<よくある質問>賠償問題になったとき必要な「証拠」
”離婚”というと、それに伴う問題として、まず念頭に浮かぶのは、「慰謝料」・「財産分与」・「子供の親権・監護権」でしょう。
今回は、「慰謝料」について掲載させていただきます。
慰謝料とは、加害者の不法な行為によって受けた心の痛み、精神的な苦しさ、これを和らげ回復するために支払われる金銭のことです。「お金なんかいらない。お金の問題ではない。一言、非を認めて謝罪してくれればいい。」という声はよく聞きます。
慰謝料が、最初に述べた性質のものであるためには、金銭に心の痛みを和らげ、軽くし、忘れさせる効果を肯定しなければなりません。その金銭が被害者の気持ちを和らげるどころか、逆に感情を逆なでして不快に刺激する効果をもつならば、慰謝料の存在理由がなくなります。
たしかに金銭に拒絶反応を示す人もいますが、金銭は被害者の生活の安定、必需品の入手、貯蓄の可能性を与え、精神的苦痛を軽減する作用があることは否定できません。
「取れるだけ取ってこらしめてやる。一生慰謝料の苦しみを味わわせてやりたい。」という人もいます。
精神的な苦痛は、しょせん金額で評価できるものではないので、慰謝料の目的は、被害者が加害者に罰を加えるものだと理解します。
一銭でも多く取って相手を困らせてやりたいと考える人は、相手に我に倍する苦痛・損失を与え、自らの慰めようとするもので、慰謝料に、罰金、制裁金的な意味をもたせています。
しかし、このような考え方は、今日の判例、多数の学説からははずれており、普遍妥当性がありません。ですから、離婚による慰謝料について話し合うときも、あまり制裁的な意味を強調することは、筋違いとされています。
慰謝料をふっかける、ふんだくるという感じになり易く、そうなると、かえってまとまる話もまとまらなくなります。
離婚すれば必ず慰謝料がもらえると思っている人がいるようですが、これは間違いです。離婚の慰謝料は、離婚するについて責任がどちらにあるかが問題になります。
不法行為による慰謝料というと、加害者が被害者に支払うもので、交通事故による損害賠償において、治療費に弁償のほかにいくら払えばよいかという場合が一つの典型で、加害者・被害者という立場がはっきりあらわれます。
ところが離婚においては、加害者・被害者という言葉は使いません。しかし、相手の有責不法な行為(不貞、暴力など)によって、離婚に至った場合に、その精神的苦痛をつぐなうことを目的として支払われるのが離婚の慰謝料です。
したがって、結婚生活の破綻が夫婦双方の責任によって生じ、どちらが悪いとはいえないという場合には、慰謝料は発生しないということになります。
なお、双方の慰謝料の請求が認められない場合でも、財産分与の問題はあります。
次回は、財産分与について掲載します。
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