医療機器が突然動かなくなるようなことが無いようにしたい。
医療機器保守点検の意義とは?
今回は現場さんが行う日常点検・メーカーが行う保守契約・専門家(臨床工学技士含む)が行う月例・週例・日常点検について詳しく考えていきたいと思います。
臨床工学技士が不在の病院では日常的な医療機器の点検は現場で実施していることが殆どだと思います。検査室の検体検査機器では精度管理を中心に臨床検査技師が、レントゲンやMRIは診療放射線技師が、手術室の麻酔器や病棟の人工呼吸器などは看護師が実施してきていることが殆どです。そして点検方法は動かしてみて普通に以上なく動けばOKとういう内容だと思いますが日常点検レベルではこれで十分ですし、いざ使おうという時点での始業点検で十分だと思います。後は使用後の終業点検として清掃・消耗品の交換・セッティング・動作点検を実施すれば十分です。
メーカーが行う保守契約での作業内容は年1回の点検で、専用の器具・機器(非売品含む)を用いた点検でかなり専門性が高く現場レベルでは対応できません。また、筐体(ボディ)を開けて内部の定期交換部品を替えるようなオーバーホールに相当する作業も含まれていて価格も高額なのが普通です。また、定期交換部品もメーカー・機種によって交換時期が様々でメーカーによって決められています。我々の肌間隔では輸液ポンプやシリンジポンプは概ね2年交換が多いですが、中には3年というものもありますし、モニターや心電計などは1年毎とされているものが多いですが2年毎でも良いだろうと思うことも多々ありますが、メーカーが指定した以外の事でトラブルが発生した場合責任が取れないのでメーカーの言いなりにならざるを得ないことも多くその分費用がかさみます。
それでは臨床工学技士が常勤でいた場合やアウトソーシングで専門家が毎月定期的に来院する場合では、現場さんが実施する日常点検は常勤の臨床工学技士が実施するため現場さん(主に看護師)の負担は軽減します。しかし、透析や、ECMO、人工心肺など臨床工学技士ならではの高度な生命維持装置や治療器は臨床工学技士の専門分野になっていて、常勤の臨床工学技士が居る病院はこちらの点検整備と運転が重要な位置づけになっています。
他に専門的な定期点検や修理はメーカーのトレーニングを受講して認定された場合に実施することが可能です。アウトソーシングの場合も同様で大規模な病院では数名常勤で機器の点検整備を臨床工学技士の指導監督の下で行っている場合と、中小規模病院で臨床工学技士不在の場合は、その仕事を代行しています。
その仕事とは主に以下の通りです。
1,現場の巡回点検(機器の状態・機器の適正使用・適正な使用環境)
2,市販の専用測定器(メーカーの専用機器は除く)を用いた定量的定期点検
3,点検記録などの一元管理(ペーパーレス化)
4,エデュケーション(機器の正しい使い方・日常点検の方法等)
を中心に実施しています。
この場合は機器の状態を保つこと以外に機器にまつわる医療安全によりフォーカス
当てた内容になっていて、臨床工学技士の存在意義を高めています。アウトソーシングはこの仕事を臨床工学技士に代わって行う代行業者になります。