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マンションの修繕工事や建替えに関する区分所有法制の見直し

三枝秀行

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テーマ:法改正情報

 本年、6月16日の政府方針で「区分所有法制においてマンションの建替え決議での多数決要件を緩和すること等を検討し、2023年度中に結論を得て、所要の措置を講ずる」とする閣議決定がありました。
 この背景には今後も老朽化したマンション(区分所有建物)が急増することや相続等で区分所有建物の所有者が不明になるケースまたは区分所有者の非居住化により区分所有者が決議の反対者と扱われて決議に必要な賛成を得ることができないケース等が挙げられます。
 特に建替えの区分所有建物の再生の意思決定は、要件が厳格なため老朽化した区分所有建物の再生が困難になることから区分所有建物の管理や再生の円滑化に向けた区分所有法制の見直しは喫緊の課題となっているのです。
分譲マンションの共用部分を修繕する場合は、区分所有建物の所有者で構成する管理組合の総会の決議が必要となりますが、これが修繕工事の大きな弊害となっているのも事実です。
マンション管理に無関心な所有者や音信不通の所有者がいる場合は、総会への欠席者が多くなり総会に出席せず委任状や議決権行使書による賛否の表明もしなければ議案に反対したものと取り扱われます。
その結果、過半数の賛成を確保できないことから本来であれば必要な修繕工事ができないまま問題も先送りされるわけです。
特に大規模マンションや投資用マンションでは総会への出席者が少なく都内のタワーマンションの30%程度は出席率が70%未満という調査結果もあるようですが、今後も総会の出席率が低くなる傾向が続くのは間違いありません。
 また、修繕工事の決議要件緩和に併せてマンション建替えに関する決議の緩和要件についても法務省の法制審議会で議論をしていますので、ご興味ある方は本年7月に法務省民事局からパブリックコメントを出していますので、こちらをご覧ください。
区分所有法制の見直し
現行の区分所有法でマンションの建替えは「所有者の5分の4」の賛成が必要ですが、所有者の所在が不明なときは決議の対象から外す案も議論されていて決議要件も「出席者の4分の3」以下に引き下げることも検討されているようです。
 このように日本人の超高齢化と共にマンションの高齢化や老朽化も深刻度を増すことから、今後の適切な対応と法改正が望まれるところです。
 なお、前回のコラムでお盆の帰省時には家族会議をする絶好の機会ですとコメントしましたが、皆様は如何でしたか。
ただ、今年のお盆休みは台風の影響で里帰りもままならず家族会議をするどころではなかったかもしれませんね。
また、次回は是非とも家族で話し合う機会を設けてみましょう。

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三枝秀行(相続コンサルタント)

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