低金利を前提に家づくりをするのは危険!

舘林厚

舘林厚

テーマ:住宅ローン

ここ10年間は経済が低成長であったにもかかわらず、ゼロ金利政策による住宅ローン金利の低下などによって、戸建てやマンションの販売は堅調でした。ところが2022年からコロナ禍、ウクライナ侵攻、インフレが始まり、住宅需要を支えていたゼロ金利政策が転換期を迎えています。アメリカでは2022年5月に10年国債の金利が3%台(日本は0.255%)に上昇。固定金利型の住宅ローン金利も5%(日本は1.28%)を超えている状況から考えると、いずれ日本の住宅ローン金利も影響を受けて上昇すると考えられます。ゼロ金利政策が続くと思って無計画な住宅ローンを組むと、将来の生活が困窮するかもしれません。
ここで変動金利型住宅ローンに潜むリスクについて説明します。住宅ローンの種類には「変動金利型」と「固定金利型」がありますが、低金利が続いている日本では金利が低い(金利が上がらなければ支払総額が少ない)変動金利型を選択する人が完全に多数派です。住宅金融支援機構が2021年に実施した「住宅ローン利用者の実態調査」によると、67.4%の人が変動金利型を選択しています。2021年から2022年の間に僕が行った住宅ローン相談のお客様約200名に限ると、なんと100%のお客様が変動金利型を選ばれています。ところがゼロ金利政策の間は有利である変動金利型には、金利が大きく上昇すると毎月の返済額や支払総額が激増してしまうリスクがあります。
例えば住宅ローンが4,000万円、返済期間が35年、金利が1%の住宅ローンを組んだ場合、毎月の返済額は約11万2千円で、35年間の支払利息は約742万円です。これが10年後に2%に金利が上昇し、さらに20年後に3%になると毎月の返済額は10年後に12万6千円になり、20年後は13万6千円になり、支払利息はなんと約1,331万円になります。金利が上がらなかった場合と比べると、毎月の返済額は20年後には23,365円も高くなり、支払利息も589万円多く支払うことになります。



住宅ローン4,000万円 35年返済
返済期間 金利が変わらなかった場合   金利が上がった場合
     金利  返済額        金利  返済額
1~10年  1%  112,914円       1%  112,914円
11~20年                2%   126,990円
21~35年               3%   136,279円
支払利息    約742万円           約1,331万円

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

舘林厚
専門家

舘林厚(ファイナンシャルプランナー)

マネークラッセ(株式会社カルナ)

年間150件以上の住宅ローン相談を行っている、住宅ローン専門のファイナンシャルプランナーだから安心。家計の見直しや有効なお金の使い方、住宅ローンの選び方などのご提案で、住宅ローンの返済期間を短縮!

舘林厚プロは北日本新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

住宅ローン相談のプロ

舘林厚プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼