミング    1年後   5年後   10年後   20年後   30年後
軽減される利息 約38万円 約34万円約27万円 約15万円 約4万円

将来の金利上昇リスクを回避しようとすると、いずれにしても毎月の住宅ローン返済の負担は増えます。全期間固定金利にして高い利息を安心料として支払うのか、返済期間を短くするためにより毎月多く返済するのかです。正解はないので自分に合った方法を選びましょう。

この記事を書いたプロ

舘林厚

住宅ローン相談のプロ

舘林厚(マネークラッセ(株式会社カルナ))

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