税制改正大綱から読み解く生前贈与の行方は・・・・・Vol.2
昨年末から贈与税と相続税を一体化とする税制改正についてコラムを投稿してきまし
たが、政府の税制調査会が相続や贈与税のあり方を議論する最新の報道がありましたので、速報でお知らせします。
その内容は首相の諮問機関である政府の税制調査会が、9月16日の総会で相続税と贈与
税のあり方を議論する専門家会合を設置すると決定した。
税制調査会の中里会長(東京大学名誉教授)は総会で『資産移転の時期の選択に中立
的な税制に向け、どのように対応できるかが当面の課題となる』と述べ総会後の記者会
見では中里会長が相続税の節税対策を強化するため暦年贈与を廃止するのではないかと
の見方があるとする一方で『そういった議論はせずに理論的・実務的な観点から議論し
てもらう』と強調されたことが新聞に報道されたのです。
この税制調査会の専門家会の議論から本年12月に発表される令和5年度税制改正大綱で
相続や贈与税がどのように改正されるかは定かではありませんが、少なくとも今回の専
門家会合の設置によって税制改正をめぐる4年越しの議論に拍車がかかり、いよいよ終止
符を打つのではないかと考えるのも当然のことだと思います。
そもそも暦年課税と相続時精算課税という2つの贈与税の制度のあり方を見直すための
検討が始まったのは令和2年の税制改正大綱からであり、暦年贈与の活用により資産を
小口分割して複数の親族に繰り返し移転することで相続税を減らすスキームはやり玉に
挙がっているのも事実です。
このような背景から令和3年度、令和4年度の税制改正大綱の基本的な考え方として諸
外国の制度を参考にしながら贈与税を本格的に見直すと明記されていることもあり令和
5年度の税制改正大綱で贈与の制度が改正される可能性が高いのは間違いないでしょう。
今後も税制調査会の動向等をお伝えしたいと考えていますが、参考資料として日本と
諸外国の贈与税の制度と日本の2つの贈与税の制度について比較してみましたので、参照
してください。