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津野恵美子プロのご紹介
人や物に対して心地よさを感じる“環境心理”を設計に反映(3/3)
施主と打ち合わせを重ね要望を丁寧に拾い上げる
津野さんが設計において最も大切にしているのは、施主との打ち合わせです。「家族ごとに“距離感”は違うので、お施主さんの要望を丁寧に拾い上げていきます。初めに打ち合わせシートに記入していただくのですが、そこには好きな映画や本、家事は何が好きで、何が苦手かなど漠然とした質問もあります。それが言外の思いをくみとる大事なヒントになります。お施主さんには、新しい家でどんな暮らしをしたいのか、明快なイメージを持って、ささいなことでも何でも話してほしいですね。私にとっては、それが重要な情報になります」
打ち合わせでは、暮らし方の情報収集の場である現在の住まいを訪問するという津野さん。「例えば行くたびに洗濯物が部屋に干してあれば、特に要望として出てこなくても広めのランドリースペースを提案する」など、ふだんの何気ない習慣も見逃しません。特に家事に関しては、ちょっとしたストレスや負担まで改善できるよう設計に反映。この全方位的な気配りが、施主との距離を縮めているようです。
設計を図面化してからも何度も打ち合わせをくり返し、最終形まで半年から1年の時間をかけます。そして、構造、設備の設計士、照明デザイナーなど信頼できる専門家とともに完璧な仕事を目指します。
「家は、要望、デザイン、施工、予算などのバランスも重要。例えるなら、繊細なカッティングを施したクリスタルガラス“スワロフスキー”でできたボールのようなもの。ひとつひとつ丁寧に積み上げていかないといびつになってしまう。完璧な形にするには時には至近距離で、時には俯瞰から見る。設計には“距離感”が大切なのです」と津野さん。
「お施主さんがその家で心地よく暮らしている姿をみるとほっとして、うれしくなる」と笑顔で話してくれました。
(取材年月:2018年12月)
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