7月1日施行の改正相続法

遺言書の中では一番信用力が高いとされる公正証書遺言をオンラインで作成できることが昨年10月より全国で順次可能となりました。
これまで公正証書遺言の原本は公証人と対面で作成して署名・押印することを原則としてきましたので、高齢者や遠隔地の人にとっては公正証書遺言がオンラインで作成できることのメリットは大きいのではないでしょうか。
公正証書遺言を作成するためのオンライン会議の手順は、本人、公証人、証人が参加して公証人が案文を読みあげて本人が内容を確認後、修正なければ公証人がpdf化して画面共有し、参加
者がそれぞれ電子署名をすることになりますが、このオンライン会議での注意点は利害関係者がいない環境で本人の真意を確認するために家族や相続人の同席も認めていないことです。
そのため実際のオンライン会議では、遺言者本人に開始前に全方向を撮影してもらったり証人に本人と同じ場所から参加してもらったりすることになるようです。
既にオンラインで公正証書遺言の作成に立ち会った司法書士のお話しをお聞きするとオンライン会議の際に通信環境の障害やパソコン操作の問題で進行がスムーズにできないケースもあるようなので、この点には注意が必要かもしれません。
さて、ここからはコラムの本題であるデジタルの遺言書ですが、遺言制度の見直しを検討している法務省の法制審議会が令和8年1月20日の部会でパソコンやスマートフォンで作成したデジ
タルの遺言書を導入する要綱案をまとめましたので、その最新情報をお伝えします。
法制審議会の要綱案では法務局へデジタルの遺言書の保管申請を行う場合は、パソコン等で作成した遺言書のデータやそれを印字した書面を法務局へオンラインや郵送で申請後、法務局の担当者がオンライン会議や対面で本人確認を行い、遺言を遺す本人が自分の意思に基づいて作成したことを確認するために遺言書の全文を読み上げて意思確認をするのですが、現行の民法で定めている手書き遺言の押印の要件を廃止することで手続きもより簡便化することになります。
現行の自筆証書遺言については、2020年(令和2年)7月10日より法務局で保管する制度が始まっていますが、パソコンで作成できるのは財産目録のみのために全文や日付、氏名を手書きしたうえ、押印しなければならないことや法務局で保管してもらう際には対面での手続きが必要でしたが「デジタル遺言書」が導入されると遺言作成の利便性が高くなることから遺言を遺したいと思う方が増えていくことでしょう。
以上のように簡単ですがデジタル遺言書の導入に関する法務省法制審議会の要綱案についてお伝えしましたが、デジタル遺言書にご興味があり民法改正の情報をより詳しく知りたい方は、法務省の法制審議会が取り纏めた要綱案をご覧ください。
民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案
民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案についての補足説明



